第10話 ヴァンパイアの能力開放
スクールカーストの三軍は、クラスの中での扱いは間違いなく悪い。
中には、いじめの対象になっちまうようなやつだっているさ。
でも、それは、彼ら……、いや、僕らかな、が愚かであるということを意味しない。
他に関心を引かれることがありすぎて、その他のことがどうでも良くなっているだけだ。
それが、ゲームだったり、創作物だったり、果ては自分自身だったりするだけで、友人や学校の勉強に関心が向いていないだけだ。
むしろ、派手な一軍の方が救いがないのがいると感じるのは、僕のやっかみだけじゃないと思う。
確かに、中には本当にどうしようもないのも、いるにはいるよ。
でも、今回求められているのはクラスの平均点。だから、勝算はあるよ。どうしても、どう努力してもできないってのは、それはもう仕方ないじゃん。
できないってことも認めなきゃ、だよ。
もう放課後だけど、今日から試験終了日まで部活はない。
女子の群れの中心には瑠奈が、男子の群れの中心には荒川がいる。
当然、自力で勉強できる、したいって連中はまっすぐ帰った。だから、自信はない、どうしていいかもわからないっていう連中が残ったことになる。
そして、僕のところには、その2つの群れから弾かれた女子2人、男子4人の計6人がいる。
荒川のことをあまり好きでないって4人と、なんだかよくわからないけど、女子が2人だ。
で、6人のうち、僕の方を見ているのは男子2人のみ。女子はお互いに黙りこくってそっぽを向いているし、残りの2人の男子は自分の世界で遊んでいる。
まずは、彼らに振り向いてもらわないとだ。
で……。
方法は2つある。
人間らしくやるか、ヴァンパイアらしくやるかだ。
人間らしくするならば、同じカーストに属するっていうことからの共感を求める方法だ。
ヴァンパイアらしくするってのは、血を吸って僕の好きに操作するって手だけど、さすがにそれは嫌。
でも、もう一つ、確実で手早い方法があるんだ。もっとも、僕自身、初めて使う能力だけど。
うーむ、やってしまおうかな。
ヴァンパイアらしく……。
「なあ、みんな、ちょっとでいいから、僕の方を見て、話を聞いてくれ」
そう話しかけたよ。
さすがに、ここに残ってくれただけのことはあるからさ、完全な無視もされなかった。
うん、これで十分。
「あのさ、数学ってのは物語なんだよね。式ってのは国語みたいに読めるし……」
って言いながら……。
じんわりと目に力を込める。
瑠奈の群れも、荒川の群れも誰もこちらを見ていない。
今、チャンスだな。
僕の目、今、真っ赤なはず。
そして鏡があったとしたら、今の僕は映らない。
6人が6人とも、濡れた手で乾いた氷を触ってしまったように、僕の目から視線を外せないでいる。
もう、逃さない。
次話、ヴァンパイアの自己啓発セミナー
なのです。




