再会
「うわぁ凄い人だ」
「ですねぇ」
「はぐれないようにね」
王都ゾディアスの冒険者ギルド本部は人で溢れかえっていた。
しかもそれもむさ苦しい男ばかりなので、ギルド内も蒸し暑い。
なんだここ地獄か?
ゾディアスのギルド本部って普段は人が少ないと聞いた。
王都ゾディアスに入るための審査が厳しいのがまず一つ。
ゾディアス周辺にはあまり魔物が出ないのがもう一つ。
そして、ギルド本部にはA級冒険者が所属している事がある。
仕事が少なく、また優秀な冒険者がたくさんいるので、普通の冒険者は稼ぎにくいのだ。
でも4年に一度、そんなギルド本部が賑わう時期がある。
それが闘技大会の時期だ。
「色んな人がいるんですねぇ……」
ジーナは少し引き気味でそう言う。
私も嫌だなぁ。
ここに入るの。
「参加するのは冒険者だけじゃないからねぇ。名のある道場の師範とかも沢山参加するらしいよ」
「ふーん。じゃあ私は登録してくるけど、2人はどうする?出場する?」
「リースさんが出場されるのでしたらもちろん!」
「僕も出るよ。中々面白そうだ」
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「ではこの参加カードを持って予選当日闘技場に来てくださいね」
「分かった」
私達はギルド本部で闘技大会への参加手続きを済ませた。
参加料は冒険者ギルド組合員が銀貨1枚、非組合員が銀貨2枚だ。
まぁまぁ高い。
これだけの人数でそれだけ集めると……
まぁまぁの稼ぎになるんじゃないか?
「そんなことないよ。闘技場は王国のものだから借りるのにもお金かかるし、スタッフへのお給料とかあるし」
「そうなのか?」
「多分ギルド自体にはあまり稼ぎはないんじゃないかな?それよりも闘技大会の観客達がゾディアスの街に落とすお金の方が重要なんだと思うよ」
へー。
そういうもんなのか。
ツルギはその辺しっかりしてらっしゃる。
「それにしてもかなり時間かかっちゃったね」
「もう夕方だぜ……ギルド併設の宿屋で早くゆっくり……」
「リースさん!大変です!」
宿屋の受付に部屋を取りに行ってくれていたジーナが慌てて駆け戻ってきた。
「どうしたんだ?」
「もうこの宿屋は満室だそうです!」
まぁあれだけ闘技大会の参加者がいたらな。
ギルドのすぐ横の宿だし。
「じゃあ別の宿にするか」
「それが、毎年別の宿もここと同じくらい混んでるらしく、この時期は宿なんて取れないそうです」
「じゃあ野宿するか……」
「そうですね……ってええ!?即決ですか!?」
そりゃあ仕方ないだろう。
無いもんは無い。
今更野宿に抵抗なんてないだろ。
「リースさんはその辺りに無頓着すぎます!女の子なんですよ!?」
「はー?まぁジーナはそうだな」
ジーナは女の子だから野宿があんまり好きじゃないんだな。
確かにジーナの事ももう少し考えるべきだった。
「そういう意味じゃなくてですね……」
「リース!ジーナ!ツルギ!」
その時、私達を呼ぶ声が聞こえた。
その声の主は……
「アイリス!メル!」
見覚えのある黒髪と金髪の少女。
記憶にある姿より成長しているが、冒険者になったばかりの頃に出会った少女達に間違いない。
「2人ともお久しぶりです!」
「久しぶりですぅ」
「会えるかもって思ったけど、会えて嬉しいわ!」
2人の装備は2年前よりもかなり上等な物になっていた。
これだけでもあの後の成長が感じられるというものだ。
「あれ、ヒロは?」
「ああ……あいつね……」
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「おぉ……リースじゃねぇか……お前も……闘技大会に出るんだろ……今回は負けねーぞ……」
「お前、そんな事言ってる場合か?大丈夫?」
めっちゃくちゃ顔青いぞ。
ヒロは宿屋のベッドで寝込んでいた。
「何か食べて中ったらしいわ」
「屋台で何でもかんでも食べるからですぅ」
あ〜。
まぁこういう時に出る出店の中にはいかがわしい物を売っている店もあるだろう。
それに中ってしまったのか。
「ほら、お水よ。よく飲みなさいね」
「あぁ……助かる……」
アイリスは買ってきた飲料水を枕元に置く。
「リース達は宿が取れなかったのよね?良かったら私達の部屋に泊まらない?少し狭いかもだけど」
「お、いいのか?」
「是非!」
「ツルギは……この部屋しかないんだけど……」
アイリスはベッドの上のヒロをチラリと見た。
まーこんなのがいるしな。
食中毒って空気感染はしないとは思うが。
「大丈夫だよ。僕が看病する」
「ごめんなさいですぅ。ヒロさんがご迷惑おかけしますぅ」




