幕間
リースの知らない会話
「ふぅ……」
「魔王陛下、少しお休みになってはいかがでしょう」
「イーザスか。大丈夫だ。今日はこの後軍団長達を集めて会議があるからな。今のうちに仕事を終わらせねば。そういえば、奴らはどれくらい集まった?」
「殆ど集まっておりますよ。先ほどレイチェル様がお着きになり、面会を申し込んでいらっしゃいました」
「そうか、会議の前に少し時間を設けてくれるか」
「承りました」
「それにしても、昔は戦ならいくらでも体力が保ったが、書類と向き合うのは全く慣れんな。肩が凝る。」
「はは。私も近衛騎士団の管理で最近は書類仕事ばかりですよ。何も考えず剣を振り回していたあの頃が懐かしいです」
「私とお前が会ったのも100年以上前か。お互い随分歳をとったな」
「陛下や私、バリス殿やリーデル殿は種族柄マシな方でしょう。ゾルド殿など、先日は腰痛が酷くなって剣を振れないと言っておりましたぞ」
「そうか。ゾルドには今度腰痛に効くものを送ろう」
「年寄り扱いするな、と言いそうですな」
「違いない」
「ゾルド殿には孫が2人もおります」
「私たちの種族は寿命が長い分、子は出来にくいからな。気づけばあれの孫と私たちの子が同世代か」
「子と言えば、ミリアーナ様はバリス殿似ですなぁ。最近美しゅうなられました」
「そうだな。ミリアーナを見ていると昔のバリスを見ているようで不思議な気分だ」
「そういえばミリアーナ様が先日近衛騎士団の訓練に混ざっておられましたぞ」
「何?何故だ?」
「なんでも、他の皆が頑張っておるから……と」
「だからといって近衛騎士団に混ざらずともよかろう……はぁ。マイペースな所までバリスにそっくりだ。何を考えているか分からん。で、どうだった?」
「流石の一言でございました。あの幼さで近衛騎士団の厳しい訓練についてくるとは」
「で、あろうな」
「おや、魔王陛下といえど子が褒められれば嬉しいものなのですかな?」
「悪い気はせんだろう。子といえば、ノースエルの名も聞こえてくるぞ。なんでも既に近衛騎士団の上級騎士程の腕前があるとか」
「いえいえ、我が子故幼き頃から剣を叩き込んで参りましたが、あれはまだまだでございます」
「お前は本心でそう思ってそうだな。ノースエルはそろそろ学園に通える年齢だったな。どうするのだ?」
「来年には正式に近衛騎士団に所属させ、実戦経験を積ませていく事としました」
「良いのか?学園でしか積めぬ経験もあると思うが」
「ええ。本人たっての希望ですし、何より王を守る盾が脆くては意味がありませぬ」
「……そうか。頑固者め」
「褒め言葉でございますれば」
「………話は変わるが状況に変化はあったか?」
「大きな変化はありません。しかしレイチェル様の領地あたりでは小競り合いが勃発しているようです」
「レイチェルか……暴発しなければよいのだが……」
「問題ないかと。レイチェル様に打って出る気配はありませぬ」
「そうか。もしかしたらギリアムが何かしたのかもしれんな」
「ギリアム様ですか……今回の会議も欠席なさるとか……」
「ミリアーナ以上に何を考えているか分からんよ……」




