君の名は
「……」
「教えてくれ」
「……」
「君の名だ。君の」
「……」
だが、君は何も答えない。いつもそうだ。
「なぜだ?僕が君の名を口にしてはいけないのか?!」
「――っ」
「君の名を知りたい!!ただ、ただそれだけなのに!!」
そうだね、君はいつもいじわるだ。
「ああああ、君の名を叫びたい!!」
「言いたいんだ!!」
「きみのなをっっ!!」
「――」
「だからおしえてくれ!!」
「僕だけに! 僕にだけに!!」
ああ、もうじれったい。
君はそうやっていつも黙ってる。
「お願いだ、教えてくれ!!」
――刹那、君はか細い声でこう言ってきた。
「あけましておめでとう――」
「あ」
年が明けた。新しい年がスタートする。
そして、我に返って君のほうを振り向くといなくなっていた。
「ああくそ、今年も聞きそびれた!!」
いつもいつもそうだった。毎年毎年やってくる君。
僕はいつも聞けずにいた。
今年こそは君の名を聞いてやる。
僕の足長おじさん――。