表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はヴァンパイアになるっ! - なり時を間違うと、人生設計のハードルがあがるものなのです。ヴァンパイアって-  作者: 林海
文化祭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/243

第4話 ヴァンパイアの予行演習


「ふん、さぁ、どうだかな?

 入るぞ」

 と、川本先生。

 大概、失礼だよなー。


「すみません、僕、担当なんで、先に入ります。準備しときますんで、5つ数えたら入ってきてください」

「ふん」

 そう鼻から息を吹き出して、川本先生、腕組みをした。

 僕、顔つきだけは神妙にして、一足先にエリアに入ったよ。

 まぁ、いい。

 ちょうどいい予行演習だ。



 相当に薄暗い。

 で、壁は作ったけど他にはなにもないので、がらんと広い。教室の3分の1弱の広さだからね。

 そして、そこにはすでに、子牛ほどの大きさのジェヴォーダンの獣がこっちを睨んでいた。


 あらためて思うよ。

 大きくてしなやかで、美しくて怖い。

 僕は、その背に身を寄せると、一気に霧になった。



 数秒後、川本先生が入ってきた。

 エリアの即席のドアを、外から誰かが閉めた。

 一気に部屋が暗くなる。


「おい、これがなんだって言うんだ?」

 そう言って数歩、歩く。

 その後ろで、僕、実体化した。


 川本先生、さらに数歩前に進んで、それからやっと僕たちの気配に気がついたみたい。

 びくって、肩がそばだたせられた。

 恐怖で、うなじがちりちりしているはずだ。


 でも、相当に鈍いよなぁ。

 センセ、あんたジャングルだったら狩られて喰われる役だよ。


 ぎぎぎって、ゆっくり首が回って、こちらを向く。

 真っ先に目に入ったのは、巨大な牙だったはず。


 すとんって、川本先生の位置が低くなった。

 腰が抜けたんだ。

 申し訳ないんだけど、「ざまぁ」って思っちゃったよ。

 ま、中学校の先生がさ、自分が学校で猛獣に喰われるってシチュエーションなんて、想定したことがないだろうからね。


挿絵(By みてみん)挿絵(By みてみん)


 僕の腰ぐらいの高さで、目玉が飛び出ている川本先生の顔に、僕は自分の顔をゆっくりと近づける。

 赤く光る眼、銀色の長い牙、

 さあ、普段は隠している僕の本当の顔だ。


「漏らすな」

 まずは、そう耳元でつぶやく。

 僕の命令は絶対だ。

 そもそもここでおしっこ漏らされたら、誰が掃除すると思っているんだ。絶対、僕なんだからな。瑠奈は絶対に掃除しないぞ。

 ったくもー、最低のマッチポンプだ。


 かくかく。

 かくかく。

 かくかくかくかくかくかくかくかくかくかくかくかくかくかくかくかく。

 川本先生、必死で頷いている。

「立って、ここから出ていってください。

 もう、ツマラナイことを言うんじゃありません」

 さらにつぶやき足す。


 先生、ほとんど膝立ちのまま、四つん這いを織り交ぜて駆け出していった。

 器用なもんだなぁ。



 で……。

 僕と瑠奈、中途半端に人間に戻ってから、後を追った。


 川本先生、展示エリアの真ん中で、真っ青になって震えていた。

 で、クラスのみんながそれを取り囲んでいる。

「先生、どうでしたか?

 コウモリの翼を付けた僕と、尻尾を付けただけの内川さんですよ。

 怖かったですか?」

「ひあっ!!」

 あーあ、声が裏返っちゃったよ。


「やだなぁ、単なる広い空間で、想像力が増すようにしてやると、人はススキだって幽霊に見えることの実証なんです」

「ほらほら、尻尾尻尾!」

 瑠奈がそう言って、(実は自前の)尻尾を体の前に回して、両手で振ってみせる。なんか、めちゃくちゃ可愛い。

 僕も、(実は作り物の)背中のコウモリの翼をぱたぱたと動かす。

 瑠奈と同じことができるかと思ったら、できなかった。中途半端に翼を生やしたら、腕がなくなっちゃったんだ。だから、黒いビニール傘を切って作ったんだよ。



挿絵(By みてみん)

次話、ヴァンパイアのビンゴ!


なのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