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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第五章 闘技大会編
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『羅刹』

「決勝進出を決められたミリアーナ選手、決勝の抱負を!」

「決勝という大舞台、確かに緊張もございますが、気負わず、いつも通りの自分で戦いたいと思っております」


 うーむ。

 なんなんじゃこやつらは!


 準決勝をさっさと終わらせ、闘技場の観客席に現れたところで、記者達に囲まれてしもうた。


 ええい、めんどうじゃのう。


 しかし妾は学園のミリアーナ・スカーレットとして参加している身。

 相応の対応はせねばな。


「決勝ではリーシア選手、ジーニスタ選手のどちらかと戦う事となりますが、どちらが上がって来ると思われますか?」


 お、良い質問じゃな。


「分かりません。しかし、どちらが上がってこようとも私のスタンスは変わりません。私は全力で戦うのみです」


 正直妾にもどちらが上がってくるかは分からん。

 アビリティの存在を考えればリースじゃが、あれはアビリティを完全に制御出来んしのぅ。

 ジーナの成長にも目を見張るものがある。


 面白いカードじゃ。


『ミリアーナ様』


 その時アンナの声が頭に響く。

 アンナの姿は見えんが、この人混みの外側にでもいるのじゃろう。


 アンナは遠隔念話を使う事ができる。


 本来念話は体を触れていないと中々上手くいかん。

 空中では言葉を乗せた魔力がすぐに霧散してしまうからじゃ。


 しかしアンナにはそれが出来る。


 アンナの恐ろしく繊細な魔力制御が成せる技じゃ。


『リーシア様が目を覚ましたようです。試合には何も影響が無いかと』


 うむ。

 ご苦労じゃったの。

 ついでに妾をここから救い出しては……


『それでは私は観客席を押さえて参ります。ミリアーナ様もそこから早く抜け出されますよう』


 むっ!

 ちょっと待つのじゃ!

 妾を置いてくでは……!


 ……念話を一方的に切られてしもうた。

 面倒がりよって……!


 まぁリースに何も無くて良かった。

 今回は我ながら博打じゃったからのぅ。


 昨日の夕方にツルギを見つけた時、奴は相当辛そうにしておった。


 天眼で奴の目を見て分かった。

 ツルギはアビリティ『羅刹』を受け継いでおった。


 『羅刹』は鬼人族のごく一部の者のみが覚醒するアビリティ。

 鬼の本性が封じ込められたアビリティじゃ。


 鬼人族の祖先、鬼はそれはそれは戦闘好きで、もはや戦闘狂と呼べる域じゃったという。

 人族と交わり、血が薄まっていくにつれその本性は薄れていったが決して無くなったのではない。

 先天性のアビリティ『羅刹』と変化したのじゃ。


 これに覚醒した鬼人族は鬼の戦闘本能に侵されていく。

 並の者では抑え込む事は不可能。

 発狂して周囲の者を肉親だろうが殺し尽くす。


 その昔、鬼人族が迫害された原因でもある。


 時が経つにつれ『羅刹』を宿した血筋は殆どが絶えてしもうた。

 迫害、同胞での殺し合い……その原因は様々じゃ。


 しかし中には『羅刹』を克服する者も現れた。

 ツルギの父君、クサナギ殿と母君、ツバキ殿もそのクチじゃ。


 この事は、古い文献に基づいた推論ではある。

 しかしこの2人が『羅刹』という難儀なアビリティを所持している事は確かじゃ。


 ツルギはその血を継いでおる。

 もしや、とは思ったが、確かに奴も『羅刹』のアビリティを受け継いでおった。


 昨日のツルギはまともではなかった。


 同じアビリティ所持者を見つけ、戦闘本能をさらけ出す自分の中の鬼と、それを抑える理性。

 その2つの感情の板挟みになっておった。


 正直妾は見てられんかった。

 自分を抑圧する事の辛さは何となく分かるものがある。

 今の妾も、学園では魔帝国の姫としての自分を抑えこんでおるからな。


 じゃから言ってしもうた。

 リースならきっと受け止めてくれる、と。


 無責任な事を言ったつもりは無い。

 リースは妾の妹、鬼なぞに簡単に負けるとは思わん。


 しかし試合中、肝を冷やしたのは事実じゃ。


 一度、リースの首が飛んだ錯覚すら見た。


 しかし彼女、いや、彼らはそれを乗り越えた。

 これは素晴らしい事じゃ。

 リースはこの3年足らずで相当に大きくなったようじゃの。


 姉として、主として、妾も負けてはおられん。


 まずは……


「ミリアーナ選手はセリーア魔法学園の3年生との事でしたが……」


 この群がる記者達を何とかせねばの。

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