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第33話 魔王VS魔王の予兆

サフシヨ様に魔界の状況を説明するのには結構手間取った。


俺が魔王を倒した、というところまでは良かったのだが、俺が新たな魔王を誕生させたところの話になると「何でせっかく魔王を倒したのに新しく作るのよ」となかなか理解してくれなかったのだ。


後になって考えると、魔王の厳密な定義が「魔神の加護を受けた者」である事を最初にサフシヨ様に教えておくべきだったのだろうがな。

まあいずれにせよ、時間はかかったが最終的には理解してくれたので良しとしよう。


……ただその後、サフシヨ様が「その加護って人間にもかけられるの?」と聞いてきたのは想定外だったがな。


サフシヨ様の意図は一瞬で見抜けたし、そこで「不可能だ」とさえ言えばその後に来るお願いを先回りして断ることもできた。

だが、無視できる程度の力を与えて事実上の最高権力者に貸しを作れるならやらない手は無い。俺は、サフシヨ様にも加護を与えた。


丁型使徒が加護を受けると恐ろしいもので、サフシヨ様の強さは0.73500まで上がった。


加護を与えると、サフシヨ様は「事情は分かったわ。でも可能な限り対抗戦にも間に合わせてね」と言って帰っていった。


「さーてと、まずは状況整理だな」


1人になったところで、まずやるべきは更なる魔界の情報収集だ。

魔王に念話をかけるか。


……いや、その前に「魔王より遥かに強い魔族」に鑑定をかけてみるか。

議論を交わすための材料は、多いに越したことはないからな。


もっとも、「魔王を媒介した、かつ遠距離での鑑定」なんてものでまともな鑑定ができるかは分からない。

これとばかりは、やってみるしかないな。


「鑑定」


【魔王・ルシオラ】

強さ、0.00720■


強さしか分からんのかい。

……いや待てよ、名前に「魔王」と付いてるってことは、魔神が何かしでかしたことは確定か。

それが分かったところで大して意味は無いのだが。


やっぱり、魔王に念話をかけた方が早いか。


『あ……あ、あ、あ。念話(マイク)テスト、テスト。ヤウォニッカ、聞こえてるか?」


『……あ、聞こえてますよ! こちらこそ、まいくてすとです!』


……「マイクテスト」は挨拶じゃねえぞ。

まあそこにツッコんでる暇もなさそうなので、早速本題に入るとするが。


『ルシオラって魔族がどんな奴か知っているか?』


『彼は私があの準決勝で倒した魔族ですが……それがどうかなさいましたか?」


『ああ、あいつか。実を言うとな、あいつ……旧型の魔神の方の加護を受けていて、今は奴も魔王になってるんだ』


『……はい?』


『あっちの魔神に何の意図があるのかは知らんが……警戒しておいた方がいいだろう。ちょっと前、探知魔法にとんでもない奴が映ったろ?』


『そうなんですよ! あれ、ルシオラさんだったんですね。……せっかく淳様に加護を与えて頂いたというのに……私、もう魔王の座を奪われちゃうんですかね』


『その心配は無い。いざとなれば、俺が倒せばいいだけの話だ。』


『まあ、そうして頂けるのが可能なら嬉しい限りなんですが……正直、それはまずいと思います』


『何故だ?』


『最強の魔族が魔王を名乗るのがしきたりなので、魔神がクーデターを妨害すると問題があるんですよね……』


……それはちと厄介だな。

ぶっちゃけ旧魔王を既に殺してる身としては今更感があるのだが、今となっては俺も魔神としてしっかり認識されてしまってるからな。


ルシオラとやらも、今はまだ本格的に動き出してはいない。

今のうちに、魔族も納得できる始末の方法を考えるとするか。


ぶっちゃけ、俺がヤウォニッカを守る理由はどこにも無い。


だが魔族は、個人個人が持つ特殊魔法のバリエーションが多彩だ。

もしかしたら、また破壊天使に近づくヒントとか、インスピレーションを受けられるかもしれない。だから、できる事なら魔界案件には積極的に介入したいのだ。


粗方課題を浮き彫りにすることはできたので、念話を切った。


その時。勢いよく、ドアを開けて入ってきた奴がいた。


「淳さん、ちわ〜っす! 今月分の分割払い、払いにきました!」


そこにいたのは、サフシヨ様の新法案可決前の俺の顧客。

こいつを見て、俺はとある策を思いついた。

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