その1
※兼続の扱いが非常に腹黒くなっております。兼続好きの方は心してお読みください。
●小ネタその1●
上杉景勝(以下、景勝)「うわああーん! 兼続――!!!」
樋口兼続(以下、兼続)「おやおやどうなされました、景勝様」
景勝「義父上が、義父上が景虎ばっかり可愛がるよー!!」
兼続「何という……! 実の甥である景勝様を差し置いて北条の者である景虎様ばかりを可愛がるとは……」
景勝「義父上はわしがお嫌いなのかのう……跡継ぎも景虎にとお考えかもしれん……」
兼続「……景勝様! 全て私にお任せ下さいませ!」
景勝「え?」
兼続「全ては景勝様のお心のままに…………ふふふふふ」
上杉謙信(以下、謙信)「あ~寒ぃな~。この時期は厠に行くのも一苦労だぜ。早く戻ろ」
??「御免!!」
ぐさっ!
謙信「ぐはっ……!!!」
??「これも景勝様のため……お許しあれ!」
謙信「こ、この声は兼続か……!?」
兼続「大殿……全ては兼続様のためなのです。申し訳ありません……」
謙信「か、げかつ……の、だと? ……オマエ……いった、い…………」
兼続「……大殿?」
謙信「……」
兼続「大殿、大殿――――――!!」
兼続「景勝様! 大変にございます!!」
景勝「ん? 兼続か。如何した?」
兼続「大殿が、謙信様がお亡くなりに!」
景勝「何と!? それは誠か!?」
兼続「はっ……! 厠付近で倒れておられるところを発見され、見つかったときにはもはや手遅れで……」
景勝「何ということだ……ああ義父上!!」
兼続「して景勝様。ここに大殿のご遺言状があります」
景勝「え。わしはそんな事聞いておらぬが」
兼続「えーっと……実は私に託しておられたのです。生前中は黙っていろというお達しでしたので。今まで黙っておりまして申し訳ありませんでした」
景勝「ああ、そうなのか……? して、何と書いてある。見せてみよ」
兼続「は。どうぞご笑覧あれ」
景勝「(笑覧?) 何と、わしを上杉の跡継ぎにと……」
兼続「良うございましたな! 景勝様!!」
景勝「しかし兼続よ。この字は義父上の字というよりもそなたの字に見えるのだが」
兼続「は。大殿に仰せ遣いまして、私めが代筆をさせて頂きました」
景勝「……そうか。まあ義父上の小姓であるのだからそういうこともあるか?」
兼続「は。大殿の遺言状の代筆という大命を頂きありがたき事にございました」
景勝「して、兼続よ」
兼続「はい?」
景勝「……そなたの着物は何故血で汚れておるのだ」
兼続「…………これは…………少し前に無礼を働いた者を手討ちにいたしました故。申し訳ございません。このような格好で」
景勝「そう、か。そなたにしては珍しいことだな」
兼続「は。あまりに理不尽な事を申すため閻魔大王に書状を認め、送り届けてやりました」
景勝「そ、そうか……そなた顔に似合わず恐ろしき事を……」
兼続「さあさあ! 早く大殿の元へ行っておあげくださいませ!」
景勝「あ、ああ……」
兼続「…………ふぅ、危なかった。バレなかったようだな。一応念のため適当なものを手討ちにして閻魔大王への書状でも書くか……」