試合開始
控え室にまで闘技場の歓声は聞こえる。
前の試合が終わったようだな。
決勝以降は勝ち残った選手1人1人に専用の控え室が与えられる。
結局昼過ぎからずっとここにこもって準備をしていた。
私の試合は1日の最後。
だからミラの試合も終わってる。
まぁ相手は予選でもパッとしなかった奴なので負ける事はないだろう。
それよりも今は目の前の試合だ。
相手はA級冒険者。
不思議な事に今私はワクワクしている。
魔族になってから好戦的になったかもな、私。
まぁ母さんより怖い敵なんてそうそういないしな。
まだ気が楽だ。
「準備完了っ……と」
準備を終わらせて立ち上がる。
魔弾や魔石弾道弾の数も確認した。
剣と魔銃の手入れもした。
軽くストレッチもした。
そして『切り札』の確認も……まぁこちらは使わないに越したことはないが。
やれることはやった。
後は全力でぶつかるだけだ。
コンコン
「リーシア選手、お時間です」
「分かった」
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それにしてもボレアスはデカい。
体だけがデカいのではない。
気配がデカいのだ。
目の前に立つとそれがよく分かる。
「勝つのは私だ」
「まぁ楽しもうぜ」
ボレアスの武器は腰の剣1本だ。
見たところ普通の剣。
『剣王』というからには名剣を持っていると思っていたのだが。
「その剣、ただの剣だよな」
「あ、ああ。すまねぇ。別にお前を見くびってるわけじゃないんだが、いつもの剣はメンテ中だ」
「そ、そうか……私が勝っても悪く思うなよな」
メンテ中てなんだ。
まぁ無いものは仕方ないよな。
「俺はなぁ、リーシア。好きなもんは最初に一口で食う派なんだ」
「そ、そうか」
「俺の剣もこんなだし、どうだ?まどろっこしい事は抜きにして、いきなり全力でやらねぇか?」
ほう……
まぁ私にとっては知ったこっちゃないが……
「いいだろう」
「そうこなくっちゃな」
『これより、本日最後の試合を始めます!』
私にとっても悪くない話だ。
『それでは……始め!』




