その4
●小ネタその4●
上杉謙信(以下、謙信)「最近、冷たいんだよ……」
武田信玄(以下、信玄)「……」
謙信「オレはさぁ、あの人の為に今まで尽くしてきたのによぉ……」
信玄「……」
謙信「あの人のために生涯不犯の誓いまで立てたんだぜ?」
信玄「……」
謙信「……ってオイ! 聞いてんのか!? オマエ!」
信玄「聞いている。それより何故我の所に来るのだお主は」
謙信「え、オマエって何かこういう事に詳しそうだから」
信玄「(……何気に失礼な) ……お主から見限ったらどうだ?」
謙信「無理! それは無理!!」
信玄「何故」
謙信「オレはあの人を愛しているから!!」
信玄「…………あ、そ」
謙信「何だよ、その 『理解できない』 みたいな顔は!」
信玄「珍しく察しが良いな。お主の言葉通りだが」
謙信「ムカつくーーーーーー!!! 酒おかわり!!」
信玄「よく飲むな……」
謙信「そうかぁ? 他人の家だから今日は少ない方だぜ?」
信玄「(マジでか) ……お主の家臣たちは毎日大変なのだろうな」
謙信「は? 何いきなり」
信玄「いや……」
数時間後。
山本勘助(以下、勘助)「……お館様。あの……そろそろ酒樽が底を尽きますが……」
信玄「だろう、な。まあよく持った方ではないか……?」
謙信「あ! ヤマカンだ!!」
勘助「……わしの事ですかな、上杉殿」
謙信「おう、オマエの事!」
勘助「は、あ。そうでございますか……」
謙信「オマエ結婚してるんだっけ?」
勘助「は? はあ、結婚しておりますが…」
謙信「ふーん……」
勘助「上杉殿はご結婚なさらぬのですか?」
信玄「ばっ!! 折角話が逸れていたのに!!」
勘助「は?」
謙信「……オレはな、心に決めた人が居るんだ」
勘助「ほう。そうなのでございますか。その方とはご結婚は?」
信玄「か、勘助! お前はもう下がっておれ!」
謙信「良いじゃねーか。一緒に飲もうぜ?」
信玄(もう酒はほとんど無いけどな!)
謙信「まあ結婚は……出来ないな。だから生涯オレは結婚はしねえって決めてるんだ。あの人の為に」
勘助「そうなのでございますか」
謙信「だけどよ、最近冷たいんだよ」
勘助「は、あ…… (結婚出来ないとか仰るから故人なのかと思ったが違うようじゃの)」
謙信「毎日向かい合って話をするんだけどよ。最近は直ぐに帰っちまうんだ」
勘助「はあ。上杉殿ほどの方を袖にするとは何とも、凄い方でございますな」
信玄「……袖にする……というか……」
謙信「いや。そりゃあちらの方が全然オレより格が上だからな。オレはわざわざ毎日時間を空けて貰っているという立場なんだ」
勘助「そうなのでございますか!? 上杉殿より格が上……一体? 公家の方でしょうか?」
信玄「……」
勘助「も、もしや皇族!?」
謙信「ああ……オレ、捨てられんのかなあ……」
信玄「だから、お主から見限れと……」
謙信「無理だつってんだろ!! ああ……何で最近冷たいんだ、毘沙門天――――――!!!!」
勘助「……は?」
謙信「あなたに一生尽くすとオレは心に決めているのにーーーー!!! あなたがつれないとオレは……オレはーーー!!」
信玄「(……くだらんなあ……口にしたいが出来ぬなあ……)」
謙信「おいヤマカン! 酒もっと持って来い!!」
勘助「は、はいいい!!」
信玄「……まだ居座るか…………早く帰らないかなー…………」