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第38話 魔王討伐の証明・後編

今日出す約束のもう一本、12:00は跨ぐと思いますが「広義今日」中には出します。

バリン、ドシャーン!


……あ、やっべ。忘れてた。


いつもの癖で結界バイパスの強度を1人乗りにギリギリ耐えるくらいにしてたら、結界が割れてしまった。

アラレジストと2人乗りしてたのを全く計算に入れてなかった。


まあ、これは怪我の功名とも言える。

というのも、俺たちが地面に衝突したのは王宮の門前だったからだ。


特に何も意識せず門を素通りしていたら、サフシヨ様と仲のいい俺はともかくアラレジストが捕まってしまっていただろう。


門番にギルドでもらった書類を見せ、しばらく待つ。

数十分後、門番の1人の案内で、アーティファクトの所在地に赴くことになった。


☆ ☆ ☆


アーティファクトがしまってある倉庫に入ると、宮廷魔術師が1人待機していた。


「魔王の討伐証明はどちらですかな?」


「この指です」


アラレジストが宮廷魔術師にルシオラの指を渡す。


その間、俺はアーティファクトを鑑定していた。


【魔力残滓検出器(チャネル→アール=エルシィ)】

魔神の魔力の痕跡を検出する魔道具。

青酸神シーエ=ヌが魔神としての職務怠慢を破壊天使リンネルに報告するため発明、人間の手に渡った。

記録は、「破壊天使の公的書類」としての効力を持つ。


人間がこの魔道具を使用した際青酸神シーエ=ヌにそれを知らせる機能が付いているが、アタミの死亡の以降この機能は意味を為さなくなった。


構造は複雑で、人間に再現できる代物ではない■


……想像以上に面白いものだったな。

まさか、破壊天使への内部告発を目的とした道具だったとは。


確かに、魔王を誕生させる事など魔神の本来の業務とは言い難いだろう。

恒星系の管理に必要な工程にはなり得ないからな。


そして、「破壊天使の公的書類」というのがどういうものなのかはよく分からないが、それがあれば破壊天使リンネルが魔神を断罪する有効な証拠となるのだろう。


宇宙に存在する銀河の数とかを考慮すれば、こんなことで拷問のような重い罰が課せらるとは考えにくいが……製作者である青酸神からすれば、魔神を失脚させられれば十分だったのかもしれないな。


……実に面白い。ひょんなことで魔神の弱みを握れてしまった。

やはり、魔王関連のイベントには参加してみるに限るな。


あと細かいことを言えば、これは厳密には「魔王」を検出するものではないな。

俺が加護を与えたヤウォニッカやサフシヨ様はこれでは検出できない。

逆に、魔神の使徒(俺が紋章を改造したやつではなくオリジナルのこと)や元祖の魔槍は感知されることになる。


そんなことを考えているうちにも、宮廷魔術師はアーティファクト起動の準備を着々と進めていく。


そしてついに。

「それでは、術式を起動しますぞ。淳さんとやら、私に魔力の補助をお頼み申しますわい」


俺の出番だ。

しかし、具体的にどう魔力を供給するかは聞いてなかったな。


「俺はどうすればいいでしょうか?」


「1番手っ取り早いのは、淳さんがワシに魔力譲渡をするやり方じゃわい。効率は悪いが、淳さんの魔力なら何とかできよう」


「では」


魔力譲渡の感覚なら、何となく覚えている。

俺が最初に魔神の紋章を手に入れ、魔力のコントロールがおぼつかなかった時、回復魔法をかけたらそんな感じになったのだ。


あの感覚から、回復を差し引いて出力を上げるようにすればいいのだろう。


「ふむ……何とも独特な魔力譲渡をなさいますな」


「そうですか。で、量はこれで大丈夫でしょうか?」


「十分すぎるほどですわい」


良かった。これで、無事に魔王の討伐が証明されそうだな。



そして、およそ10分後。


突然アーティファクトが轟音をあげ、中から1枚の札が出現した。

宮廷魔術師がそれを取り上げ、「ふむふむ」などと呟きながら解読する。


「お見事ですわい。これで、魔神の討伐が証明されておりますじゃ。この札にワシが署名しますゆえ、ギルドに持って行きなされ」


そう言って札にサインをし、宮廷魔術師はアラレジストに札を渡した。


「いよっしゃエスrrrラーンク!」


アラレジストよ、嬉しいのは分かるが王宮で巻き舌ではしゃぐなよ。

全く、最後まで締まらんやつだな。


そんなことを考えながら、王宮を後にする。


学院対抗戦まであと3日。

大して時間は残されていないが、何もしないでいるにはあまりにも暇すぎる。

今日みたいに手頃で身になる暇つぶしイベントがあれば良いが……果たして、そう都合よく何かが起こるだろうかな。

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