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非日常に振り回される、在り来たりな日々の冒険譚 番外編  作者: SUNA
番外1 在りし日々の冒険譚
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番外1 人生初のVRMMOの始まりの日・3 ~ログインして数時間、まだ帰れません~

 番外1 人生初のVRMMOの始まりの日・3 ~ログインして数時間、まだ帰れません~


 伸した男を眼前に、考えてもこれといって良い解決策は浮かばずに、自分は暫し立ちすくむ。


 単純に助けを呼べばいいのかもしれないが、半分は自分の失態で、それ以上に、その……男が男に襲われましたなんて言っていいものか矜持的な意味で悩んだ結果、やっぱり、男の身ぐるみを剥ごうという結論に。


 もちろん、こいつらのことはちゃんと通報はするつもりだけど、匿名で手紙とかで行けるんじゃない? とか思ったり。


 意を決して、意識を落とした男たちの内の比較的汚れて居なさそうな服に手を掛け――。


「そこで何をしている?」


「――ひにゃっ!??」


 び、ビックリした。現実だったら物音とかで気づきそうなものだが、それとも気配を消していたのか何かのスキルか、声を掛けられるまで全く気付いてなかったよ。さっきの猿の声で異変だと思って見に来たのかな。


 しゃがんだまま振り返れば、制服らしきものを着た超絶美女が。


 オレンジがかったブロンド? 暮れかけた日の光でそう見えているだけかもしれないが、緩くウェーブかかった髪をサイドテールにしてレイピアの様な細刃の剣を自分に向けている。


 薄暗くなる中でもその容姿は霞むこともなく、剣呑な雰囲気も合わさり、息をのんだ。


 武器を突きつけられているにも関わらず、何処か他人事の様に感じてしまうのは、これがVRだと分かっているからなのか、単純に女性が余りに現実離れしている為か。


「もう一度問う、そこで、何をしている?」


「っ……あー、追い剝ぎ? ですかね?」


 先ほどより更に圧を掛けて再度問われ、緊張と混乱から質問を疑問で返しちゃったよ。


「ほう? 追い剝ぎ、ねぇ? そうか、取りあえず両手は開いたまま耳の横まで上げて、こちらを向いて貰おうか」


 はい、よくある降参のポーズですね? 武器とか何も隠し持ってないよって手を開いてちゃんと見せろよってことですか。逆らう理由は……服を如何しようって事だけだけど、人が来た時点で隠しきれる自信はないし、諦めよう。


「っな!?」


 言われたように立ち上がって身体を向ければ……剣呑な雰囲気は霧散して、女性の顔は一瞬で赤くなって、今度は青くなる? 


「その恰好は――っ、君が襲われた方か!? どこまで……、いや、今は取りあえずこの場を――」


「っちょ、落ち着いて下さい。大丈夫です。恰好はこんなですけど、怪我とかもしてませんから」


 武器は仕舞って一気に距離を詰めたと思ったら、手を伸ばし掛けはて引っ込める、といきなりの挙動不審に。


「そ、そうか? いや、でも……かといってこんな場所で……」


 何かを言ているが、ちらりとこちらを見ては顔を赤くさせ、その度に首を振ってを繰り返す美人さん。変な格好を見せたのは申し訳ないが、そこまでキョドらなくてもいいと思うのだけど、そのうち大きく息を吐いて少し落ち着けたのか、まだ少し顔は赤いがこちらに向き直った。 


