プロローグ 彼女
新連載です。
最初に言っておきますが、キーワードにもある通り、悲恋です。
十二話くらいで完結の予定です。
初めて私が彼女を見た時から、私はこの子とは仲良く出来ないな、と思った。
肩までのさらさらのストレートの髪に、儚げだけれどしっかりと意志を持った瞳。小動物を思わせるような可愛らしい雰囲気を持った彼女は、グループの中央にいて高笑いするタイプではなく、いつも傍にいて、相談が出来るような身近な存在で、彼女が微笑んでいるだけで、周囲の人も思わず笑顔になってしまうような、魅力的な女性だった。
男女問わず、すぐにみんなのことを虜にしてしまった彼女のことが、私は苦手だった。
いや、だった、ではない。今現在進行形で、彼女のことが苦手なのだ。たぶん、これから先もず――っと、彼女のことが苦手なのだろうなと思う。
別に、彼女に非があるわけじゃない。
彼女が、私に何かしたわけじゃない。
ただ私が勝手に、心の奥底で、”苦手だ”と思っているだけ。
ただ、私が勝手に、初めて見た時、”相性が合わない”と思っただけ。
彼女は私に普通に話しかけてくれるし、私だって表面上は感情を表さずに普通に話をしている。
けれど、私は今まで、割と充実した……何の問題もない人間関係を育んできた……と思っていたのだが、彼女を見た瞬間に、自分でも初めて、心の底からどす黒い感情がせり上がってきた。
今思えば、それがいわゆる“女の勘“というものだったのかもしれない。なぜなら…………………………………………………今一度、彼女について説明しようと思う。
彼女。それは、
私のクラスメイト。
そして…………私の好きな人の、好きな人。
彼女の名前を、水崎風花という。
読んでくださってありがとうございます。プロローグが女子の説明で始まるラブコメですが、よろしくお願いします。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字があれば報告してもらえると嬉しいです。