転生そして異世界
眼が覚めると、此処は知らない場所だった。具体的にいうと、さっきまで東京のど真ん中にいたのに、今は知らない森に囲まれた、ちょっとした小山のようなところに寝ていたのだ。
「え?ドユコト?俺死んだんじゃないの?あー此処死後の世界?いやでも心臓ふつーに動いてるし...」
俺は困惑したが、まぁ死後の世界ならなんでもアリかと思い、納得した。
「もしもし?聞こえるかね?」
なんかきたー!しかもどこからかわかんねーし、知らない声!
「ほれ、きみの横にある杖、そこに赤い石が埋め込まれているだろう?」
ちらっと横を見ると、60㎝くらいの木でできた杖があった。
...さっきまでなかったよね?
「...うぉほん。まあ良いではないか。その石、まぁこの世界では魔石というのだが、それを通してきみに話しかけてるということじゃ。」
「ふーん。っていうかあなたは誰ですか?そしてこの世界ってどういうことです?」
「おお、それもそうじゃのう。わしは神じゃ。」
......は?
「いやまあ違う世界に異世界転生したのではとは思ったけどさー。神はなくね?」
「いや、事実じゃぞ?しかもこの世界で一番偉い神じゃ。わしが、きみをこの世界に呼んだんじゃよ。」
「ならちょっと此処にきてくれません?そうしたらちゃんと信じて話聞きますから。」
「うーむ。本来は下界に降りちゃいかんのだがのう。...まあ良い。ちょっと待っておれ。」
そして通信が切れた。いけないんじゃないのかよ⁈フットワーク軽!もう俺ヤケになっちゃうよ?
............は?何アレ?
森の方で人が武装して、ゲームとかで見るスライムっぽいのと戦ってるんすけどー?
「おっと、待たせたのう。...あれはこの世界で冒険者と呼ばれているものじゃよ。この世界は君たちの世界のよく知るファンタジーゲームのようなところじゃ。ギルドがあり、冒険者がいて、魔物がいる。まあ剣と魔法のファンタジーの世界だと思ってくれれば結構じゃ。...さて、下界に降り、きみの元へ来たのだからこれで信じてくれたかの?」
「あ、ああ。分かった。」
「さて、なぜきみをこの世界に呼んだかというとな、...きみ、ちょっと不憫すぎやしないかのう...と思い、まあ神の世界の神に交渉してきみの魂と肉体、そして記憶をそのまま受け取ったわけじゃよ。」
「そうなんですか...もうなに聞いても驚きませんよ...。あ、でも俺なんかのために交渉ってなにしたんですか?」
「ああ、それは気にしなくて大丈夫じゃ。きみの世界の神はまだ子供でのう。君からすると小学3年生くらいかのう。じゃから神同士でやっているカードゲームのレアカードを1枚渡したら喜んで君をくれたよ。」
......俺の命は一枚のカード以下かよ。
「...まあありがとうございます。ですが俺って戦ったことないんですよ。だからこの世界で生きていけますかね?」
「そのことについても心配無用じゃ。転載することができただけでも儲けものだとは思うが...、流石にこの世界では酷というもの。じゃからわしが君の初期能力を、騎士団長が退団するレベルにしておいた。『...え?』魔法も覚えれば全ての魔法を使えるようにしておいたし、『ん?』習熟速度は常人の10倍じゃ。あとは...『ちょっ...』おおそうじゃった。お金の問題じゃのう。お金の価値は元の世界と違うから気をつけるように。あとで町の人にでも聞きなさい。まあ銀貨100枚もあれば大丈夫じゃろう。杖を使えばわしと会話ができるから大変なことがあれば聞きなさい。『...』ああ言語の問題もじゃな。それに関しても問題ないぞ。君にはこの世界の言葉を元の世界の言葉のように話せるようにしておいたからな。もう大丈夫じゃろう。では転生生活を楽しんでの。」
............
「いやちょっと待てい!なんでそんなチートじみた力を俺が持ってんの!?確かにいい力だよ?いい力だけどさ!俺はこの世界でスローライフを始めるんだ。そんな力あっても無駄だと思うよ?」
「じゃが持っていた問題はあるまい。偶然手に入れてラッキー的な感じに考えておけば良いじゃろう。」
「う......まあ確かにそうですね。ではありがたく頂いておきます。」
「うむ。スローライフ頑張っての。」
「はい。ありがとうございました。では。」
そうして神様と別れた俺は、貰ったチートとお金と杖でスローライフを始めることになったのだった。
「さて、異世界から石を放って見たが...どう波紋が生まれるかのう...」