六話 尋問のお時間です
更新遅くてすみません……!
今回は、家で、福見のこと(あきの気持ち含む)を知っている妹に尋問される回です。
「お姉ちゃ~ん、どーだったどーだった?福見くんとの、デ・イ・ト!」
家に帰るや否や、ゴシップ好きと甘党で有名な私の妹・さくらの、もう九時近くになるのに相変わらずな大音声で出迎えられ、私は耳を塞いだ。
「私のケーキ!を無駄にしたんだから、その分のゴシップ――コホンコホン、恋話は聞かせてもらわないとねー」
この台詞だけでも充分に分かるように、さくらは社交的な性格だ。悪く言えばウザがらみをしてくる。常にテンションが高い。
「はいはい、話す、話すから、声は抑えて!部屋に行こ?」
「はーい、じゃあ私の部屋ね!」
私は承知しさくらの部屋に移動した。
「はーいお姉ちゃん、尋問のお時間でーす!」
そう言いながらさくらは自分のベッドに飛び乗る。
ゴロゴロと寝転がりながら、にまにましている。名前と同じ桜色のベッドを見て、まだ若いなぁなんて思ってしまった。
「何が聞きたいのよ?」
そう言って私もさくらのベッドに腰かけた。
そうすると、さくらは起き上がり、キラキラとした目を私に向けてきた。
「えぇっとねぇ、まーずーはー、今日福見くんにされて一番嬉しかったことを述べよ!」
「ええぇぇ!?はぁ!?さくら、最初にその質問はないでしょ!?」
「何言ってんのー。ふぅぅぅん、恥ずかしいんだぁ。……お姉様?貴女に拒否権はないのですよ?なぜならわたくしの楽しみにしていたケーキを無駄にしたのですからね?」
「うぅ~」
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。けれど言うしかないのだ。確かに今日、そういう約束はした。行く前に。ケーキが食べられないのなら後で洗いざらい吐けと言うさくらに、私はそれを了承したのだ。なぜこんな約束を私はいいと言ってしまったのだろうか。
「福見に!誕生日!おめでとうと!言われました!」
「ふんふん、って、はあぁぁぁ!?まだ!まだそのレベル!?確かに福見くんには好きな人がいるのかもしれないけど!そんなの気にせずグイグイ行こうよ!何のためにわたしがケーキ譲ったと思ってるの!?ゴシップのためよ、ゴシップのため!」
さくらが本性を現した。
「あのさ、福見の好きな人が、水崎さんが、水崎さんが居たの……!」
「はあぁぁぁぁ!?福見くん、いや福見、最っっっっっっ低!友達のお誕生日に自分の好きな人呼んでキャッキャウフフしてたわけ!?失望したわ!」
「水崎さんが、来るって言ったらしいけど……。何のために来たんだろうね?」
「そんなの決まってるでしょ!お姉ちゃんと福見の邪魔をするためよ!水崎風花ってとんだ性悪女だったのね!」
「まさか、水崎さんはすっごいいい子だよ?福見が恋したのも――」
「その話もねぇ、怪しいと思うの!そんな子いる!?絶対いないって!そもそもいたとしても私絶対苦手なタイプだし」
性格は全然違うが、やはり私とさくらは姉妹らしい。水崎さんのが居たことにイラついているのも、水崎さんのことを苦手だと思うということも、私の行動と全く同じだ。まぁ、疑ったことなんてないけれど。
「ま、まぁ、それはほっといて……。福見、今日は私のこと優先してくれたんだよ?」
「ふぅぅぅぅん。……そんなの当たり前だと思うけど、本人ほんとに嬉しそうだし……ま、いっか」
「なんて?」
「いーや、別にぃ。他のことも、洗いざらい吐いてもらおうかっなぁ――?」
「ええぇ!?」
こうして私は、その夜一晩中さくらに尋問され、なぜか異性の落とし方について説かれ(なぜお前がそんなことを知っているんだ)、翌朝あくびしながらさくらに文句を言うことになった。
私がこのさくら流”異性の落とし方”を参考にすることになると知るのは、まだ先のお話。
読んで下さりありがとうございます。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字があれば報告してもらえると嬉しいです。
今回出てきたあきの妹、さくらは実は両親に泣きついてケーキを食べていたり……。結構な策士ですね(笑) いろいろ暴走しているさくら……。さて、どうしましょう?