表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第四章 北方編
53/327

報酬!

「町を出る時は余裕だと思ってたけど、案外疲れたなぁ」

「余裕だと思ってたのはリースだけだよ」


 その後、私達は旧市街で一夜を過ごした後、次の日の朝に出発し、半日でマインの町まで帰ってきた。


 行きは活性化により、頻繁に魔物の襲撃を受けていたが、帰りはほとんど無かった。

 まぁキザ男が魔物避けの魔法を使った、というのもあるが。


 キザ男は前線に出て戦うタイプではないようで、魔法による回復と補助を専門としている。

 私達が地下水路で受けた傷も、昨晩きれいに治してくれた。


「こんなに早く着くなんて便利な魔法だなぁ。教えてくれよ」

「ごめんね。ギルドの秘密の魔法なんだ。リースちゃんがA級冒険者になったら教えてあげるよ」

「ちゃんはやめろ」


 この身体になってもうすぐ9年になる。

 だが未だに女の子扱いは慣れない。


「僕からしてみれば、君達みたいに直接魔物と戦える方が羨ましいさ。僕は誰かと組まないとA級依頼なんてこなせないからね」

「戦闘はからきしなんだな」

「恥ずかしいけどね」


 そうして私達はマインの町に入った。

 キールというあの男がきちんと仕事をしてくらたらしく、地下水路攻略の報は既にギルドに知らせられていたようだ。

 それどころか町中にまで知れ渡っており、道を歩くと「おい、あれが」「あんな子供が?」とかヒソヒソ話が聞こえる。


「み、皆さんに見られてますね……」

「普通にしとけ。別に悪い目じゃないんだし」


 ギルドに入ると、床に届きそうな程髭を蓄えた老人が出迎えてくれた。

 マインの町のギルドマスターらしい。


「ニミル殿、キール殿から話は聞きましたぞ。今回はお疲れ様です」

「ねぎらいの言葉は彼らに。僕は特に何も」

「そうですな……っと、君達が件の地下水路を攻略した冒険者達か。思ってたより若いというか幼いというか……」

「子供扱いはやめてくれよ」


 そういうのはもう沢山だよ。


「すまぬな……確かに君たちはここにいる誰よりも優秀な冒険者じゃ」


 そう言ってギルドマスターは職員に合図をした。

 合図を受けた職員はギルドの奥まで走り……袋を手に戻ってきた。


「これは少ないが、今回の無差別依頼の報酬じゃ」


 職員から袋を受け取る。

 ジャラリと音がした。

 てか……この重さ……


「おい……これ金貨30枚はないか!?」

「え!?」

「30枚!?」


 私は袋を開いて中を確認する。

 1、2、3……36枚!?


「こ、こんなに!?」

「君たちが水路を攻略してくれた事によって、しばらくは町の魔物の被害も減る。安すぎるくらいじゃ。今はギルドの財政も逼迫しておるからこれが限界じゃが、いつかきちんと払わせてくれ」


 いや、まだ追加報酬があるなんて……

 こんなの一回の依頼で稼げる金額じゃないぞ……


「ロドル老、それには及びませんよ。追加の報酬分は本部から出させてもらいます」

「よろしいのか、ニミル殿」

「ええ。彼らのおかげでイェリデ山脈の調査にも進捗がありそうですから」

「む……例の化け物ですな」


 そういえば、このキザ男はその調査に来てたんだったな。


「すみませぬな。水路に送る人員は今準備中です故、もう少し時間がかかります」

「いや、そっちは大丈夫ですよ。キマイラの死体を保護している聖域は一週間はもちますから。それより……」

「ええ。キール殿から預かっております」


 そう言ってギルドマスターは懐から手紙を取り出してキザ男に渡した。


 キザ男は今までで一番真面目な顔でそれを受け取り、読み始めた。


「さて、追加報酬はギルド本部が払ってくれるとの事じゃが、それでも儂らの君たちへの感謝は変わらない。本当にありがとう」

「そ、そんな!これだけでも多いのに追加報酬なんて恐縮ですよ」

「おい、ジーナ!貰えるもんは貰っとけ!」

「リース、そういう事はもっと小さな声で言いなよ…」


 金はいくらあっても困るものではない。

 それにギルドとしても、成果を上げた冒険者にはそれ相応の報酬を渡さねばならない。

 受け取るのが礼儀ってもんだ。


「君たちも疲れたろう。町で一番の宿を取っておいたから、そこでしばらくゆっくりするといい」



--------------------



「いやー!ベッドだベッド!」

「リースさん、はしたないですよ……」


 宿に着いてベッドに飛び込んだ私をジーナが諌める。


「僕は横の部屋だから。何かあったら呼んでね」


 私とジーナが同じ部屋で、ツルギだけが別部屋だ。

 私は同じ部屋でも良いと言ったのだが、ジーナとツルギは強く拒んだ。

 そういうのは今のうちからきちんとしておいた方がいいんだと。

 私達はまだ9歳にもなってないぞ……


「ちょっと待て。先に報酬を山分けしよう」


 私は鞄からさっき貰った金貨袋を取り出す。

 見た目の割にズシリと重い。


「こんなに貰えるとは嬉しい誤算だな!」

「まぁこれは無差別依頼だけど、実際はA級近い難易度だからね」

「あのぅ私はそんなにいらないんですけど…」

「ダメだジーナ。山分けにしないと」


 こういうのはきちんと配分しないと後で諍いの種になる。

 この3人でそれはないとは思うが。


 その時、コンコンと扉がノックされた。

 一番扉に近かったツルギが開けると


「やぁ」

「げ、キザ男」

「ニミルさん」

「な、何しにいらっしゃったんですか!」


 そこにいたのはA級冒険者のキザ男だった。

 それに対する私達の反応はまさに三者三様。

 ジーナなんてあからさまに警戒してる。

 まぁこんな軽そうな男が部屋に来たら警戒もしますわ。


「あれ?招かれざる客ってやつ?」

「お、そういえばギルドへの口利きといい、キマイラの死体の保護といい、お前にも世話になったな。分け前を……」

「いや、良いよ。代わりと言っちゃなんだけど……頼みがあるんだ」


 頼み?

 キザ男の頼み?

 ………えー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