3八銀! AI自動運転将棋
3八銀!
その数十分後、藤井棋聖が誕生した。
17歳11月、史上最年少でタイトルを獲得した。
「地元の誇りだ」
T社長は叫んだ。
「これからは将棋の時代だ」
T社長はニヤリとした。
「いい商売になりそうだ」
T社長は遠い目をした。
未来を見つめるように。
「AIと融合させれば・・・」
2年後、T社長はAI将棋を完成させた。
T社長を祝福するように、
藤井棋士は4つのタイトルフォルダーになっていた。
「王手デス」
銀が斜め前の3八に移動し、相手の駒を弾き飛ばした。
数秒後、老人は頭をさげた。
「負けました」
AI将棋の勝利だった。
T社長が開発したAI将棋は、モニタに映るコンピュータ将棋ではなく、
実際の駒が動くのだ。
これが将棋好きな老人に大ウケした。
1セット、十数万円もするのだが。
駒は磁力で、リニアモーターカーのように移動し、
相手の駒を取る時は、弾き飛ばした。
これが自動運転将棋と言われたゆえん。
しかも、強かった。
コンピュータのAI将棋よりも。
それも、当然だった。
1駒、1駒にAI将棋プログラムが起動しているため、
つまり全20駒のAIが存在するため強いのだ。
『歩』、『飛車』、『角』の目線でそれぞれ数億手先を読み、
『王』が統合している。
T社長は自動車の自動運転技術のAI開発者を投入し、作り上げていた。
ふつうの老人が勝てるはずもないが、当然、強さのレベルが設定できる。
最強モードでは藤井棋士も勝てないと言われた。
世間は社長の道楽だと批判した。
しかし、T社長は計算ずくだった。
「この先読み技術を確立できれば、完全なる無事故が達成できる」と。
完全な藤井棋聖への便乗作品でした。
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