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第6話 ヴァンパイアの将来設計


 あとは僕が誰かに噛み付いて、その誰かをいい加減な吸血鬼にして貢がせるってのはアリだけど、あんまり搾取するのもどうかと思うし。

 かといって、10人くらいに同時に貢がせるような器用なこと、自分にできるとも思えない。なにがないって、僕に何人もの人を手玉に取るプレイボーイの才能だけは絶対ないと思うし。


 そもそも、いつまでも搾取され続けてくれるかもわからないし。

 ていうか、僕、他人の血を吸いたくて吸血鬼になったわけじゃないからね。


 だいたいさ、いくら金持ちでもおっさんの首筋にキスするのは避けたいし、とんでもないほどの美女だったらまあいいけど、僕みたいな中学生は相手にしてくれないから近寄れないだろうな。

 かといって、同級生の女子の首筋に……、あばばばば、さすがにそれってば、とんでもねぇ。

 僕の脳裏に、同じクラスの瑠奈(るいな)のたぬき顔が浮かんで、僕はわけもなく動揺した。


 冗談じゃない。

 僕は頭の中から、その顔を追い出した。

 僕はもうヴァンパイアだからね、こういう感情ともおさらばしなきゃだ。

 だって、女子を好きになるってことは、僕にとっては食欲なのかもしれないだろ?

 さすがにそれはどうかと思うじゃん。

 コウモリになって、女子の部屋に降り立つってのは永遠のテーマかも知れないけれど。

 それにもしもとんとん拍子にうまく付き合えても、どうせその相手はあっという間に歳をとって死んでしまうんだ。


挿絵(By みてみん)

 

 結局、よほどのことがないと、誰かに貢がせるって手は採りにくいってことを発見した気がする。

 だってさ、結局のところ、憎たらしい相手にこそ貢がせて搾取したいけど、そんなヤツに噛みつくのは嫌。

 逆に、噛みついてもいいなって人からは、貢いでもらいたくはない。

 ってさぁ、いまさらだけど、ヴァンパイアになることに必死で、なってからのことはあまりに考えていなかったな。

 そもそも、なれるという確証がなかったからね。

 あーもう、バカだ、僕。


 結局、誰かに貢いでもらうのがダメなら自分で稼がなきゃだけど、その具体的な方法が思いつかない。

 怪力があるから土木作業員っていっても、外見がこれだし。

 さすがに、中学生を雇う現場はないと思うんだ。

 で、怪力中学生なんて話になったら、テレビ局が取材に来ちゃうよね。


 せめて、せめて、あと5年経ってからヴァンパイアになるべきだった。

 ちょっと早まったかなぁ、僕。

 後悔しても、もう遅いけど。



 とりあえずしばらくは、そう、外見的な辻褄があまりに合わないと言われるまでの猶予(モラトリアム)の間、僕はヴァンパイアであることは隠して生きていくしかないのかもしれない。

 その間に、なんらかの生きる方法を探さなきゃだけど。

 当然のように、お金が口座に増え続けるシステムも、だ。


 あまりのハードルの高さにくらっとしたけど、それでも落ち込みかけていた自分を叱咤する。

 そう、どんなヴァンパイアにも、初日はあったんだよ。

 当然、(いにしえ)からの知識もなく、強大な力を持て余し、周囲から認められない初日がね。

 僕も、ここで心が折れちゃダメなんだ。


 がんばれ、僕。


挿絵は、コウモリになって、女子の部屋に降り立つってのは永遠のテーマかも知れないけれど。


 なんて考えている図。


https://twitter.com/RINKAISITATAR/status/1369939646000459777


久水蓮花 @ 趣味小説書き(@kumizurenka22)様からいただきました。

感謝です!!



次話、ヴァンパイアと素麺

なのです。

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