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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第四章 北方編
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地下水路最奥の化け物

「うっわ!今度は何だ!?」

「アクアリザードだよ!」


 水柱を上げて水路から出てきたのは、巨大なトカゲ、アクアリザードだった。

 クローウルフと同じくらいの大きさの魔物だが、硬い鱗が特徴だ。


「てゃぁ!」


 だがツルギに斬り裂けない厚さではない。

 地竜の表皮に比べたら紙みたいなものだ。


 ここまでベクターフロッグばかりだったので、活躍の場が無かったツルギはかなり張り切っている。


「ていうか、数が、多いな!」

「えい!そうですね。どんどん増えてる気がします!」


 私とジーナも剣で応戦する。

 特にジーナはベクターフロッグの大群で魔力を消耗してしまったから、ここは休ませておきたい。


 アクアリザード達も外のクローウルフ同様興奮状態にあるのか、ただ突っ込んでくるだけなので迎撃もやりやすい。


 闘気を纏った剣で次々と一刀両断していく。


 でも……


「チッ……何体出てくるんだ!?」

「焼き払いますか?」

「いや、私がやる……!」


 私も魔力を消耗しているのだが、ジーナよりは幾分かマシだ。

 それにジーナの火力は最奥にいる化け物との戦いで必要になる。


「魔法!来るよ!」


 ツルギが指を指した先では、水色のヌメヌメとした半液体状のものが魔力を発していた。

 アクアスライムだ。


「アクアスライムって事は水属性だから……水魔法に効くのは……」


 魔銃では対集団戦には適さない。

 ここは魔法だ。

 アクアスライムが魔法を詠唱しているが、まとめて吹っ飛ばす!


「ツルギ、退がれ!穿ち、砕き、土と帰せ!『牙砕弾』!」


 私の掌から射出された球体の土の塊が大群の中央にいたアクアリザードに飛ぶ。

 そして土塊は命中した瞬間に、体積を膨張させ、破裂した。


 詠唱したのは土属性中級魔法『牙砕弾』。

 命中した瞬間に周囲に多数の『土弾』を炸裂させる大技だ。


 『土弾』は四方八方に飛び、アクアリザード達に襲いかかる。

 『土弾』はアクアリザード達の四肢や頭を吹き飛ばしながら拡散していく。

 アクアスライムによって放たれた『水弾』をも叩き落とし、そのままの勢いでアクアスライムを貫通する。


「ちょっと張り切りすぎたかな……」


 『牙砕弾』が破裂した地点を中心に、地面が抉れ、アクアリザード達の四肢が千切れ、四散していた。


 『牙砕弾』は土属性中級魔法に分類されるが、その魔法構成難度と魔力消費量は上級魔法に匹敵する。

 少し詠唱を端折った故に100%の威力ではないはずだが、オーバーキル感は否めない。


 だって土属性で範囲攻撃出来る魔法、これしか使えないんだもの……。

 私は精霊魔法を使えないから、1つの魔法を放つ毎に魔法構成を構築し直さなければならない。

 『牙砕弾』を使うか、それとも『土弾』を連射するかと問われたら、前者の方が圧倒的に楽なのだ。


「本当に君達を見ていると、魔法を使ってみたくなるよ」

「お見事です。リースさん」

「ははは。ありがとう」



--------------------



「さぁ。大分奥に来たけど」

「現在地はここだね」


 私とツルギは地下水路の地図を広げて現在地を確認した。

 となると、もうすぐ最奥だ。


 魔物達の妨害が激しく、私達もかなり魔力や体力を消費してしまった。

 ベクターフロッグなんて100匹は倒したかもしれない。


 だがもうすぐ終点だ。


「化け物がいるという話だからね。気を抜いちゃダメだよ」

「先頭はツルギ、ジーナは最後尾のいつものフォーメーションで行くぞ。気合入れろ!」

「はい!」


 地下水路の最奥は大きな空間になっている。

 ここは複数の地下水脈が流れ込み、1つとなる地点だ。

 人の足で行ける部分ではここが一番奥になる。


 そこに私達は足を踏み入れた。


「何か妙な気配がするね……」

「私もそんな感じがします……」


 敏感なツルギだけでなく、ジーナまで、この空間に流れる嫌な雰囲気を感じ取っていた。


 まるで全方位から見られているような、そんな気配。


 どこから来る……?


