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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第五章 闘技大会編
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『剣王』

「すっげぇぇ!!」

「何?最後何が起きたの?」

「全然分からないですぅ」


 おお、奇遇だな。

 私もよう分からん。


 シーベルが本気出して、何か呪文を詠唱したらめっちゃくちゃ速く移動して、でも攻撃をジーナは土の精霊契約魔法で防いで、シーベルが放った風の中級魔法の雨をジーナが火属性魔法で一掃して、ジーナがよく分からない魔法を見せたらシーベルが降参した。

 私の目で見たところ、こんな感じだ。


 最後の魔法は多分、複数の精霊契約魔法の複合技だな。

 でも精霊が見えない私には何が起きたのかイマイチ分からない。


「ジーナ、いつの間にあんな事できるようになったの?」

「私も初めて見た」

「リースも知らなかったのかい?」

「ジーナには、常に切り札の1枚や2枚用意しとけって言ってるからな」


 教育の成果か、私に対しても秘密主義だ。

 まぁいいんだけど。


「ジーナはここ2年ぐらい近接戦の強化に努めてきたからな。あいつが近距離でも戦えるようになってるのは知ってる。でも最後のは初めてだ。何が起きたか分からん」

「リースにも分からない魔法なんだ」

「私には精霊契約魔法はさっぱりだよ」


 でもシーベルはあの魔法を見てすぐに降参したな。

 あの魔法に関して何か知ってるのかもしれない。

 後で聞いとこう。


「リースさん!」


 お、勝者の凱旋だ。


「ジーナ、2回戦進出おめでとう」

「最後のあれ、一体なんなんだ!?」

「いやヒロ、最後のだけじゃなく全部何が起きたか教えてもらいましょ!」

「教えろですぅ!」

「は、はい……でも一部は秘密にしておきたいので……」


 ジーナは私やツルギをチラチラと見ながらそう言った。

 ほぅ……


「敵には教えられないってか?」

「ジーナも言うようになったね」

「そ、そういう意味ではなく!」

「おーい!」


 デカい声が私達の会話を遮った。

 向かってくるのは大男。

 ボレアスだ。


「嬢ちゃん、さっきの試合すげぇな!ブランクがあったとはいえ、シーベルがあんなにされたのを見たのは久しぶりだ!」

「あ、ありがとうございます……」

「いやー!正直ギルドマスターの言葉も半信半疑だったんだが、確信した!お前らは面白い!これは試合が楽しみだ!」

「ああ……そうだな」


 ボレアスと目が合った。

 彼がニヤリと笑うので、私も笑い返した。


「じゃあな!試合で会おう!」


 ボレアスは言いたい事は言い終えたようで、満足して去っていった。


「リ、リース……本当にあの人と戦うのか?」

「現役のA級冒険者よ……?」

「危なくなったらすぐ降参するですぅ!」

「3人とも心配するなって」


 私の一回戦の相手。

 それは『剣王』ボレアスだ。


「存分にやってくるといいよ」

「リースさんなら絶対勝てます!」

「おう!」



-------------------



「シーベル選手、大丈夫ですか?医務室までご案内しますが……?」

「いえ、大丈夫です。ありがとう」


 係員の申し出を断って、観客席に戻ることにする。

 怪我らしい怪我もしていないし、少し魔力が枯渇気味なぐらいだ。

 わざわざ医務室に寄る事もない。


 それにしてもジーニスタちゃんの最後のあの技……


 あれは四属性全ての精霊の加護が込められた魔法。

 風の精霊の加護しか受けられない私に対抗できる魔法は無い。


 最後まであきらめないことは確かに美徳ではあるが、往生際が悪いともいえる。

 一流の冒険者として引き際をわきまえる事も大事よ。


「はあ……強くなったわね彼女」

「お前は鈍ったんじゃねぇか……?」


 聞きなれた声がした。

 ここには選手と関係者しか入れない。

 私にこんな口調で話しかけるのは1人しかいない。


「うるさいわよボレアス。仕方ないでしょ」

「まぁさすがの『暴風の魔女』様といえど、10年のブランクには勝てなかったという事か」


 そこには見慣れた大男、ボレアスが立っていた。


「まぁ俺が仇をとってきてやるよ」

「あなた、リーシアちゃんを虐めちゃだめよ」

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