地獄の特訓メニュー
「海軍との合同訓練?」
「ああ、そうだ。興味ねぇか?」
私達3人は街の周囲の魔物の討伐を終わらせギルドに報告に戻ったところ、オーガスに海軍との合同訓練への参加を勧められた。
世界最強の海軍の訓練か……
興味がないと言えば嘘になる。
「止めとけ嬢ちゃん!」
「嬢ちゃん達は確かに強えが、あれはただの拷問だぞ」
「うるせぇお前ら!リーシアの嬢ちゃんはお前らみたいな根性無しじゃねぇんだよ!」
周囲の冒険者の野次をオーガスは一喝する。
最近街の冒険者たちも気軽に声をかけてくれるようになったなぁ。
「まぁ実は、こいつらがあまりに根性無しで海軍の訓練についていけねぇって言うから参加者がいなくてな。このままだとギルドの面目が立たねぇ……どうだ?」
真剣な顔でオーガスはそう言った。
まぁギルドとしても意地ってもんがあるだろうしな。
「よし!いいぞ!」
「リースさんが参加するなら!」
「2人が行くのなら僕も行くしかないね」
「おお!助かるぜ3人とも!じゃあ明日の朝5時に街の正門前に集合だ!」
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「ぜぇ……ぜぇ………こん…なに……ぜぇ……キツイ……とは……ッゲホ!!」
「はぁ……はぁ……リース。喋ると余計辛いよ」
日は頭上に高くのぼり、今は12時近い。
朝5時に集合してから今まで、休みなしで山の中を走り続けている。
アップダウンのある道を7時間だ。
前を行く海軍の兵達はキツそうな顔をしているが、まだまだ余力がありそうだ。
そのほとんどは水人族だ。
基本的に亜人族は身体能力は人族より高いが、水人族の陸での運動能力はそれほどでもないはずだ。
なのに何でそんなに走れんだよ……!
「リースさん、大丈夫ですか?」
「ぜぇ……ジーナは……楽そう……だな……」
「そ、そんなことありませんよ!はぁ、はぁ」
ジーナが取って付けたように苦しそうな息を吐くが私はずっと見ていた。
ツルギですら辛そうなこのロードワークに、この娘は息切れ1つ起こしてないのだ。
ジーナの力はツルギより強い。
体力でも我らが前衛、ツルギを超えるとは……!
「あぁ……ダメだ……意識が……」
「リースさん!?」
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目を覚ますと、ジリルの正門前だった。
私は倒れて、そのまま気を失ってしまったらしい。
時刻はもう夕方。
訓練は終わっていた。
あの後昼過ぎまでロードワークの後、昼飯を食べてからの素振りと筋トレ。
なんだこの地獄の体力作りメニュー。
ツルギは惜しくも最後の最後でギブアップしたらしいが、ジーナは見事訓練を最後までやってのけたという。
しかも私が倒れた後は私を背負ってロードワークを達成したらしい。
「すげぇな!嬢ちゃん!」
「その年でこの地獄のメニューを乗り越えるとは!」
「俺なんて海軍に入って2年でようやく達成したってのに」
「そ、そんな事……ないです」
屈強な兵士達に囲まれて賞賛される弟子を見て、誇らしくも情けない気持ちだ。
まぁジーナの家系は元々戦士タイプだ。
しかもめっちゃ強い血筋。
そこで、たまたま魔法の才能を持って生まれたのがジーナ。
え、何このスペック。
今は剣術が未熟だから近接戦闘ではツルギに軍配があがるが、本気で剣術を学んだらどうなるか分からない。
本当に、誰かきちんとした人に教えてもらうべきだな。
私は剣術を教えるのがあまり上手くないみたいだし。
レイチェルとかに紹介しておけば良かった……
「本当に凄いぞ!ウチに入らないか!冒険者にしておくのは惜しい」
「い、いえそういう訳には……リースさぁん……」
なんか隊長らしかゴツい人に勧誘まで受ける始末だ。
助けを求めるように私を見る。
まぁそういう話はジーナが決めるべきだよ。
「まぁ良い!気が変わったらいつでも言ってくれ!この訓練は毎週やってるから、いつでも来てくれ!」
「ま、毎週……」
「よし、来週リベンジだ!」
「リ、リース!?大丈夫なの!?」
「当たり前だ!」
私は諦めるのが一番嫌いなんだ!
このまま終わってたまるか!
弟子に師匠の凄さを教えてやらねば!
「リースさんが参加するなら!」
「はぁ……仕方ない。僕も付き合うよ」




