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僕はヴァンパイアになるっ! - なり時を間違うと、人生設計のハードルがあがるものなのです。ヴァンパイアって-  作者: 林海
ヴァンパイアの「好きです」

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第20話 ヴァンパイア、初めてのキス


 瑠奈(るいな)のスマホを時折ちらちらと見て、30分。

 僕、もう待てない。不安に押しつぶされそうだ。

 救急病院に連れていくしかない。


 で、瑠奈を抱えなおす。

 ヴァンパイアの無限の体力ならば、瑠奈を抱きかかえて行くのは簡単だけど、その姿を誰にも見られたくはないからだ。

 今日日、街中のどこにカメラが有るかわからないから、また霧化して病院へ行こうって思ったんだ。

 で、霧化するとなると、僕の身体の周囲30cm以内に入ってもらわないとだから、こうするしかない。


 ぐっと腕に力を込め、瑠奈の全身を抱き上げて霧化する一瞬前、瑠奈の顔でなにかが光ったような気がした。


 反射としか言いようがない。

 光ったのは瑠奈の牙。

 両手で瑠奈を支えていた僕は、他に手段もなく、やはりとっさに伸ばした自分の牙でそれを食い止めていた。


 重高音が響き、牙同士が噛み合うものすごい衝撃を、首の筋肉がきしみながらも受け止める。

 人間の筋力だったら、根こそぎ首から上を持っていかれたかもしれない。ヴァンパイアの僕でも、かろうじて受け止められたに過ぎない。そんな凄まじさ。


 牙と牙が擦れて、「ききききっ」て高い音を立てた。

 瑠奈と僕、至近距離で目と目が合って……。


 次の瞬間、瑠奈、僕から飛び離れた。誇張抜きで、実測しても5m以上の高度があったと思う。

 で、どれほどの筋力なんだろう?

 空を舞ったということよりも、着地のときにほとんど音を立てないことに驚いたよ。


「なにすんのよっ!?」

「僕じゃない。

 瑠奈さんが……」

「言い訳するなっ!!」

 声量は大きくない。

 でも、地を這うような凄みと殺気は特大。


「説明を聞いてよ。

 お願いだからさ」

「私の、初めてを返せっ!」

「はあっ!?」

「返して……、返してよぅ……」

 えっ、次は泣きますか、この人。

 で、初めてってなに?


「ぐすっ、ぐすっ。

 私の、初めてのキスを返して。

 なんで、ヨシフミなんかに……」

 なんか(・・・)は余計だ。

 で、そか、僕は、瑠奈の初めてのキスの相手になってしまったのか。

 って、アレ、キスなの!?

 頭、吹き飛ぶかと思った。

 まちがっても、「甘い」なんて修飾語はくっつかないなぁ。

 「凄まじい衝撃のファーストキス」って、これはこれで嫌だ。


 瑠奈、泣き続ける。

 もう、近寄るに近寄れないし、なんか慰めようもない。

 しかたないから、僕、事実だけを淡々と話すことにした。

「あのね、言い訳じゃなくて、状況報告だから。

 お願いだから、それは聞いて」

 まったく僕の言葉に反応しない瑠奈に向けて、僕は感情抜きに起きたことだけを話した。


「えぐっ、えぐっ……。

 バッカじゃないの、ヨシフミ」

 いきなりそれですか。


「なにがよ?」

「ぐすっ。

 あの男の端末壊すより、ひそかにメールの転送設定した方が良かったじゃん」

「……あ!」

「もーっ、ばかばかばかばかーっ!

 えーん、わーん」

「ごめん……」

「あて先のメアドは覚えてきたから……」

「そんなの、こちらから働きかけなきゃダメな方法でしょ?

 あの男の背後、たぶん個人なりネットの集まり程度だとは思うけど、その根っこがもっと大きい組織かもってことだって、確認できないじゃん」

 参ったな。

 瑠奈の泣きながら言うこと、全面的に正しいよなぁ。


次話、ヴァンパイアの告白


に続きます。

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