闘技大会1日目・夜
「リース、今日の結果を受けてのオッズ表が出てるわよ!」
闘技大会1日目を終え、宿でゆっくりしてるとアイリスが紙を持って飛び込んできた。
「オッズ表ってなんですぅ?」
「賭け事の倍率の表……ですよね?」
「まぁこんなイベントだしな」
どんな物でも賭けは成立するからな。
闘技大会で賭けなんて定番中の定番だな。
「どれどれ……1位は……ボレアスか……」
「A級冒険者ですからね……」
ゾディアスはギルド本部のお膝下だが、A級冒険者はほとんど闘技大会に参加しない。
A級は指名依頼で忙しく、何日も闘技大会のために休めないのが理由だそうだ。
「2位がシーベルか」
「シーベルさんすごいですぅ!」
「元A級というのが効いたんでしょうね」
「ほら、それよりその下!見てみなさい!」
アイリスがシーベルの下を指差す。
そこに書かれていたのは……私の名前だった。
「私は3位か」
C級なのに。
随分上なんだな。
「あれだけの事したら仕方ないわよねぇ」
「リースさん、恐かったですぅ」
「少し派手過ぎたのではないでしょうか?」
まぁですよねー。
無名でもあれだけの事したらこれぐらいにはなるのか。
ちなみにジーナは8位。
最下位だ。
ジーナは派手な魔法は使わず、剣術で地味に立ち回っていたから印象が薄いのだろう。
「私もメルももう終わっちゃったし……折角だし私達も賭けてみる?」
「私はシーベルさんだと思いますぅ!」
「私はどうしようかな……やっぱりリースかな?」
「ボレアスとかでなくていいのか?」
「うーん。あなたならやってくれそうってのがあるわね……まぁ賭けが本格的に始まるのは予選が終わってからだけど」
アイリスの金を背負って戦うのか……
知らない奴らなら全く問題ないが、知り合いのだと少し気が引けるな。
-------------------
「おーいビールもう一杯くれー!」
「あいよ!」
ここはゾディアス王都の酒場。
闘技大会の1日目を終え、観客達が興奮冷めやらぬままここに集まり感想を語り合う。
彼らの一番の関心は、優勝予想だ。
「やっぱり本命はボレアスだろ!」
「あんな勝ち方前代未聞だよな」
「A級だって聞いたが、本当に強いのか?」
「『剣王』ボレアスだぞ?お前、あの迫力見なかったのかよ」
「あのシーベルって女はどうなんだ?」
「俺知ってるぞ。『暴風の魔女』シーベル・イェルクだろ。10年くらい前は有名だったな」
「俺も知ってる!確かどっかの街が異常気象の竜巻に飲まれそうになった時、どデカイ風魔法ぶつけて相殺したって冒険者だろ?」
「何だそれ、化け物じゃねぇか!」
「今日は殆ど魔法を使わなかったな。剣術もすげぇ腕前だ」
「それに……美人だよなぁ……」
「魔法や美人といえば……あの最初のガキはどう思う?」
「………」
「………」
「ど、どうした黙るなよ」
「あれは……なぁ」
「めっちゃくちゃ可愛いけど……恐えよ……」
「あれは汚い手なんて使ってねぇよな……」
「吹き飛ばしたあの男、ありゃB級冒険者の『豪腕』って異名の奴で、性格はアレだが相当に腕が立つらしい」
「それが赤子同然だもんなぁ」
「あれ、まだ8歳とかじゃねぇの?小さいのにすげぇよな」
「第5グループで勝った奴も小さかったよな」
「あの子は13歳くらいじゃないか?今回は子供が強えな」
「全くだぜ」
「でも明日には『速剣』や『剛槍』が出るって話だろ?さすがに奴らには勝てねぇよ」
「俺はあのリーシアってガキに賭けるぜ!何か波乱を起こしてくれそうだしな」
「それはお前が少女趣味なだけだろ?」
「なんだてめぇ、やんのか?」
そうして闘技大会1日目の晩は更けていくのであった。




