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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第二章 幼少期編
20/327

魔王一家

 オレはミラに手を引っ張られながら自宅への道を歩む。


 ミラに無理矢理妹兼家臣にされ、母さんに報告するためとか言ってミラに連れられているのだ。

 はぁ……もうどうにでもなれよ……


「お主の家はこちらで良かったかの?」

「はいはい。ここを真っ直ぐだ」


 魔帝都から出て少し言ったところ、森の入り口近くがオレの家だ。


 急にこんな事話して、母さんはどんな反応するだろうなぁ……

 驚く?

 喜ぶ?

 まぁあの人の事だし「そうなの。良かったわね、リース」ぐらいで流してしまいそう。

 これは子供に無関心ではなくマイペースなだけなのだ。


 適当にそんな事を考えていたら家に着いた。

 ミラは「邪魔するぞ〜」と簡単に挨拶だけして玄関から屋敷に入る。

 まあまあ広い家だし、絶対母さんに聞こえていない。


「リーデル殿は何処じゃろう?」

「いつもこの時間は居間で本を読んだりしてるぞ」

「どっちじゃ?」

「はぁ……こっちだ」


 もう流れに身を任せるしかないな。

 オレは一階の居間にミラを案内する。

 居間の扉の前まで来たところで、中から話し声が聞こえてきた。

 誰か来てるのか?


「ただいま、母さ……うわ!」

「リースちゃ〜ん!久しぶりぃ〜!」


 扉を開いた瞬間、誰かがオレに飛びついてきた。

 その時、何か硬いものが頭に当たって目の前で火花が散った。


「ちょっと姉さん!1年くらいで大げさな!」

「1年もリースちゃんに会えなくて、お姉ちゃん寂しかったんだよぉ〜」

「ふふリーアったら。リース、おかえり」


 飛びついてきたのはオレの姉、リーアだった。

 この人は魔王軍の要職に就いているらしく、家には中々帰ってくる事ができない。

 半年に1度会えるかどうかぐらいだ。

 ちなみにオレの頭を打ったのは姉さんの鎧だ。

 家の中なんだし脱げよ……


 母さんはそんな姉妹の様子を居間の椅子に座り、微笑ましそうに眺めていた。


「リーア!栄えある我が第四軍団副団長が情けない事言うんじゃないわよ!」

「そんなぁ、レイチェル様ぁ〜」


 そこで、居間にいるもう1人の存在に気付いた。

 姉さんよりも豪華な鎧に身を包み、赤い髪を頭の横で縛ってツインテールにした女性が母さんの向かいに座っていた。

 目がかなりつり目で、美人だがキツい印象を受ける。


「リース、この方はレイチェル・ディンユル・ヴェルヘルム様。魔王陛下のご息女で第四軍団団長よ。挨拶なさい」


 また軍団長かよ。

 三人目なんだが。

 今日は軍団長の安売りでもしてるんですか。


「ど、どーも。リーシア・シルフェリオン・ジルドです」

「レイチェル・ディンユル・ヴェルヘルムよ。あなたがリーアがいつも言っていた妹ね。確かに小さい頃のリーアにそっくりね。可愛さだけは認めてあげるわ」


 その時、レイチェルはオレの後ろについてきたミラを見つけた。

 そういえば姉妹なんだな、この2人。


「あらミリアーナじゃない。どうしてあんたが此処に?」

「んむ?何故姉貴殿こそどうして此処に?」

「どうしてって……私の副官であるリーアが実家に寄るって言うから挨拶がてら……仕方なくよ仕方なく」

「妾も似たようなもんじゃ」


 ミラはオレの前に出ると、母さんに一礼した。


「久しぶりじゃな、リーデル殿」

「あらあらミリアーナ姫様、お久しぶりです。今日はお客様が多くて嬉しいですわ」

「実はリースを我が家臣に迎えようと思うんじゃが、よろしいかの?」

「ええリースさえ良ければ」

「では決まりじゃな」


 軽っ……てのは予想してたし、今更驚かないぞ。

 でも、オレが良ければって言ってんだからオレの意思も確認してくれよ。

 まぁ良いんだけどさ。


「リーシアはミリアーナの家臣になったのね」

「そうじゃが、妾の妹でもあるぞ」

「じゃあリーアの妹でミリアーナの妹でもあるリーシアは私の妹でもあるわね!頼ってくれても良いのよ!」


 レイチェルはそう言ってオレの頭をわしゃわしゃと撫でる。

 バリスさんやミラのような優しい手つきではないが、嫌な気分はしない。

 少し粗雑そうだが頼れる姉御って感じだ。


「そういえば姉貴殿。先程、城でゼルシア軍団長に会うたが、軍団長に召集でもかかっているのかの?」

「そうみたいね。……まぁ私の用はそれだけじゃないけど!ああ思い出しただけで腹立たしい!」


 レイチェルは拳を握りしめ、歯をギリギリと鳴らす。

 額には青筋まで浮かび、そのまま机に腕を叩きつけて壊すんじゃないかってくらいの剣幕だ。


「何かあったのかのぅ」

「実は〜、私達第四軍団は魔帝国東部に本拠地があるんですけどぉ、そこで最近人族との小競り合いが多発してましてねぇ。手が回らなくなったから、レイチェル様のお兄様のギリアム第二軍団長に支援を要請したんですぅ。そしたら『そんな事に構ってる暇があったら内政をしっかりしろ』って言われたんですよぉ」

