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井戸の水

作者: 鈴朗

昔ある人に私は拾われました。その人は十兵衛という男でした。

十兵衛さんは普段は優しいのですがあることをするとひどく怒るのです。

それは井戸の水を汲むことでした。

そのときの十兵衛さんの顔は真っ赤で、眉間のしわは一層寄り、鬼を思わせるような顔をするのです。

その顔がひどく怖く、私は井戸の水を汲むことはありませんでした。

あるとき十兵衛さんは町へ買い物に出かけました。私は一人家で暇を持て余し、十兵衛さんの帰りを待っていました。

すると突然、女性が戸を叩き家に入ってきました。

その女性は、水が欲しい。たまらなくのどが渇いている。少しでもいいから水を分けてほしい。と懇願してきました。

しかし家にはもう水がありません。近くには川も海もありません。

井戸の水は十兵衛さんから汲むなと言われています。しかし女性はひもじい様子で今にも息絶えようとしています。

命には換えられません。私は井戸の水を汲み、女性に飲ませました。すると女性はひどく喜びまるで生き返ったかのように元気になり、後を去りました。

しばらくして十兵衛さんが帰ってきました。私は十兵衛さんに女性に井戸の水を飲ませたことを伝え謝りました。

しかし、私の話を聞いた十兵衛さんは鬼の顔になるのではなく、笑顔になったのです。そして私にこう言いました。

「あれは死期が近い人には薬になり生をもたらす、遠い人には毒になりその人を殺すんだ。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませて頂きました。 背筋がゾクリとする話だなと思いました。
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