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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第二章 幼少期編
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イーザスという男

「くっ……ぬかったか……」


 ミラは目を擦りながら近づいてきた。

 こちらが起こす前に目を覚ますとは、魔法耐性まで高いんだな。


「無理もない。催眠魔法は初めて見たんだろ」

「お主は初めてではないのか?」

「まあ色々あってな」


 催眠魔法は前世で嫌という程辛酸を舐めさせられた魔法だ。

 聖神教の連中はこの魔法を使う者が多い。

 だから予備動作を見ただけで体が反応してしまった。

 さすがに近すぎたようで、しばらく意識を奪われてしまったが、


「本当に、ジーナがいなければどうなってただろうな……」

「ふむ。ジーナが時間を稼いでくれたか。後で礼を言わねばのう」


 オレは腕の中のジーナの黒髪を撫でる。

 彼女の髪はサラサラとしており、撫で心地がよい。


 彼女の中で、人と戦うことには少なくない葛藤があったのだろう。

 だが最後にはオレたちのために命をかけて戦ってくれた。

 その成長は師匠として嬉しく、誇らしいものだ。


「ミリアーナ様、無事ですか……!?」


 目を押さえながらも、アンナが心配した様子で近づいてきた。

 いつも飄々とした彼女がこうして感情を出すのは珍しい。

 催眠魔法のせいで狼狽しているのかもしれないな。

 催眠魔法は発動時の光によって視覚から作用する。

 アンナは魔眼の使い手で目が良いから、遠くでもアレは効いただろう。


「ああ、ジーナのおかげで無事だ」

「お主もな。さすが我が妹じゃ」

「うわっ!?ちょっ!」


 ミラがオレにハグをしてくる。

 最近は発育の方も順調なご様子で、胸なんかは本当にバリスさんに似てきてらっしゃる。

 嫌がるフリだけはするが、それとなく堪能しておこう。


「ほ、他の賊はどうなった!?」

「閃光魔法の効力が切れた頃に、一目散に逃げ出していました」

「まぁ逃げるだろうな……」


 多分あの鎧の男に雇われただけの何処にでもいる盗賊だろう。

 このままだと皆殺しは確実だった。

 彼奴らも命までかける義理はないだろう。


「しかし取り逃がす心配はないかと」

「ん?どうしてだ?」

「………いらっしゃいました」


 アンナが目を向けた方向は、さっき盗賊たちが現れたのと同じ、出口の方向。

 また何か来るのかと思って身構えてしまったが、杞憂と終わった。


「皆さん、ご無事なようで」


 現れたのは立派な鎧に身を包んだ近衛騎士団長、イーザス・ラゴノイドであった。



--------------------



「さぁ、では参りましょうか」


 ミリアーナ、アンナ、ジーナは他の近衛騎士団員の護衛で城の方向へと帰っていった。

 オレだけ家の方向が違うので イーザスさんに付き添われて家までの帰路についた。

 一応、少女1人で夜道を歩くのは危ないという設定だ。


 あの後現れた近衛騎士団によって、逃げ出した賊の生き残りは全て捕縛、後ほど尋問が行われるらしい。

 またあの鎧の男に関する調査や、洞窟最深部の後始末など全て請け負ってくれた。

 そこは感謝している……のだが。


「全部貴方の思い通りですよねぇ」

「そうですな」

「まぁ最初に賊の話聞いた時から、来るんだろうなぁって思ってました。あの鎧の男は?」

「彼は聖神教の下級聖騎士です。どうも魔帝国に入国してからの足取りが怪しいので、餌を撒いてみた次第で」

「餌……」

「もちろん皆さんにもしもの事が無いように配慮はしました。戦闘もこの目でしっかり見てましたよ。見事でした」


 怪しい人物がいるから、そいつの尻尾を掴みつつ、自覚の無い姫に自覚を持ってもらう、一石二鳥の作戦だったわけだ。

 餌扱いされたのは何だか腹が立つが。


「まぁ事前にある程度言われていたオレも片棒担いだようなもんなので、文句とかはないですよ」

「それは良かった。話したい事も話しましたし、それではこれで」


 そう言うとイーザスさんはくるりと反転して城の方向へと行こうとする。


「まだオレの家じゃないんですが?」

「私はどうもリーデル殿に嫌われているようでしてな……貴女なら無事に帰れるでしょう」


 そう言ってイーザスさんは足早に去っていった。

この人、いつも早歩きだな。

 忙しい人ってのは皆こうなのか?

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