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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第五章 闘技大会編
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リースVSツルギその2

 試合開始と同時に私はツルギと距離を……詰めた。


「それでこそリースだ」

「うっせ!」


 ツルギと私では近接戦闘能力に差がありすぎる。

 普通は間合いの外から隙を伺う。


 だがツルギにはあの……なんか恐くなるモードがある。

 あのモードがおそらくツルギのアビリティ。


 アビリティをまだ自分の意思で使いこなせない私としては、そのモード変化を見逃すわけにはいかない。

 アビリティを一方的に発動されると勝ち目がないのだから。


 だから近接戦闘で発動の隙を与えない。

 私が勝つためにはこれしかない。


「いいね!リース!ほら!」


 ツルギは両手の刀を振るう。

 ツルギの技能によって放たれる速撃。

 だが私はその全てを紙一重で避けた。


「例の絶対領域ってやつかい?」


 本来ならツルギの剣筋を完全に見切ることなど私には出来ない。

 だが今、私にはこの魔法がある。


 煉獄山で編み出した空間魔法、『我空』と名付けた。

 これは自らの周囲の空間を操り、自分の意のままに動かせる。


 空間内の物を浮かせたり飛ばす事が出来るのだ。


 しかし『我空』の真価はそこではない。

 空間内の空気の流れ、物質の動き、全てを探知できるのだ。

 私の周囲数メート内であれば、例えツルギの常人を遥かに凌駕する動きでも把握しきれるのだ。

 もちろん相応の魔力が必要だが。


 私は剣で反撃する。

 だがそれはいとも容易くツルギの刀に受け止められる。


 これによってツルギの攻撃の太刀筋が読めるようになった。

 だがツルギにとっても私の攻撃など止まって見えるだろう。


 近接戦においてはそれほどの差がある。


 それを止めるわけにはいかないが。


「そら!」

「その程……っ!」


 私は攻撃をすると同時に土魔法で相手の足場を軟化させ、崩す。

 昔ザリによくやったものだ。

 しかし、相手はあの時のザリとは格が違っていた。


 一瞬でそれを察知したツルギは足を取られる前にバックステップでその場所を飛び退く。

 距離を取らせてたまるか!


パァン!


 私は用意していた魔銃の引き金を引く。

 魔弾は真っすぐツルギに向かう。

 空中なら避けれな……


「……ふふ」


 ツルギはニヤリと笑うと刀をその弾道に沿わせる。

 そして音の速さで飛来する弾丸の軌道を上空に逸らしてしまった。


 ああ、はいはい!

 これじゃ終わらないって分かってましたよー!

 ちくしょう!


「『炎熱槍』!」


 続いて、炎の槍を生み出してツルギに向かって発射する。

 今度は着地を狙う。


 『炎熱槍』は調整により、ツルギが着地する瞬間、その間合いの外で爆発する。

 爆風の距離も計算してある。

 これは避けれまい!


 『炎熱槍』が私の思い描いたタイミングで爆発する。

 爆風がツルギを襲う。

 しかしそれにより彼の姿が見えなくなってしまった。


 咄嗟に発動出来る最適な魔法がこれしかなかったとはいえ、少しまずかったな。


 私は『我空』の効果半径を一時的に広げる。

 半径を倍にすると8倍の魔力を消費するから、本当に一瞬だけだ。


「……っ!マジか!」


 私は得られた情報をもとに、体の前で剣を構える。

 すると爆風が2つに裂けて中から何かが飛び出してきた。

 もちろんツルギだ。


「いいね!リース!最高だ!」


 獰猛な笑みを浮かべたツルギが爆風までも切り裂き、私に肉薄する。

 最初の一撃はなんとか受け止めた。

 だが次は?


「っやぁ!」


 ツルギの右の刀の突き。

 避けきれなかった。

 左肩を浅く斬られた。


 いや、それどころじゃない!


「くっ!」


 私は剣で続くツルギの左の斬撃をなんとか捌く。

 『我空』で太刀筋が分かってないと今頃めった斬りだ!


「その魔法、本当に厄介だね」

「そりゃどーも!」

「でも……これはどうかな?」


 その時、ツルギが不穏な笑みを浮かべ……右の刀で地面を斬った。

 砕かれた地面の欠片や砂が巻き上がる。


 まずい!


「ぐぁ……っ!」


 腹に強い衝撃。

 蹴られたのだ。

 私はたまらず吹き飛ばされる。


 今の私は自分の周囲の空間内の物体の動きを把握してツルギの攻撃を何とか避けていた。

 だがさっきの一瞬、ツルギによって巻き上げらた砂や欠片によって意識がそちらに逸らされた。

 その一瞬はギリギリの均衡を崩すのに十分すぎた。


 あぁ……こりゃ……

 ヤバい。


 目の前から起こる凄まじい闘気の奔流。

 これはボレアスにも負けていないな。

 いや、殺意の分それ以上か。


「いいよいいよいいよ!リース!想像以上だ!僕は君に出会うために生まれてきたのかもしれない!君こそ運命の人に違いない!」


 その角は赤く輝き、眼はおぞましい色に変化している。

 嗤う悪鬼がそこにはいた。


「ああ、もう我慢できない!本気出しちゃうよ!?出しちゃってもいいよね!?死なないよね!?死んでも大丈夫だよ!その可愛い首を毎日月の下で愛でてあげるよ!可愛いリース!」

「こっわ……」


 あちゃー。

 なんとか繋ぎとめられてた理性まで吹き飛んじゃいましたか……


 私は『我空』の探知範囲を広げる。

 魔力消費なんて言ってられない!

 これは気を抜いたら殺さ……


「ねぇリース」


 その声に私は凍りついた。

 その声は耳元から聞こえたのだ。

 だが私は何も感知できなかった。

 そこに何かがあるはずがない。

 何かがいるはずがないんだ。


 目線を向けると黒と赤の眼が私を覗き込んでいた。


「ネェ……リース……僕ト愛シ合オウ(殺シ合オウ)?」


 煌めく白銀の刃が私の首元に迫り…


 私の首を…


 何の抵抗もなく…


 通過した。

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