「済まない、少し動揺した様だ。取り合ずその恰好はどうにかし――」


「ボス、どうしました? 何か分かりましたか?」


 お? この女性の知り合い、基、部下さんがいらっしゃったのか、複数の足音と声が。


「ヒルビズ、待て! 指示があるまで待機だ! 直ぐに追って指示を出す。繰り返すが指示があるまで3人とも待機! その場を動くな! いいな!」


「「「っは!」」」


 おー、こんな未知の状況で間を置かず返事ができるなんて、信頼のある証拠か? っと、意識が反れた、今は自分の恰好だったな。


「済みません、生憎と手持ちがなく、仕方なくそちらの方を服を借りちゃおうかな? って思っちゃいました」


「あんな汚いのは止めておきなさい。取りあえず、その破れたシャツは脱いで……私のこのマントでもいいかな」


 汚してしまいそうで申し訳ないが、我儘は言えないし、頷いておく。結局、裸にマント? ……でも自分のより丈はあるから膝下ぐらいまで隠れるし、いいか。


 言われたように破れたシャツに手を掛け……あれ? なんか変な風に破られたのか、引っかかった。こんなだし、千切ればいいかって引っ張るけど、なんでか千切れないんだけど? 繊維の向きか? なら短剣はっと、確か自分の短剣があちらの方に放られて、あった。


「どうした?」


 いつまでもゴソゴソしている自分に、女性は首を傾げた様子。


「済みません、変に引っかかったみたいで、短剣で切ってしまおうかと」


「そんな肌の近くで危ないな、引っかかり、そのまま取れないのか?」


 切った方が早いと思ったのっだが、女性の手が伸ばされ、絡まったシャツを引っ張り――。


「っにぁ!」 


 変な声が出たよ。


「……っと、失礼しました。ちょこっとこそばゆくて……」


 今さながら口は押えたが意味なかったかな。だって不意だったし、擦れた場所が悪かったのか擽ったかのは本当で、恐る恐る女性の方を向けば、あれ? 女性の動きがフリーズしてる? 


「えっと? どうかしましたか?」


 そんな自分の言葉に今度は手をワキワキさせて……怖いんですけど?


「ふふ、ふふふ、そんなに怯えなくても大丈夫よ? ほら、ちょこーっと触る……いえ、そのシャツをね?」


 え? えぇっ!? 本気で怖いんだけど! 自分は何か変なスイッチを押したのかってぐらいの豹変ぶりなんですが!? 何事!?


 女性ににじり寄られ、その分自分は下がって、元々隅に居たしすぐに背中は壁に当たって逃げ場を失った。


 さっき武器を突きつけられた時より、怖いんだけど。そんな自分の心情はお構いなしにさらに距離は詰められ、女性の方が身長が高いのか見下ろされ美しい顔が目の前に。


「――っぁ……」


 言い知れぬプレッシャーでしゃがみ込んでしまった。


「あらあら、逃げなくても良いじゃない? その邪魔なシャツを脱がすだけでしょう? そのついでに何処か触っちゃうかもしれないけど、仕方ないわよね?」


 いえいえいえ、言葉だけ聞いても何かがおかしいです、何で触るの? 絶対仕方なくないよね、むしろ狙ってない? お願い、正気に戻って!


「ボス、ストップ。怯えてるっていうか、本気で襲っているようにしか見えないんですが、この状況は?」


 あ、助けが来た。さっき聞こえた声の部下の人が声を掛けてくれたおかげで、女性も止まってくれた。ってか、いつの間に?


「……3人とも指示があるまで待機と言ったはずだが? まぁ、私も遣り過ぎたのは否めないが……来てしまったのか」


 気づけば自分の横からしゃがんだ自分に目線を合わせる栗色ボブカットの女性が一人とその後ろから背の高い白? 銀かな? そんな髪色のベリーショートの男性が1人、あとボスと呼ばれている最初の女性の横にも如何にも仕事出来ますといった雰囲気のインテリ眼鏡なプラチナブロンドの襟足の長い男性が1人。


 えっと、“じー”って音がするぐらい見られてるんだけど、また何かあるの?