「リーア!あんた部外者にペラペラ内情を喋ってんじゃないわよ!軍法会議にかけられたいの!」

「ふぇぇぇ。でもミリアーナ様は姫様だしぃ……」

「でももヘチマもないでしょ!」

「まあまあレイチェル様」


 母さんは相変わらず笑みを崩さずレイチェルを宥める。


「大体アイツは臆病すぎるのよ!前っから本当にそうだわ!ジーグレン攻城戦の時だって、私だったらあの三割の時間で終わらせられたわ!」

「でもギリアム軍団長が長期的な策をとったおかげで被害が軽微だったって……」

「黙りなさい、リーア!」

「ふぇぇぇ……」

「今回だって、緊急性のある支援要請を断っただけじゃなく私の領地の内政に口を出してきたのよ!こんなの内政干渉だわ!」

「でもギリアム様から送られてきた内政案は素晴らしいものでしたよぉ〜」

「それもそうなのよね……本当にアイツは弱いくせに頭だけは……って、ちがーう!内容は関係ないの!これじゃあ私の面目が丸つぶれよ!父様に言いつけてやる!」


 さっき姉さんに内情を漏らすなと言っていたくせに、自分はペラペラ喋るんだな〜。

 姉さんもぼんやりしているところあるし、第四軍団の運営は大丈夫なのか?


「まぁ兄貴殿が支援を送らないのは考えがあるのじゃろう。親父殿もそれを分かってるじゃろうし、言いつけてもどうしようもないと思うぞ」

「なっ……!ミリアーナ、あんたは私とギリアム、どっちの味方なのよ!」

「これは姉貴殿のためでもあるのじゃ。栄えある第四軍団長がこんな些細な事で親父殿に泣きついたなど、下々に知れたらどう思われるか……」


 まぁ情けないと思われるわな。


「うっ……それもそうだけど……」

「レイチェル様、私もそう思います。ギリアム様は聡明なお方です。あの方がそう動くべき時ではないと判断されたのなら動くべきではないと思いますよ」

「リーデル殿まで……」

「きっと機会を伺ってらっしゃるのでしょう。いずれ行動を起こす時が来るはず。その時こそ武勇に優れるレイチェル様の出番ですよ」

「……それもそうね!確かにギリアムが考えを誰にも明かさないのは今に始まった事じゃないし、アイツは弱いからその時が来ればきっと私を頼るに違いないわ!ありがとうリーデル殿!」

「ふふ。いえいえ」


 なんとまぁ、うまく丸め込んだなぁ。

 こういうタイプは自尊心が強く、さらに周りの話を聞かない。

 母さんがゆっくり落ち着いて諭したのも成功の要因だが、多分「武勇に優れる」ってヨイショしたのが効いたな。

 レイチェルを説得する機会があったら、この方法を使おう。


「じゃあもうそろそろ行くわ!父様にも挨拶しないと!ミリアーナ、また後でね!」

「うむ」

「リーシアも私の妹同然なんだから、今度剣の稽古でもつけてあげるわ!」

「おお、頼むよ」

「よし、リーア行くわよ!」

「ええ!?まだリースちゃんとお話ししたりないですぅ」

「うるさいわよ!あんたは私の副官なんだから、ついて来なさい!」

「ふぇぇぇ……!リースちゃ〜ん!母さ〜ん!」

「リーア、またお休みには帰って来なさいね〜」


 姉さんは哀愁の漂うような悲鳴をあげながらレイチェルに引きずられて行ってしまった。

 なんか無理矢理なところとかがオレとミラに似てるような……

 深く考えないでおこう。


「姉貴殿に気に入られたようで良かったのぅ。姉貴殿は武術に関しては帝国軍で5本の指に入るから稽古にも期待しておくがよい」

「うぉ、マジか」


 あの人が強いってのは母さんのヨイショじゃなかったんだな。

 まぁ魔王陛下の娘だし、強いのも当たり前か。


「そういやさっき話の中でミラの兄さんの話があったけど、どんな人なんだ?」

「どんな人……と言われてもよく分からんのぅ。あまり人に考えを話さんし何を考えてるか分からん」

「兄妹なのにか?」

「妾が物心ついた頃にはすでに第二軍団長として自分の領地で領地の運営をしておったからのぅ。ほとんど帰ってこんから何も知らん。ただ……」

「ただ……?」

「とんでもなく知恵が回り、とんでもなく弱いらしい」

「……なんじゃそりゃ」


 それじゃあまるで……


「姉貴殿と正反対じゃな」

「言ってやるなよ……」


 実の姉が頭が悪いって言ってるようなものだぞ。

???「まるで軍団長のバーゲンセールだな」


6/16 誤字修正

レイチェルのリースの呼び方は「リーシア」です。一部間違えてました

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