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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第三章 冒険者入門編
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地竜

 何だ、この雰囲気?


 後ろでアイリスがヒロの腕の中で泣き始めたんですけど?


 メルはどうしたらいいのか分からずあわあわとしている。


 ジーナは顔を赤くしながらもチラチラと2人を見ている。

 ませてますなぁ……


「おい、ジーナ」

「はっ!?はい!?」

「土の精霊魔法ダダ漏れになってんぞ」

「はっ!?」


 魔法がダダ漏れで、地面が軟化してぐにゃぐにゃだ。

 さっき助けに入った時に精霊を纏ってからそのままだったからなぁ。

 気が逸れて今は制御が効かなくなっている。


「はぁ……なぁツルギ」

「ん?」

「私があれ倒してくる」

「……じゃあ頼むよ」


 今のジーナじゃ無理だからな。

 地面を強く蹴る。


「グォォ!」


 ゴブリンエースは咆哮して威嚇してくる。

 退く気は全くないようだ。

 私を迎撃するように棍棒を振り下ろしてくる。


 遅い。

 蚊でも止まりそうだ。


「ってぁ!」


 僅かな動きでそれを躱して懐に入り込む。

 あとは逆袈裟に斬り上げるだけ……


「リース!」

「っ!?」


 ツルギの声に一瞬遅れて察知した。

 濃密な気配。

 なぜこんな近くに来るまで気づけなかったのだろう。

 無理もないかもしれない。

 その気配は……


「下から!?」


 私は咄嗟に身体を捻り、地面に身を投げ出す。

 その瞬間地面が爆発し、何かが地面から飛び出してきた。


「ギャオオオオオォォォ!」


 岩のような肌、キラーベアーなんかより一回りも二回りも大きな巨体、そして大気を震わせるような咆哮。


 実際に見た事は無いが、一目で確信した。

 これが『竜』か。


「くそ……!」


 ゴブリンエースはその口に一飲みにされた。

 あのまま突っ込んでたら危なかったかもしれない。

 私はなんとか難を逃れられたが。


 しかし体勢が崩れて……


「グワァァァァァァ!!」

「やばっ……」


 これは避けきれないな。

 竜はその大口を開けて突っ込んでくる。


「ふっ!」


 その時、私と竜の間にツルギが割り込み、剣を眼前に構えて噛みつきを受け止めた。


「いきます!」


 ジーナが多数の『水弾』で援護射撃をする。


「グォォ!?」


 竜はそれを受けて少し仰け反る。

 その隙をツルギが押し込んで竜を押し返す。


「リース、大丈夫!?」

「ああ。助かった」


 これだけ時間を稼いでくれたら十分だ。


「グォォ……」


 竜はこちらを伺うように距離をとった。

 私達も、ツルギ、私、その後ろにジーナといった陣形で相対する。


「水の効きが悪い。見た目も合わせると……」

「地竜……だね。硬い表皮が特徴だ」

「では弱点属性は……風ですか?」

「そうだ、ジーナ。それで頼む」


 地属性の魔物に水属性は効きにくい。

 逆に風属性ならよく効く。

 ジーナは詠唱を唱えて風の精霊を纏った。


「敵はこいつで間違いないな…」

「そうだね……」


 これは相当な大物。

 腕が鳴るぜ!


「やるか」

「いや、ここは撤退だ」

「は!?なんで!?」

「危険すぎる。竜種はたった3人で挑めるような敵じゃない。今は敵の情報だけを持ち帰り、すぐにB級冒険者に来てもらって……」

「攻撃、来ます!」

「グオオオオ!!!」


 地竜が再び牙を剥いて突撃してくる。

 私達は別々の方向に散らばる。


「てやぁ!」


 ツルギは地竜に張り付いて足を斬りつける。

 だが……


「くそ……硬い……」

「グオオオオ!」


 刃が通りきらず、地竜に振り切られてしまった。

 私は魔銃を構えて引き金を3度引く。


パァン!パァン!パァン!


「マジかよ……」


 地竜は少し痒がっただけで、全く効いた様子がない。

 弾頭が弱すぎるから、どれだけ魔力を込めても一緒だな。


「お願いします!」


 ジーナが『風弾』の雨を放つ。

 10は超える数だ。

 その全てが尽く地竜にヒットする。


「ギャアアア!!」


 お、これは効いているみたいだ。

 やはり私の魔弾とは威力が段違いだな。

 しかしその分……


「はぁ……はぁ……」

「ジーナ、無理はしなくていい!確実に行け!」

「は、はい!」


 消耗が激しいな。


「ヒロさん達は早く退いて下さい!町に知らせて!」

「お、おう!」

「えぐっ……えぐっ……」

「ああ、もう!泣き止んでくれよ」

「泣いてない……泣いてないから……」


 まだやってんのかよ!

 退くにしても、このまま狩るにしても、後ろにいられると邪魔だ。

 訳ありなのは分かるが、さっさと退いてほしいなぁ。


「ジーナは後方から魔法で少しずつ削って!リースは銃で牽制!前衛は僕がする」

「はいよ!」


 確かに前衛はツルギに任せた方がいい。

 私ではあの巨体の攻撃を抑えるのは技術的にも力的にも無理だ。


「ギィィィィアアアァァァァ!!」


 その時、地竜がそれまでとは違った咆哮をあげた。

 そして、足下がドロリと溶けた。


「くっ!?」

「はわっ!?」

「これは……土魔法!?」


 土魔法で私達の足下の地面が緩められ足をとられる。

 そして地竜は水中に飛び込むように地面に沈み込んだ。


「っ!?ヒロさん!?」

「は!?」

「グアアアァァァァ!!!」


 次の瞬間、地竜は私達の下をすり抜けてヒロ達の目の前に出現していた。

 唖然とするヒロ達に口を大きく開けて襲いかかる。


「……クソォォ!!」

「へっ……ヒ、ヒロ!?」


 ヒロはアイリスを後ろに放り投げ、手を広げて地竜の攻撃を受け止めようとする。

 無茶なんてもんじゃない!


「ダメェ!ヒロ!」

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