「うっは、なにこの可愛い生き物、鬼ボスが怖くて怯えたにしても可愛すぎじゃね?」


「リギナ、お前はそれ以上絶対に近づくなよ? それと誰が何だって? 減給だな。何にしろ来たのなら、仕事だ、あっちに転がってる3人を捕縛しておけ。それとミルディ、彼に合いそうな服を一式見繕ってこい、最速でな」


「「アイアイ・ボス!」」


 気持ちのいいお返事で。長身の人は減給でもいいの? それでもって可愛い生き物? どこかにさっきの猿でもいたのな? それよりも服って言ったか? 次から次に話が転がって微妙に付いていけないが、確認はしないと。


「あのっ、服って――」


「えっと、君は来訪者だね? なら普通に『アイテムボックス』は使える筈だから、脱がずともシャツは仕舞えるんじゃないかな?」


 気になった言葉を聞こうとしたら遮られたんだけど…………ソウデシタ、装備品はそのまま収納可能でした。自分も何処か動揺してたのかな? そんな当たり前のことにも気づけないなんて、恥ずかし過ぎる。


 ちらりとボスと呼ばれている最初の女性を見れば、バツが悪そうにマントを差し出してくれたんだけど、受け取っていいのかな? いいよね?


 背の高い男性がリギナさんでボブカットの女性がミルディさん、ボスさんの隣が最初の声の主でヒルビズさんだっけ? 皆さん同じ制服姿だから、この街の警備隊か憲兵さんかな?


「はーい、では立ってね?」


 うお、まだ居たんだ。ミルディさんに言われるまま立ち上がれば自分の周りをくるりと回って頷いてらっしゃる。


「ふむふむ、身長はワタシくらいで、体格は……細めっと。じゃぁ、行ってきます!」


 そして消えた、何かのスキルかな? ……あ! そうだ服って、一式って、確認できなかったけど、話の流れから自分のだよね? 仕方ない、どうせ新調しないといけないんだからここは甘えて、代金は後日にしよう。


 何にしろ、破れたシャツとついでにマントと短剣も拾って仕舞って、渡されたマントを羽織って漸く一息付けた気分だ。


「済みません、お騒がせしました。仰る通り、自分は今日来たばかりの来訪者のクラヒと言います。あの3人を伸したのは良いのですが、正直この後どうしていいか分からなかったので、助かりました。有難うございます」


「礼はいい、謝罪はこちらがするべきだな。名乗り遅れたが、私はこのヴァスリンの警備隊1班班長のキルディエ。今回は我々の警備の不行き届きで大変な目に遭わせた、申し訳ない」


 キルディエさんとヒルビズさんに揃って頭を下げられた! 自分の好奇心が招いた結果なだけに申し訳ない。


「いえ、そんな。自分の警戒が足りなかったことです。頭を上げて下さい」


「だが、もし絡まれたのが、年端も行かない子供だったら? 抵抗できない女性だったら? 君はどう思う? 本人の警戒がどうこうと言う問題だけではないのだよ。誰が歩いても安全である、その為の警備隊が我々である以上、来訪者の対応に追われて警備が手薄になりましたなんて言い訳は出来ないし、するつもりもない」


 この人たちは自分の仕事に誇りを持っているからこそ、こんな状況での不測の事態を少しでも減らしたかったのだろうな。


「分かりました、謝罪は受け入れます。まぁ、悪いのはアイツらですけど」


 リギナさんに捕縛されている3人組にちらりと目をやって……見ないことにした。


「ボスが呼んでたから分かると思うけど、私はヒルビズ。一応警備1班班長補佐って言うかストッパー兼、尻ぬぐい? まぁ、そこは良いんだけど……後は、あっちの変態がリギナで、服を買いに行ったのがミルディだね。それとこれ、飲んでおいてね」


 視線を逸らした先のヒルビズさんと目が合って、改めて紹介を受けたのは良いんだけど、さらりと愚痴が入ってた? そして差し出されたのは、ポーション瓶?


「えっと?」


 受けっと取ったはいいけど、何で? 意味が分からず首を傾げれば困ったような表情。


「うーん、言い辛いんだけどね? 首筋の鬱血痕、隠れてないし……、その、他も凄いことになってたなって。だからヒーリングポーションで治しちゃって?」


 首? 他も凄い? ウッケツコン?? って、なんだっけ?


