第8の覇者
第7グループは然程見所もなく、無難に終わった。
第7の勝者は何処かの剣豪だという話だ。
まあまあ強そうだったが……
多分ツルギの方が強い。
「次で今日の試合は最後だね」
「シーベルみたいな奴いないかな〜」
「シーベルさん、強かったわね……」
「すごく強かったですぅ!憧れちゃいますぅ!」
「あれだけの腕を持ちながらなんでギルドの受付嬢なんてしてるんだ?」
「私も見たかったです……」
ジーナは観客席に戻ってくる途中だったから、シーベルの試合を見れなかったのだ。
『それでは、1日目最終試合、第8グループ……はじめ!』
その時、司会の言葉と会場の歓声によって私達の会話は遮られた。
最後の試合が始まったようだ。
強そうな奴はいるかな……
「あのー」
その時、低い声がした。
拡声魔法を使っているわけでもないのに、闘技場中の人間がそれを聞いた。
視点は一点に集まる。
闘技場の中央の舞台の上。
大した装備もつけていない、中年の男だ。
「えーとだな……」
見た目は隙だらけだ。
しかし彼に攻撃を加えようとするものはいない。
加えた瞬間、痛い目を見るのは自分だと全員が分かっているのだ。
見た目は飄々としているが、男から溢れる闘気は絶大だ。
その密度はこれまで会った誰のものをも上回る。
「なんというか……」
闘技場中の人間がその一挙手一投足を固唾を飲んで見守る。
舞台上の参加者達はその闘気に気圧されて動けない。
「……皆、降参してくれない?」
その一言で全てが決まった。
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舞台上の参加者達が戦う事なく降参し、第8グループの勝者が決まった。
何だこれ……
「ボ、ボレアスさん!?」
「ツルギ、知ってるのか?」
「え!?あれが!」
「ウチの唯一のA級冒険者、ボレアスさんか!」
昨日の晩に話に上がった奴か。
アイリス達も会ったことないらしいが、ツルギは知ってるんだな。
「何でボレアスさんがここに……あの人4年以上ギルドに帰ってきてないのに……」
「でもあの闘気、只者じゃないよな」
「そりゃあA級だからね」
「リース、お前、あれに勝てるか?」
「いや、分からないな。ヤバいかもしれない」
闘気だけで周りを降参させてしまったしな……
この距離でも分かった。
あれは化け物だ。
「勝ち進むには、あれかあれ以上を相手にしなきゃいけないのか……」
「さすがのリースも怖気付いちゃったかな?」
「いや、逆だ。そっちの方がやりがいがある」
思わず笑みが零れる。
シーベルといい、面白くなってきた。




