表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はヴァンパイアになるっ! - なり時を間違うと、人生設計のハードルがあがるものなのです。ヴァンパイアって-  作者: 林海
私は獣の娘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/243

第14話 獣の孤独


 ヨシフミ、今までの話で、なんか聞いておきたいことある?


 えっ、進路指導の三者面談?

 上手くごまかしているよ。

 片親しかいない設定だし、加えてその片親は救急医療に携わっている設定だからね。

 三者面談は、救急に患者が来たって、ドタキャンするの。

 で、娘の私と入れ替えに、母の私がはあはあ言いながら、「娘はまだいますか? 三者面談、間に合いますか?」って、二者面談に持ち込んだりしてる。

 可笑しいよね。


 これでメイクとかうまくすると、けっこう騙せるんだよ。

 声も変えるし。


 まぁ、変装を覚えると、小柄な中学生のままでなくても済むよ。

 ただ、毛むくじゃらの大男は無理があるかも。限度ってものがあるからね。

 さっきも言ったけど、大きく変えるためには、代償が必要なんだよ。私は、その代償を払って、2つの姿を持っている。

 まぁ、高い代償なので、今のヨシフミにはお勧めしない。



 でも、義務教育の受け直しって、時代に乗り遅れなくて済んで、悪くないよ。

 内容が同じようでいて、けっこう変わっているから、簡単には済まないし。

 昔はね、この辺りの地域じゃ、小学校の理科や社会で養蚕について詳しく教えていたんだよ。今はもう、ほとんど無くなっちゃったんだよね。

 それ、本当に淋しい。


 富岡製糸場での教え子も、みんな死んじゃったなぁ。

 本当にみんな、いい子たちだったのに……。

 長く生きるってのは、辛いことだよね。



 ……そうだね。

 ヨシフミの言うとおり、欲を言えば、義務教育が英語でなくてフランス語なら、もっと楽なんだけどね。もっとも、言い回しとか変わりすぎちゃって、私の言葉はちょっと古めかし過ぎるかもだけど。

 ヨシフミ、あんた、優しいね。

 今の、話題を逸そうとしたでしょ?



 え、ヨシフミ、話を戻すけどって、なに?

 ああ、君は自力でヴァンパイアになった人だもんね、そりゃ知っているよね。

 そう、ヨシフミの言うとおりだよ。


 C.R.C.は、クリスチャン・ローゼンクロイツ。

 母のローゼって名前は、彼が付けてくれたんだ。薔薇のようにきれいな娘だってね。

 彼の作った組織は、薔薇十字団。

 見る?

 これが団員の証。


 なに? 「Mの書」を読みたい?

 それは、また今度ね。



 って、ヨシフミ、アンタ、どこからヴァンパイアになるための知識を手に入れたのよ?

 その知識の裏を洗えば、どこかの結社にたどり着けるでしょ? 「Mの書」だって、読めているはずじゃん。

 もっとも、それ以前の問題として、「Mの書」の日本語版はないけど。


 えっ……。

 複数の結社から漏れ伝えてくるものを、信頼性評価をしてパッチワークにつなぎ合わせた?

 それを元に自分を材料に実験を重ねて、自力でヴァンパイアに?

 よくやれたわー、ヨシフミ。

 ちょっと尊敬するよ。



 とにかくさ、私は、こんな経験をしてきました。

 私の直接の同類は、C.R.C.の作った母の産んだ兄弟しかいないけど、彼の流れをくむ魔術結社はたくさんある。

 そこでもきっと、私の同類が作られたことがあると、私、信じているの。

 まだ、誰にも会えてないけれど。


 あ、そうだね、イギリスにエイリアン・ビッグ・キャットを探しに行くのもいいかも。

 あ、猫の改造人間?

 だ、誰が狼の改造人間じゃ?

 改造素体が違うって失礼ねっ、ヨシフミ。

 薔薇十字団を悪の秘密結社みたいに言うなっ。

 ヨシフミっ、笑うなーっ!



 ねぇ、ヨシフミ。

 本当にヨシフミは、こんな存在である、私が好きなの? そして、一緒に生きていけると思うの?

 私から見たら、中学の先生だって、ガキ以外の何物でもない。

 だから、100年、様子を見ようかって話、マジなんだよ。


 でさ、長く生きていると、取り繕うのとか、みんな面倒くさくなってくる。

 だから、もじもじしているヨシフミに、「アンタ、お義理で頑張ってくれなくていいから」なんて言っちゃうのよ。

 

 ああ、そう。

 ヨシフミはせっかちなんだね。

 じゃあ、あんまり時間もないけど、もう一晩だけ考えなよ。

 人でいたときと、今のヴァンパイアのときで、思いに変化はまったくないのか?

 そこからまた、判断できることもあるよ。



 えっ、私自身の思い?

 ヨシフミのこと、嫌いじゃないよ。

 好ましくもある。

 けどね、今はまだ、「自分にはヨシフミしかいない」ってほど、好きとも言い難いかな。

 きっと、母ほど一途じゃないんだ、私。


 ……わかったよ。

 じゃ明日学校で、もう一度ヨシフミの思いを聞くよ。



 ……それはともかく、さ。

 自分のこと、初めて人に話したよ。

 話す相手が、ヨシフミで良かった。



 ありがと。

 あははっ、ペットボトルのことじゃないよ。

 ヨシフミ。

次話、新章に入ります。


ヴァンパイアのお付き合い未満

第1話 僕はもう、ヴァンパイアになってる!

に続きますーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