「あれ? 君、見た目ほど年齢が行ってない? 礼儀正しいし、相応の歳かと思ってたんだけど……」


 いや、何処かで聞いた覚えはあるんだけど、思い出せないだけで、年は相応どころかもっと上ですよ、とは言えない。


「これは天然ちゃんだね?」


「――っひにゃ!」


 変な声がまた出た。ってか、行き成り首を撫でるな! いつの間にリギナさんは自分の後ろに?

 

 さっきのキルディエさん並みの怖さを感じたので、慌てて距離を取る。キルディエさんも何か雰囲気が怖いけど、また変なスイッチ入ってないよね?


「ほら、所謂キスマークだよ? 天然の無自覚ちゃんめ、めっちゃ好みです。このままお持ち――ぶへっ」


 キス……マーク? あー、鬱血痕ね。自分で見てないから失念してたし、普段あまり関わりのない話題だったからなぁ。にしても、リギナさんは何だろう、自分なんかを好みって変態なのかな? あ、でもヒルビズさんが変態って言ってたっけ? そしてキルディエさんに何かを投げつけられて転んだあと動かないけどいいのかな? そしてキルディエさんはリギナさんを引きずって何処に連れて行くんだろう。


「あー、重ね重ねうちの者が悪いね。ほら、理解したところでそれを飲んで、治しちゃおう? ボス、気持ちは分かるけど止めを刺しに行かないの! クラヒ君がまた怯えちゃうよ? どうせ殺るなら、後にしになさい」


 止め……? 殺るって……後からならいいの? ……うん、ジブンハナニモキイテナイヨ?


 さて、これ以上ヒルビズさんの心労を増やすわけには行かないので、言われた通り頂いたポーションは飲み干して、みたはいいけど……折角の初ポーションなのに、自分では変化は全く分からないな。


 確認しようと借りたマントをめくろうとしたら、ちゃんと治ってるってヒルビズさんに全力で止められた。まぁ、元々余裕も無くて自分がどんな状態だったのかを知らなかったから、見ても変化には気づけなかったかもだし、自分のストリップはお目汚しでしかなかったかだろうから、止められて正解だったのかな。

 

 リギナさんは一瞬目を輝かせて、直ぐに凹んでたのが謎だけど。


 味は広場で食べたモンゴが近かったです。


  ◇ ◇ ◇


 あれから暫く、ミルディさんが戻るまでに何があったかの報告と少しだけ世間話を。


 後半は主にヒルビズさんの苦労話だったけど、時折キルディエさんも加わってこの街の事とかも少し聞けました。


 リギナさん? 何でか自分にちょっかいを掛けたがるからって、簀巻きにされて、ある意味芸術的な捕縛のされ方の3人組と一緒に転がってましたが何か? 自分は何も見てないよ? 基本3人組は視界には入れないようにしてたから、自然とリギナさんも視界には入らなかっただけだからね。 


 今回ミルディさんが買いに行った服一式は、あの3人組による服の汚れやら損傷なので、報償させる為にもあの3人に払わせるんだって。


 更にプラスアルファで、あの3人の捕縛に褒賞金が出るからこの後中央の警備隊の隊舎に行って、もう一度形だけの事情聴取とその褒賞金の受け渡しがあるそうです。


 そろそろ疲れたし、こちらも日が暮れてしまったし、一旦ログアウトした後じゃダメかな? その旨を聞いてみたら、大丈夫ってお言葉が。


 ただし、宿までの送り迎えが付くことに。


 お仕事は大丈夫かを聞いたら、既に隊舎には念話? 所謂ゲームで言う所のPT会話みたいなので連絡済みで、ローテーションは組み直して他の人がちゃんと警備に当たっているのと、この4人に関しては、あの3人組の移送と自分の警護がお仕事なんだって。


