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僕はヴァンパイアになるっ! - なり時を間違うと、人生設計のハードルがあがるものなのです。ヴァンパイアって-  作者: 林海
ヴァンパイアの「好きです」

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第18話 ヴァンパイア、やるだけやって脱出


 男は腕いっぱいに荷物を抱え込み、自分の部屋を出た。

 僕のやった破壊工作(いたずら)は、なに1つ気がつかれていない。

 さ、次のこの男の顔は、絶対に見逃せないぞ。


 部屋に入り、瑠奈がいないことを確認した男は、焦っているのに茫然自失って顔になった。

 そうそう、これが見たかったんだよ。


 怯えたように紫外線ライトに手を伸ばし、そのスイッチを一心不乱にかちかちする。ま、点くわけない。

 男の表情が怯えに満たされた。

 慌ただしく視線を揺らしながら、ピストル型ボウガンに銀の矢をセットしようとして……、弦が切れた。


 弦と同時に、心の中の勇気の糸も切れちゃったんだろうね。

 男はロープを肩に掛け医療キットを持って、自分の部屋に戻ろうとする。


 僕、そっと男が肩から掛けたロープを引っ張る。

 はらっと、ロープ、砕けるようにばらばらになった。

 振り返って、それを見た男の膝が砕けた。

 四つん這いになって、必死に自分の部屋に戻っていく。「ひいいいっ」っていう、マジの悲鳴をあげながら。

 で、僕、その足をすくう。

 お、四つん這いから顔を床に打ち付けたな。

 すごいスピードで這っていくなぁ。

 はい、ごくろうさまです。


 僕、換気扇を含む空調システムのスイッチを見つけたけど、あえてそれには触らないでお風呂場の別系統の換気口から脱出した。

 せっかく瑠奈が蒔いてくれた、疑惑の種だもんね。

 霧化して逃げたことを、こちらから明らかにする必要はないよね。




 荒川の家にはかなり長い時間いたような気がしていたけど、実質1時間ぐらいだったようだ。

 まだ夜明けには間がある。

 実体化して瑠奈を抱えると重さがあるけど、霧化していればその問題はない。だから、僕はスピードは出ないけれど、そのまま昼間に打ち合わせした公園の物陰まで移動して、それから身体を実体化した。

 なんせ深夜に中学生の男女が会っているのを、パトロール中の警官にでも見られたら補導されちゃうからね。物陰、コレ、大切。



 瑠奈を、冷たい土の上には横たえたくはない。

 なので、花壇のところの大きな縁石に座り、膝の上に抱え込む。

 身体を霧にした時に、瑠奈がスマホを持っているのは気がついていた。学校では見たことなかったけど。

 緊急事態だから、申し訳ないけど借りてしまおう。

 ロックを解除する指紋もここにあるし。


 とにかく、まずは覚えている薬剤名を検索しよう。

 うん、日本で最もよく使用されている吸入麻酔薬で、安全で導入覚醒共に速いものらしい。副作用も少ない。

 気道刺激性が低いなんて書いてあるから、思いっきり吸い込んじゃったんだろうねぇ。


 僕の腕の中の、赤毛の白人の瑠奈、いつもの面影はあるな。

 まだ意識が戻らないので膝の上に抱え込んでいるけど、しげしげと見れば見るほど可愛いかも。フランスではなんて名前だったのかなぁ。

 てかさ、今のモードのときの名前の方が、本名なんだろうね。「瑠奈」は、日本に来てからの名前のはずだから。

 それに、もしかしたら獣のときは、さらに別の名前があるのかもしれないし。としたら、そっちが本名かな。


 つか、あらためて考えると僕、瑠奈のことをほとんど知らないんだなぁ。

 瑠奈が獣に産まれて人間になったのか、人間に産まれて獣になれる能力を身に付けたのか、それすら知らない。

 それに、いつ、なんで日本に来たのかとか、いろいろ聞いてみたいよ。


次話、初心うぶなヴァンパイア


なのです。

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