受容と宣言
「………ここは……」
私は真っ白な部屋で目を覚ました……というわけではない。
確かに全体的に清潔感のある白で構成されているが、ただの病室だ。
個室らしいな。
ツルギとの戦いに勝って……
その後寝ちゃって……
ここに運び込まれたって感じか。
「起きたね。リース」
横を見ると……ツルギが刀を研いでいた。
「ああ、ごめんごめん。する事無かったもんでね。だからそんなに身構えないでよ」
「あんな事しといて、紛らわしい真似すんな!」
ビビった。
この野郎、まだやんのかとか思った。
心臓に悪い。
「私はどれくらい寝てた?」
「6時間くらいだね」
「随分経ったんだな………試合は?」
「それは……」
コンコン
その時、控えめなノックの音が響いた。
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのはジーナだった。
私を見ると安心したように息を吐いた。
「リースさん……お加減はどうですか?」
「十分寝たし、絶好調だよ」
嘘ではない。
傷も塞がってるし、魔力も十分に回復している。
我ながら回復力すごいな〜
「そろそろ準決勝第1試合が始まったと思ったんだけど……」
「ミリアーナ様が勝たれました。瞬殺と呼べるスピードで」
「流石だね……」
「もう準決勝が始まってるのか?」
「リースは次の試合だよ。大体1時間後」
ということは、2回戦を全て見逃してしまったという事になるな。
ちょっと待てよ……
ミラが今戦って、ジーナがここにいるということは……
「私の準決勝の相手は?」
「私です」
やはりジーナか。
「……お2人の試合、見せてもらいました。私の知らない2人の力を見て……やっぱりリースさんやツルギさんは凄いなぁと思いました」
そこでジーナは言葉を区切り、私を真っ直ぐに見た。
いつになく意志を感じる目だ。
「リースさん、私、全力で戦います。私はリースさんの弟子で、お2人の仲間であると胸を張って言えるように、そして……勝ちます」
「ああ。全力でかかってこい。ただし……」
私はベッドの上に立ち上がった。
下に降りてもいいのだが、そうするとジーナより目線が低くなって格好がつかないからな。
これでいい。
「師匠は負けられない。勝つのは私だ」
「はい……では私はこれで」
ジーナは一礼すると、病室を出て行った。
後に残されたのは私とツルギだ。
「僕さ。あんな事しちゃったから、ヒロ達にはドン引きされたんだ」
「分かるぞ。私もドン引いた」
「やめてよ……でもね。ジーナは全く接し方を変えなかったよ。彼女は彼女なりに、僕のアレの事を受け入れてくれたみたいだ」
「……そうか」
前の試合、私とツルギは2人とも少々暴走気味だったからな。
あれを見せられたジーナの事、本来ならもっと気遣ってやるべきだった。
だがあの子は強い。
私達が思ってたよりも。
あの試合を見て尚、私達を受け入れてくれる。
弟子として、仲間としてというのはそういう事だ。
負けられないな。
「ていうかお前、ヒロ達にドン引きされるって相当だな」
「会場歩いてても、勝手にすっと人混みが避けてくれるんだ。予選の後のリースの気持ちが分かったよ」
「そうだ。ミラは来なかったのか?」
ミラなら最悪、試合などほっぽりだして来そうだ。
「彼女なりに事情があるみたいで、本人は来なかったよ。ただ、あのメイドさん……名前なんだったっけ?」
「アンナだな」
「そう、アンナさんが様子を見に。メイド服じゃなかったけど」
「アンナが!?マジで!?」
「そこ驚くところなの……?」
いや、だって3歳から彼女の事を知ってる私ですら、メイド服以外の服装のアンナを見た事ないんだぞ!?
ああ、寝ていた事が悔やまれる!
そんなレアな光景!
「ていうかミラが来なくて良かったな……あいつが来たらお前、ボコボコだったぞ」
私に向かって割と際どい事言ってたしな?
「どうかな?色々けしかけてきたのもミリアーナさんだから……」
「は?ミラが……?」




