第22話 ヴァンパイアの告白のやりなおし
瑠奈のこのため息、聞いたことあるぞ。
たしか、体育祭で僕の足が太陽の光にあぶられて、痛みに耐えているときだった。
で、僕なりに、瑠奈の考えを推し量って、あのとき、こんなことを言ったんだった。
『僕がリレーで頑張りすぎて怪我をしたのは、自分が頑張りたいからだ。瑠奈さんとのデートの機会を作れるからじゃない。だから、「怪我をさせてしまった」なんて考えなくていいから。
「申し訳ないからデートする」って言うんならば、今回はパスということにしてくれて構わない』
って。
そのときだって、きちんと気を使って言えたと思うんだけどなぁ。
で、そのときも瑠奈、なんか、すごく心外って顔になったんだった。
あのあと、「どういうつもり?」って問い詰められたし。
あれっ、つまりコレ、ハズレの答えなんだ。
ハズレって言えば……。
誠意を込めて、人生について聞いたはずなのに、
『……まぁ、いいわ。
もう、アンタには期待しない』
なんてことも言われたなぁ。
いつだって気を使って、言い回しもきちんと考えてたはずなのに、なにが違うのかな?
そう悩んでいる僕の顔に、すっと身を寄せて瑠奈は下から見上げてきた。
うん、赤毛のときも黒髪のときも、身長自体はそんなに変わらないんだな。
「ヨシフミ、アンタ、お義理で頑張ってくれなくていいから。
メ・イ・ワ・クなのっ!」
えっ!?
「義理じゃないよっ。
……なんで、そんな言い方するん?」
「あのねぇ、義理じゃないなら、なんで『大切にする』なんて言うのよっ!?」
「えっと、あの、その……」
ああ、そういうこと……。
瑠奈の求めている答え、ようやく僕にもわかったけど……。
たしかに、最初に言わないといけなかったことだけど……。
瑠奈にため息つかれたり、呆れられたりした理由もわかったけど……。
これがヴァンパイアのすることだろうか?
耳まで赤くなるだなんて。
「るる、る、る……」
「私の正体がアレだからって、動物でも呼んでるつもりかっ!?」
「ち、違うっ。
る、瑠奈さん、あ、あなたが、すすす、すすすすす、好きです。
だから、大切にすしますし、がんばるります」
ああ、悲惨だ。
日本語になってない。
「ヨシフミ。
やっと、言ってくれたね。
それがあって、だからこうするって話にしてくれないと、怖いから」
あ、う、たしかにまぁ、それはわかる。どれほど動揺していても、だ。
いきなり誰かに、「お前を守るっ!!」とか言われたら、熱血ヒーローかって思うかもしれない。
次に変質者かな?
やっぱりさ、「これこれこうだから、こうしたいのです」って、動機は最初に話すべきなんだよね。
そうでないと、どん引かれて終わりだ。
「あ、あの、それで、僕とつきあってもらえますか?」
怖いけど、もひとつ、押して見た。
次話、ヴァンパイアがもらった返事
なのです。




