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マリーは10回婚約破棄される  作者: 隘路(兄)
第三部 銀河帝国編
45/71

第45話 婚約破棄からの謎の機械惑星

「フォレスト将軍は討ち取りました。


 しかし、わたしは無益な争いを望んでいません。

 こちらの指示に従って下さい」


 ブリッジの帝国兵達は急に現れた空飛ぶ剣に恐れをなし、素直に指示に従ってくれた。

 わたしは全乗組員をハンガーに集めた。


「あなた達の生命は保証します。

 代わりに一つお願いがあります」


 緊張の面持ちの乗組員達にわたしは言った。


「この戦艦をお譲り下さい」


 艦内には多くの戦闘艇や高速艇があった。

 艦内の全員をどうにかその中に収容できた。


「それでお帰り下さい。

 追撃などはさせません」


 その上で敵全部隊に通信する。


「旗艦は制圧しました!

 直ちにこの宙域から撤退しなさい」


 すんなりと降伏するかの心配はあった。

 しかし、帝国軍はこちらの指示に素直に従ってくれた。

 どうやら帝国兵達もフォレスト将軍を憎んでいて、倒してくれてホッとしていたようだった。


「何をしておる? 追撃をせんか!

 敵をせん滅するのだ!」


 ウェイカー司令が激昂するが、


「解放軍の追撃も禁じます。

 これより戦闘行為を行ったものは、誰であろうとこのヨルムンガンドが攻撃します」


「な、何だと?!」


「すでに全部隊をロックオンしています」


「全艦ロックオンだと?

 鹵獲したばかりの戦艦でそんな事ができるものか」


「演算しました」


 わたしのかたわらでは、メルテが瞳の幾何学模様を高速回転させている。

 メルテはすでにこの艦の解析を終えており、火器管制のコントロールも掌握していた。


「ぬうう、オートパイロットめぇ……!」


 無事撤退しおおせた帝国軍。

 かくして敵味方全部隊の戦闘行為を止めさせる事に成功したのだった。


「マリー!」


「マリー!」


「マリー!」


「マリー!」


 拠点では興奮冷めやらぬ解放軍がわたし達を歓迎してくれた。


「すごいです、マリー様。

 敵戦艦を鹵獲しての勝利なんて!」


 シャインも絶賛してくれた。


「フォレスト将軍も倒され、銀河帝国も軍団の再編に時間か必要なはずです」


 前回より1日早く攻略できた事になる。

 ここまでは上出来だ。 


「じゃあ銀河系外縁部に向かいましょう」


ファーワールドの事が心配だし、会議にも参加したい。


「メルテ。

 この戦艦のスペックなら、銀河連邦本部まで何日で到着できる?」


「この艦なら本拠地で補給する必要もありません。

 最適ルートを選択すれば、銀河外縁部の連邦本部まで3日以内に到着できます」


「本当に?!」


「演算しました」


 これなら宇宙6日目までに外縁部に到達できそうだ。


 本拠地に立ち寄らない事によって、航路は前回とかなり変わる事になった。

 特に中心戦線周辺の入り組んだ宙域ではかなりのショートカットを図る事ができた。


 しかしそのショートカットの合間で、わたし達は不気味な惑星のそばを通る事になった。


 それは全体が機械で覆われた惑星だった。

 明かりが頻繁に明滅していて、宇宙船らしきものが周囲を行き来している。


「何なの? あれ」


「銀河帝国領の工廠惑星です」


「工廠惑星?」


「工場の機能を一つの惑星に集約させ、作業の効率化を目指したものです。


 跳躍航行によって、物資の輸送コストの大幅な低減が実現したので、作られました」


 メルテが細かく教えてくれて助かる。

 宇宙規模で効率化を目指すとこんな事になるんだ。

 銀河帝国のやる事はスケールが違う。


「帝国から奪った船で近づいても大丈夫?」


「大丈夫ではありません。

 強力な防衛戦力が配備されています。


 ショートカットのために、許される限り近づいただけです。

 まもなく跳躍航行に入ります」


 そりゃあ危険か。

 見納めと思って工廠惑星を見る。


 しかしその時だった。

 わたしは機械化された惑星の影に巨大な物体を見つけた。


 それは機械でできた球体だったのだが、工廠惑星と同じくらいの大きさだった。

 それはすぐに宇宙の闇に溶け込んでいった。


「メルテ、見た?」


 と、言った時にはそれはすでに完全に見えなくなっていた。


「視認はしていませんが、巨大な動力反応を確認しました」


「あれは何なの?」


「データベースに該当するものはありません。

 開発中の新しい兵器なのかも知れません」


 あんな巨大なものが兵器?

 この戦艦よりよっぽど大きそうだけど。

 だとしたらどれほど強力な兵器なんだろう。


「いまは反応が消えていて、これ以上のことは分かりません」


 気にはなるが、艦はすでに跳躍航行に入っていて、調べる事はできなかった。

 わたし達は銀河外縁部に向かった。

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