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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第五章 闘技大会編
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シーベルVSジーナ前編

『では一回戦第2試合、シーベル選手の入場です』


 私が闘技場に入ると、割れんばかりの大歓声が包み込んだ。

 こうやって歓声を浴びるなんて何年ぶりかしら。


「シーベルー!!負けんじゃねーぞー!」

「俺はあんたに賭けたんだー!」


 殆どがそういった声。

 賭け関係なく、私を純粋に応援してくれる人はいないのかしら?


 『暴風の魔女』と呼ばれていた頃もそうだった。

 誰も私を見てくれない。

 彼らが必要としているのは圧倒的な力を持つ『暴風の魔女』だ。


 それが嫌になって私は冒険者を辞めた。

 引き止める人も多かったが、せいせいしたわ。


 昔お世話になったツバキさんの下で雇ってもらえた。

 それからの日々は充実してたとは思う。


 皆、私を見てくれる。

 そこに『暴風の魔女』なんていない。

 ただのシーベル・イェルクになれたのだ。


 ツバキさんにはいくら感謝してもしきれない。

 仕事を真面目にする人ではないけど、人情味がある優しい人だ。


 だからツバキさんの頼みは断れなかった。

 『ツルギ達に、強者との戦いを経験させてやってほしい』

 私に未だに力が残っているかは別として、頼まれるなら何でもやる。

 『暴風の魔女』の封印も解いた。

 あの放蕩者のボレアスだって探し出して連れてきたし。


 全てはツバキさんのため。


 でも、やはり私はどこまで行っても冒険者なのだと思う。

 ツバキさん関係なく、この闘技大会を楽しんでいる自分がいる。


 ヒロくん達、後輩の成長が嬉しかった。

 特にツルギくん、リーシアちゃん、ジーニスタちゃんの3人は別格だ。

 あの幼さで既に完成された強さを持っている。


 胸が高鳴る。

 血が沸き立つ。


 戦いたい。


「ツバキさんは本気を出していいって言ってたし、いいわよね……」

『続きまして、ジーニスタ選手の入場です!』


 私の反対側から入場してくるジーニスタちゃんを見た。

 いつも通り黒髪を頭の後ろで縛り、自分の身長程もある長剣を担いでいる。

 私の対戦相手。


 予選は見た。

 あれだけを見たら殆どの人間は彼女が長剣を振るう剣士だと思うでしょうね。

 でも彼女が真に得意とするのは魔法。


 2年ほど前、ギルドにいた頃でさえ詠唱を全くせずに強力な魔法を使っていた。

 魔法の構築速度を考えれば、あれは精霊契約魔法に違いない。

 私と同じだ。


 初めての同類との戦い。

 少し大人気ないかもしれないけど、本気でいかせてもらうわ。


「手加減はしないわよ。ジーニスタちゃん」

「よろしくお願いします」


 ジーニスタちゃんはぺこりとお辞儀をする。

 こういう礼儀正しいところは本当に好感が持てるわ。

 それだけに罪悪感がね……


 これもツバキさんの頼みの一部だから……


『それでは……試合開始です!』


 司会の声とともに私は地面を蹴り、最大スピードで前に踏み出す。


 ジーニスタちゃんとの遠距離戦はリスクが高いわ。

 自信がないわけじゃない。

 ただ、精霊契約魔法使い同士が戦うと、魔法構築には差がつかないので単純な火力の勝負になってしまう。


 それよりも近接戦に持ち込む方が確実。

 一昨日の試合も見せてもらったけど、ジーニスタちゃんの剣術はまだまだ未熟。

 10年のブランクのある私でも勝てるレベルだと判断した。


「はぁ!」


 私は左手の剣を突き出す。

 ジーニスタちゃんは長剣を抜き、それをいなす。

 第一撃は捌かれてしまった。

 でも懐に入り込めた。


「はぁぁぁ!」


 私はそのまま剣で連撃を加えた。

 ジーニスタちゃんは防戦一方。

 仕方ない。

 それだけ巨大な剣ではこの間合いでは戦いにくいでしょうね。


 ジーニスタちゃんの腕前は認めてはいるけど、その長剣は正直どうかと思う。

 あれだけの大きさなら重さも相当でしょうし、持ち運ぶのも大変に違いない。


 私が彼女の立場なら、身軽になって距離を取りやすくするわ。

 近距離戦は捨てるべきなのよ。


「これで……終わり!」


 ジーニスタちゃんの長剣による防御を引っぺがして止めの突きを放つ。

 狙いは胸当て。

 あれは地竜の素材らしいし、私の突きくらいなら壊れる事はないから死ぬ心配もない。

 それで吹き飛ばして戦闘不能。


 勝ったわ。


 そして私の突きがジーニスタちゃんの胸に到達する瞬間……

 私の体に影が差した。

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