三話 七年の始まり
短いです……すみません。……もっと書く予定だったのになぁ。(言い訳)
私が福見に恋に落ちたのは、私と福見が小学四年生の時だった。
最初は、読んでいた恋愛小説の中の私の好きなキャラの男の子に似ているな、と思って、少し気にする、程度だった。
その認識が変わったのは、福見と席替えで隣の席になってからだ。
福見は人当たりが良かったので話してみるとすぐに仲良くなり、一緒にいると楽しくて簡単に恋に落ちた。
これが、無意味なのか無意味ではなかったのかよくわからない私の七年の、始まりだった。
スポーツ万能で、気安くて、かっこよくて、からかいがいのある男の子。
私は、そんな福見といる時間が好きだった。
特に、きっかけなんてない。
ただ、その全てが好きで、一緒にいると、どうしようもない心地よい感覚に襲われるから、というだけ。
最初は傍にいるだけで幸福感に満たされて、満足していたけれど、もうそんなこともなくなった。
もしかしたら、私が福見の傍にいる唯一の女の子だということに、その立場に、驕っていたのかもしれない。
福見は浮いた噂もなかった。
けれど、いやだからこそ、一歩踏み出すのが怖かった。
これまでの関係が失われるかと思うと、どうしようもなく怖かった。
好きだという気持ちは薄れこそしないものの、友人として接することに決めていたため、表に出なくなっていた。
最初は、少しずつ距離を縮めていけばいいと思っていた。
けれど、それは間違いだったのだ。
福見は一瞬で、水崎さんに恋してしまったのだから。
私と福見の距離は、”距離感の近いクラスメイト”、もしくは、”恋愛相談に乗ってくれる女友達”から変わらないのだから。
小学生の頃の恋でも気持ちが冷めることはなく、私は福見を追いかけてそのまま、今高校でも福見の隣にいる。もはや幼馴染といっても過言ではないくらい。
ずっとこのままでも悪くはないな……、と思った時に水崎さんが現れるのだから、神様はドラマのようなとんでもな展開がお好きなのかもしれない。
七年もの人の人生を、簡単に奪い去ってしまうのだから。
こう考えているうちにも、やっぱり福見のことが好きだなぁ、と、そう思ってしまう。
叶わない恋だと、頭で理解していながら。
お読みいただきありがとうございます。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字があれば報告してもらえると嬉しいです。
なんか恋に落ちたという話からずれていますが(神様への恨み言も入ってるし)、……お気になさらず。気にしたら負けです。
次は、まぁ……ある聞き込み調査ですね。たぶん。投稿は金曜か土曜……だと思います。




