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第18話 全世界が異常事態だ

「は〜〜淳〜〜。 やってくれたわね〜〜」


開店から10日後。

大きくため息をつきながら、サフシヨ様が閉店作業中の「彫り右衛門」に入ってきた。


「どうしたんだ?」


「……一応聞くけど、イカタコウイルスを拡散させたのって淳で間違いないわよね?」


「その質問には答えられないな」


「あのねえ、ここでシラを切ろうとしても無駄なのよ。そもそもここ数か月で、この国でクラーケンないしコラーゲンの討伐記録があるのは淳だけなのよ?それに、イカタコウイルスに関する情報は四百年前に起きた『契約事変』以来最高レベルの箝口令が敷かれてて、今では王族とフワジーラ家の一部の人間しかその存在を知らないの。イカタコウイルスの鑑定は今の宮廷魔術師のレベルだと不可能だし、存在に気づける人間は淳しかいないのよ」


「『契約事変』って何だ?その時もイカタコウイルスが蔓延したのか?」


「そうよ。イカタコウイルスは契約魔法を受けたことの無い人間には感染できないから、あれから約200年、一切の契約魔法の使用が禁止されて漸く飛沫感染型のイカタコウイルスが根絶されたの」


「ちなみに聞くが、イカタコウイルスを蔓延させた人間はどうなる?」


「世界反逆罪で家族ぐるみで奴隷落ち……は不可能だから、即刻処刑されるのが通例よ。通例って言うほど例はないけど。証拠なんてフワジーラ家の権限があればどうとでもできるから覚悟しなさい……と言いたいところだけど、淳を処刑する方法が存在しないから実質無罪放免よ」


「俺には家族もいないしな。……破壊天使リンネルと結婚できていれば話は変わったのかもしれないが」


「あの方を処刑しようとした時点で銀河ごと消されるわね。は〜頭が痛い」


う〜ん。

そういえばあの時は頭に無かったが、サフシヨ様は聖女だけじゃなく関白としての一面もあるんだったな。

王族の運命すら握る高位貴族が、奴隷の1人や2人所持していないはずがない。


サフシヨ様以外のフワジーラ家の人間やその他の貴族がどれだけ苦しもうと知ったこっちゃないが、サフシヨ様には少々悪いことをしてしまったなと思うのだった。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「第2次契約事変」と呼ばれることになるであろう今回の出来事は、前回の契約事変では影響が出なかった地域にも影響を及ぼした。


そう、魔界である。


前回の無印「契約事変」で使われたのはクラーケンのイカ墨。感染したウイルスは「イカタコウイルスMk-Ⅰ」だった。

「イカタコウイルスMk-Ⅰ」はMk-Ⅱとほぼ同程度の性能を持つウイルスだが、唯一「400海里以上海を渡ることができない」という点においてMk-Ⅱに劣っている。


それ故に、魔王・プレート=テクト=ニクスの魔法により強制的に切り離された大陸である魔界にはその影響が及ばなかったのだ。


しかし、Mk-Ⅱは違う。惑星全体に行き届く感染力で、魔族同士の契約をも無効化しだしたのだ。

高位魔族が領民の低位魔族にかけた「強制徴税」の契約魔法を。


ユフイン領やアタミ領は特にその影響を受けなかった。それはそのはずだ。そもそもイカタコウイルスが蔓延する前に契約主が死に、契約魔法が無効となっているのだから。


魔王直轄領も特に何事もなかった。

そもそも「強制徴税」は、不当に高い税率をかける際反発をなくすために開発された魔法だ。

良き為政者であり、初めから領地運営に必要十分な税率しかかけていない魔王は「強制徴税」を使用していなかったのだ。


問題があったのはハコネ領。

全ての領民が、暴徒と化した。


「もうてめえの重税なんて払わねえよ!ぶっ殺してやる!パラリラパラリラ〜」

「カーモンベイベーハコネちゃん!クーデターの勃発をインスパイアード!」

「パラリラだぜぇ?パラリラだろぉ?」


ハコネの屋敷は瞬く間に暴徒に囲まれた。


「何事ですか!サイレントヒル!」


ハコネの特殊魔法で、暴徒の8割が吹っ飛んだ。

契約魔法が無効になり、確かにハコネは窮地に立たされている。しかし、それでもハコネは魔王妃。並みの暴徒など敵ではない。


……あくまでも「並みの暴徒」は。

残った2割は、ハコネ領でも特に強いとされた魔族たちだ。


ハコネと暴徒は激戦を繰り広げた。


そして、漸く暴徒が最後の1人となった時。

ハコネは力尽き、暴徒と刺し違える形となり命を落とした。





次の日の朝。

暴動の知らせを聞いた魔王は、無残な姿と成り果てたハコネを見るなりこう呟いた。

「これというのも、全てはあの『最凶の氷雷使い』が元凶に違いない。なんとしてでもあの男を屠らねば俺の気が済まぬ!」


愛に溺れた魔王には、千堂 淳のしたことは単なるきっかけに過ぎず、全てはハコネの自業自得であることを認める事など到底不可能だった。


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