第43話 婚約破棄からの二度目の解放軍合流
「わたしはオートパイロット1200号機……」
「その名前は呼びづらいから、あなたの名前はメルテね。
わたしを惑星グランドまで連れて行ってちょうだい。
あ、わたしの事はマリーと呼んで」
まっしぐらに前回と同じ戦闘艇の場所へ。
故郷にすんなりと帰れない事は分かっているが、前回と同じ行動を取らなければ。
「オートパイロットは有機機械で、人権がないので問題ありません」
「あなたとわたしの二人で生き残る。
戦いを生き残って、わたし達はハイタッチをする。
これがわたしのマスターとしての命令。分かった?」
メルテとともに追手を振り切り、
「始めまして、僕はファーワールド」
解放軍との出会いを果たし、解放軍リーダー、ファーワールドと対面する。
「ニックネームはマリーマリーにするしかないじゃないか!」
「ご随意にどうぞ」
「君とは時空を超えて何度も出会って……」
「これがきっかり2回目です」
「そ、そうかね」
同じように行動し、解放軍との合流までこぎ着けた。
しかし、
「いやあ、君に出会った瞬間、ハートを撃ち抜かれたような気がしたんだが」
ファーワールドにそう言われた瞬間、わたしは彼ををにらみつけていた。
わたしの今回の課題の一つは、彼のハートが光線銃で撃ち抜かれないようにする事なのだ。
これは全然笑えないジョークだった。
「そ、そんなに怒らなくても……」
「お前が話の腰を折るからだろう」
ファーワールドがうろたえている。
きっとわたしは、「冗談でも言っていい事と悪い事がある!」みたいな表情をしていた事だろう。
でも、これは彼が悪い訳ではない。
「失礼。怒ってはおりませんわ」
謝罪すると、わたしは懐から薬瓶を取り出し、テーブルに置いた。
「大事な話があります」
ちょうどいいので本題に入らせてもらう。
わたしは、過去に経験した、そして未来で起きるであろう話をした。
「僕が暗殺される?!」
「ジャーゼラ議員に殺されるだって?!」
「ええ、ハートを撃ち抜かれて、ね」
ファーワールドの左胸を指差すわたし。
さすがにファーワールドもメクハイブも驚きが隠せないようだった。
「初老の議員にハートを撃ち抜かれるなんて、ぞっとしないね」
ファーワールドは左胸を何度もさすっていた。
わたしの気持ちが伝わったようで何よりだ。
「で、これがティアラ病の特効薬」
シャラーナの最新の魔法薬は、未知の強毒化にもある程度対応してくれる優れものだ。
「これで議員を止められるはずです。
会議前に議員とコンタクトを取って下さい」
帝国に察知されたら面倒なので、上手く議員に渡して欲しいが、これで何とかなるはずだ。
「わたしは別件がありますので」
席を立つわたし。
「どこへ行くんだい?」
「銀河中心戦線へ向かいます」
もう一つの課題。
銀河中心での戦いの犠牲を減らさはくてはならない。
「お久しぶり、シャイン」
戦闘艇に向かう途中で若い兵士、シャインに出会う。
「マリーさん!
これから伺おうと思っていたんです。よく声だけで僕が分かりましたね」
「ええ、よく覚えているわ」
何しろすでに激戦を共にしている。
こうしてわたしは二度目の銀河中心戦線に向かった。




