表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マリーは10回婚約破棄される  作者: 隘路(兄)
第三部 銀河帝国編
39/71

第39話 婚約破棄からの1回目の会議

「おお、マリーマリー! よく来てくれたね」


 惑星リムスの銀河連邦本部の巨大な建物の前で、わたしはファーワールド=マカリスターと落ち合った。


「活躍は聞いている。二人とも無事でよかったよ」


 銀河中心戦線では、敵の指揮官、フォレスト中将を倒し、一応戦線を維持できた。

 その間の銀河連邦の協力をあおぐ会議の進捗はどうだったのだろう。


「まだ会議は続いてますか?」


 終わったという連絡がないのだから、おそらく終わってないだろう。

 そう思いつつ、尋ねてみたのだが、


「いや、まだ始まっていないんだ」


 ファーワールドの返答は意外だった。

 出発してから10日間経過しているのに会議が始まっていない?


「どうしてなの?」


「銀河帝国の息の掛かった議員の遅延工作と言われているね」


 銀河帝国に抵抗する解放軍への協力には、銀河帝国としては当然反対だろう。

 しかし、狡猾なやり口だ。

 銀河連邦に膝を折り、議員を送り込む事によって、銀河連邦を思い通りに動かすなんて。


「しかし、それも限界がある。

 規定によって、議決の時間を確保できない遅れは認められていない。


 今日中に会議は始まるはずさ。

 長旅の後だ。まずは休息するといい」


 言葉に甘え、宿泊場所へ。

 これも巨大な建物だった。


 わたしはシャワーを浴び、着替える事にした。

 うーん、正装するならば勇者の衣より、ドレスだろうか。


「マリー、ファーワールド=マカリスターより会議で着るスーツを預かっています。

 これに着替えましょう」


「これが正装なのね」


 この惑星で見かけた事のある男性陣と同じ服装にわたしは着替えた。


 男も女も同じ服装なのね。

 まあ、動きやすいし、不満はないけど。


 その日の午後、果たして会議は開かれる事になった。


「マリーマリーは僕が紹介するまでは控え室にいればいいからね」


 打ち合わせをしながら、わたし達は本部へ。

 いよいよファーワールドとメクハイブが控え室から議場に向かおうとしたその時だった。


「やあ、ジャーゼラ議員じゃないですか」


 白髪の初老の男性が控え室の入口に現れた。


 ファーワールドの知り合いの議員のようだ。


「どうしたんです?

 先に議場にはいっているはずでは?」


 ファーワールドの疑問に議員は答えなかった。

 何も言わずに何かをふところから取り出した。


 それはわたし達が解放軍の艦で向けられたものに似ていた。

 光線銃と呼ばれたものに。


 光線銃はファーワールドに向けられた。

 それでもわたしは状況が飲み込めなかった。


 ファーワールドは一瞬、ぎょっとした表情を見せたが、議員を正面から見据えて言った。


「ジャーゼラ議員、あなたを信頼していました。

 銀河帝国の危険性を理解していると」


 光線銃を持ったまま、固まる議員。

 わたしはここでようやく事態を飲み込んだ。

 何故だかは分からないが、議員がファーワールドを光線銃で狙っている。


「帝国が連邦に仕掛けて来ないのは、彼らのスケジュールに従っているだけです。

 現在の膠着状態が、銀河帝国の支配を阻止する最後のチャンスである、と僕は考えています」


 身動きせずに語るファーワールド。

 普段の陽気さと裏腹の、堂々とした姿だ。

 だけど、この状況はマズい。


「孫娘がティアラ病に掛かってる。

 帝国にしか治療薬はない。


 貴重な薬だが、便宜を図ると言われているんだ」


「なるほど……。それなら仕方ない」


「待って!」


 仕方ないじゃないでしょ!


 わたしは二人の方に駆けつけようとした。

 メクハイブや部屋にいた他の解放軍の人々も。


 しかし、目の前で向かい合っている二人の間に割って入るなどできなかった。

 光線銃が発射され、光の筋がファーワールドの背中から伸びた。

 そして、彼は崩れ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