「………っ!?ジーナ!後ろだよ!」

「はっ!?」

「……チッ!」


 それは斜め後ろの天井付近の死角から遅いかかってきた。

 私は咄嗟にジーナを守るように体を滑り込ませ、『絶空』を発動させた。


 そしてこちらを見つめる6つの目を見た。


「くっ……!」


 私はその重い攻撃を受け止める。

 重いといっても地竜ほどではない。

 私にはまだ余力がある。


「グルォォォ!!!!」

「な、何だこいつは!?」


 そしてツルギは絶句した。

 床を踏みしめるクローウルフよりも強靭な四肢、全身を覆う金色の体毛、そして牙を剥く2つの頭。

 異形の化け物がそこにいた。


「こりゃ……確かに化け物だな……っと!」


 私は『絶空』を解除し、身体を捻る。

 空間魔法により止められていた化け物の爪が地面を穿つ。

 私はその横を通り過ぎるように剣を振り抜こうとする……が


「シャアア!!」


 突然現れた蛇の攻撃によって中断させられてしまった。

 いや、この蛇は最初からそこにいた。

 化け物の尻尾の先が蛇の頭になっているのだ。


「ギャァァァァ!!!」

「危なっ!?」


 化け物が左手の爪を私めがけて振り抜く。

 私はそれを間一髪で回避し、距離をとった。


「リース!無茶をしちゃダメだよ!」

「すまないな」

「リースさん、こいつは……」


 ツルギが私の前に立ち、崩れた陣形を立て直す。


 確かに『化け物』って言葉しか出てこないですわ。

 何なんだよこの化け物。


 大型獣に頭をもう1つつけ、蛇の頭を持つ尻尾をさらにオマケした感じだ。


「何かの冒険譚にいたな、こんな化け物。確か……キマイラ」

「キマイラ……」


 確か複合魔獣という意味だ。

 とりあえずそう名付けておこう。


「グルルル……グォ!!」


 キマイラは地を蹴り、ツルギに飛びかかってきた。


 ツルギは2本の刀を抜き、それを避ける。

 私とジーナは後ろに退がり距離をとった。


 キマイラの獣の頭2つは私を見ている。

 何かロックオンされたかな……


「てゃ……くっ!?」


 そんなキマイラの背後からツルギが攻撃を加えようとしたが、蛇の頭に迎撃される。

 頭が複数あるから不意打ちが効かないようだ。

 これは近接戦はシビアだな。


 私は魔銃を引き抜き、通常の魔弾をその体に撃ち込む。

 キマイラは斜めに飛んで避け、そのまま飛びかかってきた。


「ジーナ!」

「はい!」


 空中では身動きが出来ない。

 ジーナの良い的だ。

 ジーナは『風弾』と『水弾』を同時に放つ。

 2種類の魔法を同時に放つのは、弱点属性を見極めるためだ。


 『風弾』と『水弾』はキマイラにヒットした。

 だが……


「グルォン!」


 キマイラは身を翻して地面に着地した。

 少し怯んだだけだ。

 どちらも効いていない……?

 まさか魔法が効きにくいのか?


「てゃぁ!!」


 ツルギが着地を狙って刀を振るう。

 いつもなら完璧な死角からの攻撃なので、魔物は斬り刻まれるはずだったが、キマイラに不意打ちは通用しない。

 キマイラは再び地を蹴りそれを避ける。


「くっ……!逃がさない!」


 ツルギはさらに体をひねり、剣撃を加える。

 深追いするなんてらしくないな。


 その剣撃はキマイラの表皮を薄く切り裂いた。

 しかしその瞬間、その切り口から紫の血が迸る。


「っ!?」


 少し距離が離れていたためツルギにかかることは無かったが、その紫の血は地面に触れた瞬間、ジュワッと音をさせて地面を溶かした。

 おいおいマジかよ……


「ツルギ」

「……すまない」


 私は体勢を崩したツルギをカバーするように横に並んだ。

 本人も深追いしすぎた事を反省しているようだ。


 だが本当に厄介な敵だ。

 頭を複数持つため視野が広い。

 魔法は効果が薄い。

 そして斬ったら斬ったで溶解性の血。


 どう攻略したらいいんだ……?

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