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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第四章 北方編
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死線を超えて……

 キマイラの口に光が収束する。


 魔銃を構えてキマイラの口を狙う。

 だがその射線上に、返り血を避けて跳躍したツルギが侵入してきた。


「ツルギ!」


 こいつ、理性を失くして私の声が聞こえていない。

 ツルギは地面に着地。

 ツルギの身体は着地の衝撃でゼロコンマ1秒の硬直状態に陥る。


 その、ツルギが避けきれない僅かなタイミングに、キマイラのブレスは発射準備を終えた。


「リースさん!ツルギさん!」

「ツルギィィィ!!」


 このままだとツルギ諸共、私までブレスの直撃を食らってしまう。

 だが私は避けずに叫ぶ。


 何故かそうするべきだと思ったからだ。


 その時、ツルギの頭が僅かに動いた。


 私は反射的に引き金を引いた。

 魔銃に込めれる最大量の魔力が銃口の中で爆発し、放たれた魔弾はツルギの頭を掠め、キマイラに向かう。


 そしてブレスが放たれると同時にキマイラの眉間に着弾した。


「………ッ!!」


 キマイラは仰け反り、声にならない悲鳴を上げる。

 口から迸る魔力の渦は見当違いの方向に放たれた。


 そしてそのガラ空きになった懐に鬼が滑り込む。


 刀を手放し、フリーになった右腕をキマイラの鼻先に絡め、その顎に膝蹴りを叩き込む。


「…………ッ!!」


 ツルギによって口を閉じられ、自らのブレスが体内を逆流したキマイラに、もう断末魔の叫びをあげる労力はなかった。


 キマイラの巨体が音を立てて地面に倒れる。


 そして鬼はその首筋に、左手に持った刀を無慈悲に振り下ろした。



--------------------



「おい、ツルギ……?」

「……ごめんね」

「は?」

「心配かけた」

「それよりお前……それ大丈夫か?」


 私はツルギの頭を指差す。

 鬼人族としての証、ツルギの頭に生えた一本の角。

 それが赤く輝いているのだ。


 ツルギの眼も凄いことになっている。

 普通の白目の部分が黒く、白目の部分が赤くなっている。


「ああ、もう大丈夫。よく分からないけど、制御できる」

「そ、そうか……ならいいんだが……」


 ツルギが眼を閉じ、もう一度開く。

 するとその眼はいつもの状態に戻っており、角の輝きも消えた。


「………ま、まさかお前にこんなに苦労をかけられるとはな!」

「うん。ごめん」

「多分種族柄仕方ないって……!」

「いや、もう大丈夫」

「……何だか分からないが、お前が言うんならそうなんだな」

「リースさーん!ツルギさーん!」


 ジーナが心配そうな面持ちで駆け寄ってきた。


 私達がキマイラに気を取られている間にも、周囲の雑魚を片っ端から片付けてくれていたようだ。

 あれだけいた魔物が全て屍と化している。


 それでまだ私達を心配する余裕があるとか……恐ろしい子に育ったなぁ。


「ジーナ、もう大丈夫だ」

「心配かけたね」

「お2人が無事なら良かったです!」


 はぁ……本当に一時はどうなることかと……


 ツルギの暴走の件は、本人が大丈夫と言っているし、これ以上詮索はすまい。

 それより……


「こいつが魔物の活性化の原因……なんだろうなぁ」

「そうだね。迷宮を調べに来たら、思わぬ収穫があったらしい」

「これはギルドに報告……だな」

「私たちの手には負えませんよね……」

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