九話 福見視点 小四の頃からの女友達
なんか綺麗というよりは潔い感じになった気がするのは私だけでしょうか?
早くかけた?違うのです。ちょっとした事情で、自由時間が増えたのです……。
「ねぇ、福見」
さっきから、この言葉はもう三回目だ。今回も何気ないことなんだろうなと思い、さっきと同じ返事をする。
「ん?」
「好きだよ」
え?は?
「私は世界で一番大くんのことが好きです」
そう言った南の表情は、今まで見たこともないくらい真剣だった。だから、その真剣な眼差しに呑まれて、俺は何も言えずに押し黙ってしまう。
「呆れた表情が、ちょっとだけ正義感の強いところが、スポーツ万能なところが、からかいがいのあるところが、かっこいいところが、気安いところが、水崎さんに一途なところが、……………………………友達思いなところが、大好きです」
「俺は……」
「わかってるから」
そう言ってどこか切なそうに南は微笑んだ。
「私はそんな大くんのことが好きなの。……でもね?どんなに想っても、どんなに傍にいても、どんなに追いかけても、どんなに好きでも、大くんは私の方を向いてくれないの。そして出会って数か月の女の子に惚れちゃって、私に恋愛相談とかしてくるんだよ?すごい無神経だよね?私の気持ちも知らないでさ。笑っちゃうよね」
こっちを真剣に見つめてくる哀しそうな瞳には、意志が感じられて、前に立つ南の姿が、水崎の姿と重なった。
「水崎さんに苦手意識持ったり、いじめられてるの見て見ぬふりしたり、いろいろしたなぁ。バカバカしいことしてた。本当に、私、何やってたんだろうね。そんなことしても、報われるわけじゃないのに。……だからね、もう、やめるの、全部。全部終わりにして、忘れられたら、……いいな」
南のその言葉の語尾が微かに震えているのが分かって、俺はいつの間にか下を向いていた自分の顔を上げた。
視界に映る南の頬に、細い涙が伝っている。
俺の視線を感じたらしく、南は慌てて涙を拭いた。
「あーあ、今日は泣かないつもりだったのにな。やっぱり、ダメージ大きいなぁ……。…………ねぇ、大くん。心の準備できたから、返事聞かせて?」
「俺は、水崎のことが好きだから。だから、南の気持ちには応えられない」
「そうだよね……期待はしてなかったけどさ、やっぱ苦しいものなんだね」
普段見せない南のしょんぼりとした哀しそうな姿に、俺は焦った。
「け、けど、南のことは、友達として好きだから!」
「ふーん、この程度の演技に騙されるなんて、まだまだだね?まるで自称普通のラノベ主人公みたいなこと言っちゃってさ。浮気性の彼は嫌われるよ?福見」
小四の頃からの女友達はそう言うと、いつものようにからかい交じりのにやりとした笑みを浮かべていた。
お読みいただきありがとうございます。実はこの話、試しに予約投稿をしたものです……。ちゃんとできているんでしょうか?←仕組みわかってない
女の子の真剣な告白に福見くんは「え?は?」……。さすがに酷い……。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告してもらえると嬉しいです。感想が欲しいです。(露骨)