 色々申し訳ないが、謝れないので心の中で何度か謝罪してます。


「お待たせしました! 中々に良い物があったので、ちょこっと時間が掛かりましたが、早速着てみてください!」


 おおう、ミルディさんがいきなり現れた。何のまでは分からないが、やっぱりスキルなのかな。


「ミルディ、私は最速でと言ったはずだが? クラヒ君も居るんだぞ? こんなに待たせるとは」


「アイ・ボス。でも見たら納得の筈です!」


 自信満々に渡された紙袋を受け取り、中の服を出せば、出てきたのは思ったよりシンプルなシャツとズボン、それと全身が隠れそうなフード付きのマント。


 でも、シンプルなのは見た目だけで……シャツなのに防御値が自分の持っている()()()近いんだけど? 見間違い……じゃぁないね。


 慌ててキルディエさんを見たら、納得の表情ですが、これって普通なの? 常識人と勝手に認定しているヒルビズさんも頷いているから、いいのかな?


「ほう。確かに、中々に良い物を仕入れたな、このデザインでこの防御、それに……火の耐性付きか。ズボンの方もちゃんと防刃仕様、良く手に入ったな?」


「アイ・ボス! 耳は良いですから、唯その分交渉に時間を取られました。それにクラヒ君ならこれくらいはあった方が安心でしょう!」


 え? 防御値だけじゃなくて、耐性? それにシャツやズボンなのに、防刃仕様って言った? これって、絶対普通ではないでしょ? 初期装備なんて目じゃないぐらい高価なものなんじゃ?


「えっと、聞いても良いですか? これって、お幾らですか? いくら弁償させるって言っても、流石に自分の着ていたシャツの代用にしては、色々とおかしいですよ?」


 あれ? なんですかその無駄にものすごく良い笑顔は、皆さん美形揃いだから目が潰れそうです。


「知らなくていい。何にしろこれは君の物だ、さぁ早く着替えなさい」


「あ、因みに、アイテムボックスに入れて“装備”すれば、リギナ(あの変態)にクラヒ君の肌を晒す危険はないからね?」


 その言葉は、地味に自分も傷つきます。破れたシャツの失敗が抉られるよ?


 何にしろ、何時までもマントを借りたままなのも申し訳ないし、言われたように服一式をアイテムボックスに仕舞って、装備してみる。


 うん、サイズってどうなってるんだろう、って思えるぐらいピッタリだけど自動調節なのかな? 着心地からも断然初期装備より上質だと思われます。


 借りていたマントは外せば、似合う似合わないは置いて、違和感はない。新しく用意してもらったマントも装備して……あれ? ステータスの装備補正値がおかしい……見なかったことにしよう。


 さて、外したマントはどうしようか、現実ならクリーニングしなきゃいけないところだけど、自分はまだそれ系のスキルは取ってない、かといって返さない訳にも行かないし。


「えっと、長々とお借りして済みませんでした、ありがとうございます。何処かでクリーニングした方がいいですか?」


 分からない事は素直に聞いておこう。


「あぁ、そんなに汚れた訳でも無しそのままで構わない。だが、君が気にするのなら『クリー――」


「ちょっと待ったぁ!! それは僕が買い取ります! はぁはぁ……クラヒ君の肌に直接触れたマ――ふぐっ」


 ……自分は何も聞いてないし見てないよ? 簀巻きでミノムシ状態のリギナさんが、正に芋虫の様に這い寄って来たのをキルディエさんが投げつけた何かに吹き飛ばされた所なんて、見て無いんだから!


「『クリーン』、さて、大分時間を取ったが、まぁその服に免じてくれると助かる。一度君は宿に戻るのだったな、送っていこう宿は何処だい?」


「えっと、西区の『銀の葡萄亭』です」


 ん? 自分が宿の名前をいったら微妙な空気が、なんだろう、珍しい物を見る目に近いかな。


「あー、うん。では2手に分かれますか? ボスと私がクラヒ君を送るから、ミルディは済まないがリギナ(あの馬鹿)とあの3人を。さて行こうか」


 分かれる2手はあっさりとヒルビズさんの言葉で決まり、移送組は残念そうだったけど反論は出なかった。影の有力者はヒルビズさんさんと見るが、まぁその分色々と苦労をしてきた様子なので、当然だよね。 




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