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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第二章 幼少期編
28/327

アルバートとリーシア

 気づくと、真っ暗な空間にオレはいた。

 目の前には身長の高い精悍な男が1人。

 鍛え上げられた逞しい肉体に、それまでの激しい戦いを伺わせる全身の傷。

 その姿は間違えようもない。


「アルバート……」

『オレは聖神教を潰すために生きた』

「……ああ」

『父や母、妹の無念を晴らすために』

「……ああ」

『聖神教に虐げられた人々を救うために』

「……知ってるよ」


 知らない訳がない。

 オレはアルバートだ。

 いや、『だったんだ』。


「お前がどれだけ苦しんだかも知ってる。どれだけ足掻いたのかも知ってる」

『お前はどうするんだ?』

「……7年経って、リーシアとして過ごして、思ったんだ。皆オレをリーシアとして接してくれているのに、オレはアルバートのままでいいのかなって……」

『………』

「オレを親友だと思ってくれる奴に出会った」


 狼耳の少年が頭に思い浮かぶ。


「オレをライバルだと競い合う奴とも出会った」


 黒髪の頑固そうな少年が頭に思い浮かぶ。


「オレを師匠だと思ってくれる子とも出会った」


 黒髪の身長の高い少女が思い浮かぶ。


「めちゃくちゃ強い奴にも出会った」


 青髪の竜人の少女が頭に思い浮かぶ。


「オレを罵りつつも、案外頼りにしてる奴もいるし……」


 金髪のメイドが頭に思い浮かぶ。


「剣術を教えてくれる素直じゃない姫とも出会った」


 赤髪ツインテールの姫が頭に思い浮かぶ。


「オレを何かと気にかけてくれる人たち……」


 素材屋の男性や街の人、魔王陛下やそのお妃様……


「新しい母さんや姉さんも出来た」


 優しげな微笑を浮かべる銀髪の母と姉が思い浮かぶ。


「そして……オレを誰よりも評価してくれる奴とも出会った」


 赤髪の妖艶な少女が思い浮かぶ。


『評価してくれる、それだけか?』

「ま、まぁ可愛いっていうのもあるな……それは置いといてだ」


 コホンと誤魔化すように咳払いをした。


「こんなに多くの、素晴らしい人たちがリーシアを気にかけてくれているのに、オレはアルバートのままでいいんだろうか、って思うんだ」

『……そうか』

「もちろんアルバートはオレに無くてはならない部分だ。お前の諦めない気持ちが無かったらリーシアとして転生も出来なかった」

『……ああ』

「でも、2回目の人生を、1回目の復讐のためだけに費やしてしまうのは、なんだか勿体無いし……そんな人達に失礼だと思うんだ……」

『……ああ』

「オレは……いや、私は聖神教をぶっ潰すよりも、聖神教から……大事な人達を守りたいんだ」

『……それがお前の、リーシアの選択ならば、俺は構わないさ』

「私はお前とはさよなら、なんて思ってないぞ。絶対にお前の無念も晴らしてみせるし、理想も……だから、これからもよろしくな、アルバートとしての私」

『……ああ。リーシアとしての俺』


 そこで、私の世界が白銀の光に包まれた。

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