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Wizard of Diaster  作者: 巡
第一章 運命始動
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Epilogue『日常 -The new Days of Wizards-』



――あの決戦から、一週間が経った。


 あの日以降、僕の日常はちょっとだけ変わって……そして、元に戻った。




「――うっす、おはよ、シオン」



 朝の通学路にて。アンジェと一緒に登校しているとき、誰かに挨拶される。

 振り向くとそこには、白髪の少年。

 親友にして、好敵手。


「ん、おはよ、ロート」


 ロート・ニヴェウスが、通学鞄を片手に立っていた。


「おはようございます、ロートさん」

「おはよ、アンジェ。……あぁそうだ。ずっと言おうと思ってたんだけど――こいつ(シオン)焚きつけるとき、アンジェの名前使ってごめんな?」

「いえいえ。全然気にしてませんよ? ロートさんのおかげで、兄さんは成長を遂げたのですから。わたしの名前使うくらいなんてことないです」

「それでも……いや、ここは好意に甘えておくよ。ありがとう」

「そうしてください。それじゃ、行きましょうか」


 和やかに、アンジェとロートが挨拶を交わす。


「―――、」


 その光景が、僕にとっては何事にも代え難いモノだった。


「あっ、シオンせんぱーい! ロートせんぱーい! アンジェー! おはようございまーーーーすっ!!」


 学院の近くまで行くと、僕達の名前を呼ぶ元気な声。声がした方を見やれば、そこには青髪の後輩――エメが手をぶんぶん振りながらこちらへ向かってきていた。後ろには、リオもいる。


「おはよう、エメ。それにリオも」

「おはようございますっっ!!」

「おう、おはようさん。つーか、うるせぇんだよこの馬鹿」

「バカとはなんですかバカとはぁっ!」

「そのまんまの意味だ」


 リオとエメは相変わらずの様子で、今日も喧しく言い合っている。二人が加わることで、一気に賑やかさが増した。

 けど、この光景も、僕にとっては大事なモノだ。


 二人に一人加わって。三人に二人が加わって、五人になる。


 以前まえは無かった光景。現在いまだから在る光景。

 かつての日常がカタチを変え、新しい日常となっていた。




 ――そして、この新しい日常には、もうひとつ、大事なモノがある。




「―――――あ」


 学院の門を潜り、校舎への入り口の前までやってきたとき、その人物が視界に入った。


「……ごめんみんな、先に行っていい?」

「先輩、またですかぁ?」

「お熱いことで」

「おまえら見てないかもだけど、コイツとあの人、告白するときすっっっっげぇ熱かったんだぜ?」

「え、マジ? ちょ、ロート。そん時の様子詳しく教えろよ」

「ロート先輩、あたしもー」

「………おい、ロート」


 急にとんでもないことを言い出すロートに釘を刺す。


 ……こいつ、実は負けたのが悔しくてこんなことやってるんじゃないだろうな?


「………、兄さん。はやく行ってあげてください。この人達はわたしが何とかしておきますから。――シアさん、待ってますよ?」

「――うん。ありがとう、アンジェ」


 やはりよく出来た妹にひとこと礼を告げ、僕は入り口前まで急いで歩く。

 そして――そのひとの名前を呼ぶ。

 僕の新しい日常。その中でも、最も欠かせない存在の名前を。


「―――シア!」



 ――最愛のひとの、名前を。



「シオンくんっ!」


 僕を目に留めるや否や、シアは顔を明るくさせ、僕の名前を呼んでくれた。




 この瞬間が、この日常が訪れるまで、とても長かった。

 迷い、悩んで、苦しんで、立ち止まって――それでも、小さな勇気をもって、一歩踏み出した先に、この日常しあわせは在った。


 だから、後悔はない。

 もしかしたら、また何か苦難がこの先僕を待ち受けているかもしれない。


 けど、大丈夫だ。だって、周りには親友達がいる。隣に、彼女がいる。

 だから立ち止まることはあっても、進むことは恐れない。そう、決めた。



 今日もまた、一日が始まる。


 ――――何事にも代え難い、陽だまりのような一日が、始まる。









                          第一章 運命始動/了



これにて第一章完結です! 第二章開始は未定ですが、なるべく間を空けないうちに始められるよう頑張ります!

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『Wizard of Diaster : Material』
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