姫(幼馴染)
「まさかミラが出場してるとはなぁ」
「さっきの女の人が君達が言ってたミリアーナ姫なんだね」
「ツルギさん、姫というのは御内密に……」
「ああ、ごめん」
ミラは魔帝国の姫だ。
魔帝国に敵対する国や組織に狙われる可能性がある。
このゾディアス王国は魔帝国と国交があるが、同時に多くの人族国家とも国交があり、中には聖神教を信奉する国もある。
ゾディアス国内でも聖神教は広まっている。
幸いと言うべきか、国内では政治的な力は無いそうだが。
だから姫という事はあまり言いふらしていいものではない。
それはヒロ達に対しても同様だ。
「何話してんだ?」
「あの最後の赤い髪の人の話?」
「ま、まぁな」
私は宿屋への帰り道、掻い摘んで私達とミラの関係をヒロ達に話した。
下手に隠してもバレそうだからな。
姫だという事だけ伏せて、彼女は良いところの名家出身の幼馴染という事にしておいた。
何の罪もない3人を騙すようで気がひけるが、仕方ない。
「あいつもお前らの知り合いなのか。世界は狭いな」
「ていうかリースさん達すごいですぅ!幼馴染が全員ゾディアスの闘技大会で決勝まで進むなんて!」
「はは……そうだな」
「ちょっと待って」
あっさりと鵜呑みにしたヒロとメルだが、アイリスだけは何やら考え込んでいる様子だ。
バレる心配は無いと思ったが、何か矛盾があったか?
「その話だと彼女、ミリアーナさんは13歳という事になるわよ……」
「あ、ああ。そうだが?」
「あれで13歳?」
あー。
確かに。
あれは13歳には見えない。
ミラはこの3年弱程でどれだけ成長したんだってレベルで成長している。
身長も高いし、出るところは出て引っ込むところは引っ込んで、かなり女性らしい身体になっていた。
それに3年前ですら幼さを感じさせなかった妖艶なオーラが更に進化していた。
もはや少し小さいバリスさんにしか見えない。
バリス遺伝子が大活躍していた。
「ミリアーナ様、かなり成長されてましたねぇ」
「ジーナだって身長は負けてないぞ」
「いや……お胸が……」
「……気にすんなよ」
ちょっとジーナは胸の小ささと身長の高さを気にしすぎじゃないか?
いいじゃん。
胸は男に好かれるのは否定しないが、女からすれば邪魔じゃん。
「ていうか、2人ともいいの?久しぶりの再会になるんじゃない?」
「といっても、ミリアーナ様が泊まってらっしゃる宿も分かりませんし……」
「ほぼ間違いなく向こうも気づいてるし、多分今晩あたりにでも迎えが来るぞ……って、ほら。噂をすれば」
私達の宿屋の前に、本格的なメイド服を着た金髪の少女が立っていた。
周りから浮いてる。
「お久しぶりです。リーシア様、ジーニスタ様」
「お久しぶりです、アンナさん!」
「久しぶりだな。本当ミラには驚かされたよ」
久しぶりに会ったオッドアイのメイドもミラ程の変化ではないが、身長が伸び、髪も伸ばしていた。
「メイドだ……」
「本物ね……」
「本物ですぅ……」
ヒロ達3人は妙なところに感嘆していた。
「ミリアーナ様もお喜びでしょう。こちらへ。ご案内いたします」
「はい」
「私達の都合は関係なしかよ。まぁ何もないけど」
アンナはクルリと回れ右して私達の返事を聞かずに歩き始めた。
あんまり性格も変わってなさそうだな。
「俺たちは宿に戻るか」
「ですねぇ」
「幼馴染の再会を邪魔しても悪いしね」
「じゃ、リース。僕も宿に……」
「ツルギ様もこちらへ。ミリアーナ様が会いたがっておりました」
アンナが振り返ってツルギを呼び止める。
手紙にもツルギの事は何回も書いた。
ミラも会いたいと言ってたしな。
「行こうぜ、ツルギ」
「ミリアーナ様に紹介しますよ!」
「はは……じゃあお言葉に甘えて」




