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第34話 勇者をプロデュースした

ごめんなさい、12時回ってしまいました。

今日(←3月19日のことね)中に第35話も出すんで、それで平均毎日投稿の約束は守ります。

「アラレジストさん、いい話があります」


アラレジストというのは、今分割払いに来た俺の顧客の名前だ。


「今後の分割払いを一気にチャラにできる提案ですが、いかがですか?」


「あ、是非!」


とりあえず、食いついてはくれたな。

後は、提案の難易度を見誤って拒否されなければいいのだが。


「これから俺は冒険者ギルドに行き、魔王討伐の指名依頼を出します。指名するのは当然、アラレジストさん。討伐報酬は、分割払いの残り18回分と同等の額です」


「……はい?」


「魔界までは俺が転送します。魔王討伐は一気にランクを5つ上げられる依頼内容ですし、アラレジストさんにとっても悪い話では無いかと」


「……いや、ちょっと待ってくださいよ。魔王って、魔界にいるんっすよね? 僕、魔界で身、持ちますかね……」


「大丈夫です。甲型使徒紋持ちのアラレジストさんは、俺の鑑定の上では魔王の約70倍の強さと出ています。万が一にも負けることは、いや傷を負う事さえ無いかと」


「そうですか、淳さんがそうおっしゃるならそうなんでしょうけど……でも相手は大陸を切り離すようなバケモンっすよ?なんか勝てるイメージが出ないと言いますか……」


……あ、そうか。

人類にとって、魔王と言えば未だにプレート=テクト=ニクスなんだったな。


「あ、アラレジストさんが想定している魔王は俺が前に倒しました。アラレジストさんに倒していただきたいのは、その次の代の魔王です。魔王って、先代が異常に強かっただけで通常は大陸移動なんてさせる力を持ってはいません。その点はご安心ください」


「なるほど……。なら次の魔王も淳さんが倒せばいいような気がしますが、なんか事情があるんでしょうね。後継者育成とか。分かりました、引き受けます」


……俺が倒すわけにはいかない理由を聞かないでくれるのはありがたいな。

事情の予想はまるっきり外れてるが、訂正する気も無い。


「では行きましょう」


☆ ☆ ☆


まずアラレジストの家に行って野宿道具を取ってきてもらい、それから冒険者ギルドに向かった。


アラレジストはといえば、道中ずっと「エッスラーンク♪エッスラーンク♪」と上機嫌だった。

いい仕事してくれそうだ。


いつもの窓口ではなく、依頼用のカウンターへ向かう。


「すみません。1つ、指名依頼を出したいのですが」


「はい、分かりまし……って、学生番号281番? 淳さんじゃないですか! なんで……依頼側?」


「複雑な事情があるんです」


「そうなんですね、分かりました。」

受付嬢は、興味津々と残念が入り混じったような顔でそう言った。


ギルドの規則上、依頼者が話したがらないことを詮索できないからだろうな。


「……で、依頼内容はどのようなものでしょうか?」


「魔王の討伐です。指名は、アラレジストさんで。」


「魔…………MA!?」


「時間が無いんです。依頼料はこれで。魔王討伐に対しては少ない額かもしれませんが、双方の同意の元決めた金額なので」


受付嬢は空いた口が塞がらなくなってしまっているが、構わず分割払い18回分に相当するお金をカウンターに置く。


聖騎士たちが軍の予算で現金一括払いにしてくれたので、賄えた金額だ。


「ま……まあ、淳さんがそう言うなら、その内容で処理しますね……」


そう言って、受付嬢はお金を持ってカウンターの奥へと引っ込んで行った。


俺はアラレジストが依頼を受けるまで、ギルドの待合で過ごすことにした。



約30分後。


「淳さん、依頼、受けてきましたよ」


アラレジストがそう報告してきた。


「じゃ、行きますか」


ギルドを出て人通りの少ない場所へ移動し、転移魔法を……あれ、転移魔法って俺使ったことあったっけ。


まあいいや。空間座標を歪ませるイメージでやれば。


見よう見真似で、転移用の黒い扉も顕現させる。

転移に魔力を1割ほど使ってしまったのは、まあ稚拙なイメージを魔力でゴリ押したからだろうな。

こんなことならちゃんと学んでおけばよかったな。転移先が明確でないと使えないと知り、破壊天使リンネルに会うのには使えないと思って放置していたのだが。


「うっわぁー、ここが魔界かあ」


アラレジストが感想を漏らす。

俺たちはルシオラの拠点から少しだけ離れた、砂漠地帯のような所に転移した。

もちろん、ルシオラの拠点とヤウォニッカのいる新魔王城を結んだ直線上の地点にだ。


ちなみに出発時は夕方だったのだが、微妙に時差があるのでもう真っ暗だ。


「あっちの方角に魔王がいるの、分かりますか?」


「……ああ……僕、危険度感知は使えないんで何となくですが……ほんと強そうじゃありませんね……」


言いながら、慣れた手つきで野宿の準備をするアラレジスト。


「そういえば、淳さんはどこで寝るんですか?」


「俺は収納の中にいます」


「収納……は? え、マジで?」


思わず敬語を失うほど驚愕したアラレジスト。


「やっべぇ……やっぱ淳さんは格がちげーわ……」


「あ、でもそれだとアラレジストさんを一人で放置することになってしまいますね。大丈夫でしょうか?」


「あ、あれが相手なら何が起ころうと遅れは取らないんでご心配なく。良い収納睡眠を!」


……適応の早い奴だ。

さて、俺も収納で寝るとするか。

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