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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第五章 闘技大会編
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シーベルVSジーナ後編

 勝利を確信したその時、私の体に影が差した。

 巨大な何かが光を遮ったのだ。


「っ!?」


 左手に感じる強い衝撃。

 その瞬間、左手が痺れ、剣を離してしまう。

 そして遅れて到達する剣圧による風。

 ジーニスタちゃんがその長剣を振り抜いていた。


 あの一瞬で!?


「はっ!」


 そして返す刃でもう一度私に斬りかかる。

 振り切ったばかりの剣には慣性がかかるため、すぐに斬り返すには相応の筋力がいる。

 ましてやあれだけの巨大な鉄の塊。

 それを、この子はいとも容易くやって見せた。


「くっ!?」


 体を反らしてそれを避ける。

 そしてバックステップで距離をとる。

 弾き飛ばされた剣を拾うために。


「……予選で見せたのは全力じゃなかったってわけね」

「リースさんに『常に切り札は用意しておけ』と言われておりますので」

「やるわね。見くびってたわ。でも残念。その切り札で倒しきれなかったわね」


 私は足下の剣を拾った。

 左手はまだ痺れているので右手で拾った。

 今のジーニスタちゃんから闘気はあまり感じられない。

 どんな力してるのよ……


 つまりは、ジーニスタちゃんにとってあの程度の剣、荷物でも何でも無かったってわけね。

 あれを簡単に扱える膂力があるんだもの。


「私も『切り札』で応えないとまずそうね」

「……負けません」


 昔なら相手がどれだけ力が強くても、それを躱して隙をつけたのかもしれないが、今の私にはそれだけの技能はない。

 ここは魔法での力比べしかないわ。


「麗しき風の精霊よ。我らが契約に基づき、戦場を駆けよ、『風纏』!」

『久しぶりですね、シーベル』

「ええ」


 風の精霊、ニルが私の側に降り立つ。

 数々の死線を共に潜り抜けてきた私の相棒。


「本気で行くわよ!力を貸して」

『ええ、勿論です』


 私の踏み込みに合わせて優しい風が私を包み込む。

 一瞬で最高速に達し、ジーニスタちゃんに接近する。


 彼女はありえない速度で長剣を振るい迎撃しようとするが、私のスピードはそれすらも超える。


 闘気による脚力の強化に加え、風の精霊の力も借りた私のスピードを捉えられた者は過去に存在しない。


 そしてそのまま一瞬で背後にまで回り込んだ。

 あとは首筋に剣を突きつけて終わり……


ダンッ!


 ジーニスタちゃんが地面を踏みしめると、地面から土の柱がせり上がり、私と彼女の間を阻む。


 この構築速度は精霊契約魔法!?

 でもさっきまでそんな兆候は……

 詠唱だって聞こえてこなかった。


「くっ!?」


 土の柱が弾け、複数の『土弾』が発射された。

 私は纏った風でそれを全て弾き飛ばす。


 落ち着け私……

 私の有利は変わらない。

 土属性には風属性が有利だ。

 このまま押し切る!


 私は中級魔法『旋風弾』を複数放つ。

 これだけ放てば土の防壁程度……!


「無駄です」


 彼女の声が耳に入るのと同時に、恐ろしい熱波が襲いかかってきた。


『シーベル!』

「分かってる!」


 風魔法で体勢を制御し、その熱波から逃れる。


『今のは……』

「原因なんて決まってるじゃない……」


 ジーニスタちゃんは剣を背中の鞘に納め、立っていた。

 そしてその体からは4色のオーラが漂っている。


 いえ、精霊が見える私には分かるわ。

 彼女の後ろには精霊が4体いる。

 火・水・風・土の4属性全ての精霊が。


 精霊4体と契約しているなんて聞いたことない。

 ましてや、それを同時に纏うなんて……


「これが真の『切り札』ってわけね……」

「4属性複合魔法『極弾』」


 彼女の手の平に凄まじい魔力が形成される。

 全ての属性が混じり合い、凝縮されている。


『これは……』

「ええ。そうね……」


 ニルに言われずとも分かっている。

 もう私に残された道は一つしかない。


 私は魔法を解いてニルを帰し、剣を地面に捨てて両手を挙げた。


「降参よ。降参」

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