ミリアーナ
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「おーい。聞こえとるのかー?」
こんな美少女が本当に世の中に存在するのだろうか?
絵画の世界から飛び出してきたと言われても信じられる。
その一挙手一投足に愛らしさはもちろん艶かしさまでも感じる。
相手は前世のオレと10歳以上も違う少女であるのにも関わらずだ。
オレはノーマルだと思っていたが、まさか少女趣味でもあったのか!?
「おーい?変な奴じゃな〜」
「ほらリース。挨拶しなさい」
「………はっ!?」
オレはしばらくの間この少女に見惚れていたようだ。
多分5分とかそんぐらい?
母さんに肩を叩かれ、オレは現実に引き戻された。
背筋をピンと伸ばし、丁寧にお辞儀をする。
「リ、リーシア・シルフェリオン・ジルドです!ど、どうぞよろしく!」
「うむ。きちんと挨拶出来て偉いのぅ。妾は礼儀正しい子は好きじゃぞ」
その少女はオレの頭に手を乗せ撫でてくれた。
冷静に考えてみれば、この子はオレより身長が高く、多分年上。
さっきから少女少女言ってたけど、オレは幼女だった。
「先ほども名乗ったが、妾はミリアーナ・スカーレット・ヴェルヘルムじゃ。ミラと呼んで良いぞ。妾もリースと呼ぶからの」
さっきも名乗ってらっしゃいましたか。
見惚れてて全然聞いてませんでした。
ん?
ミリアーナ……?
どっかで聞いたことが……
「ちょっ!?まさか!?」
オレが魔王陛下に目を向けると、何も言わずとも陛下は頷いた。
「ミリアーナ。私はリーデルと話があるから、リーシアと遊んであげなさい」
「うむ。了解したぞ親父殿。リース、こちらへ来るが良い」
オレは少女……ミラに手を引かれながら、なんとかこの状況を整理しようとしていた。
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「ここが妾の部屋じゃ!」
ミラに手を引かれて辿り着いたのは、陛下の執務室と同じ階の違う部屋だった。
ミラは無遠慮に扉を開け放ちオレを部屋に引き込む。
「こっちじゃこっち」
そうしてオレは天蓋付きの大きなベッドの縁に座らされ、ミラもその隣に座った。
「うーむ。流石あのリーデル殿の娘御、本当に可愛らしいのぅ。お人形さんみたいじゃ」
「ちょっ!?」
そしてオレはミラに抱かれ、撫で回された。
お人形さんみたいに可愛らしいのはそっちもなんですがね……
ていうか急に抱きしめられたせいでまとまりかけていた思考がまた乱れてしまった。
えーと、先ほどからの会話と状況から察することのできる状況は……
「あのぅミラ……様?」
「ミラで良い。お主と妾は3つしか歳が違わんし、他人行儀なのは好かん」
3つ上というと……6歳ですか。
えー。
見えませんなぁ。
「あ、はい。えっと、ミラはあの魔王陛下の娘……なんだな?」
「さっきからそう言っておるじゃろう。話を聞いて居らなかったのか?ボーッとした子じゃな。でもそこも可愛らしい」
そう言ってミラはオレに頬ずりをしてきた。
近い近い!
顔が近いよ!
恥ずかしすぎて顔が熱いわ!
「ち、近いです!」
「良いではないか。同じ女子じゃぞ?」
「それでもです!」
オレは無理矢理体を捻り、ミラから離れた。
そっちから見るとオレは無害な幼女にしか見えないのだろうが、こっちは心は健全な男だ。
こんな事をされると何か間違いを犯してしまいそうだ。
いや、性別が無いので犯しようがないんですが。
「ふむ…あまりこういうスキンシップは好かんか……まぁ良い。そのうち慣れてもらうからの。でも敬語は止めるんじゃぞ」
そう言うとミラはオレから離れてくれた。
赤い髪がフワッと揺れて良い匂いが鼻腔をくすぐる。
「えっと…ミラのお母さんはバリスさん?」
「おお、そうじゃぞ。親父殿は側室を持たんからの。我が母は確かにそうじゃ」
あのエロいお姉さんの娘か〜。
あの人の遺伝子仕事しすぎだろ。
悪魔族だと聞いたが、色魔かなんかか。
執務室でのあの反応から、魔王陛下は邪神の使徒が言っていた「ミリアーナ」という女性はこの子だと思ってるんだろうな。
あの方の事だからもっと色々考えがあるんだろうが、オレには少し根拠が弱いように思える。
まぁ今は他に手がかりがないので、この子にお近づきにならせていただきますか。
別に可愛い女の子だからとかそういうのはない。
けっして。
オレは話題を探して部屋の中を見渡す。
「なんというか……可愛らしいものが好きなんだな……」
部屋の中は少女趣味な可愛い小物やぬいぐるみで溢れていた。
全体的にピンクが多い。
カーテンとかベッドのシーツもピンクだし、よほど好きなんだなぁ。
それでいて目がチカチカしたりしないのだから上品さを感じる。
「可愛らしいであろう?だが可愛さではお主には負けるぞ」
「魔王陛下の娘ともあろう方がそんな安っぽい口説き文句を使わないでください」
オレはハッとして声のした方を振り向く。
そこには金髪のメイド服の女の子が立っていた。
またもや美少女である。
右目が赤、左目が青のオッドアイが神秘的な雰囲気を醸し出す。
ミラとそう歳は変わらないように見える。
まるで置物のように部屋の隅に佇んでおり、声を発するまで気がつかなかった。
「アンナは手厳しいのぅ。口説き文句ではなく本心じゃよ」
「本心なら尚更止めていただきたいですね。仮にも魔王陛下の娘なのですから」
「えーと……ミラ、彼女は?」
オレがミラにメイド服の彼女について聞くと、ミラが口を開くよりも早く本人がメイド服の裾を持って一礼する。
「ミリアーナ様お付きのメイドのアンナと申します。私につきましては、家具のようにその場にいないものとして扱っていただいて大丈夫でございます。リーシア嬢」
「そんなくだらない事を言ってないでこっちに来て会話に加わるがよい、アンナ」
「………チッ……ミリアーナ様にそう仰られると逆らえませんね」
「おい、この人今舌打ちしたぞ」
「良いのじゃ良いのじゃ」
アンナは部屋の隅からオレたちの座っているベッドの側まで近づいてきた。
メイドにしてはかなり自由奔放な言動だよなぁ。
「……こちらをジロジロ見ないでいただけますか?孕んでしまいます」
「孕むか!!オレを何だと思ってるんだ!」
「これは失礼。ジルド族は一人で子供が作れる妙な種族らしいのでそれぐらい可能かと思いました。忘れてください」
「ひどっ!?」
何なの?
オレもう嫌われてんの?
アンナの目がそれはもう冷たいんですが。
「アンナは誰に対してもこうなのじゃ。気にするでない」
「メイドなら気にした方がいいんじゃないか?」
「口調については貴女に言われたくはありませんね。リーシア嬢」
ああ、これは言い返せませんわ。
オレ口調の幼女が毒舌少女に口調についての説教など出来ないよなぁ。
「リースよ。妾はお主が気に入った。お主さえ良ければいつでもここに遊びに来ても良いぞ。衛兵にも伝えておこう」
「そうか?じゃあ偶に遊びに来させてもらおう」
「そうかそうか」
ミラはふわりと微笑むとオレの頭を撫でる。
こういうスキンシップのとり方はバリスさん譲りか。
その時、アンナがミラの耳に口を近づけて何かを囁いた。
「………ミリアーナ様。来ました」
「ふむ。思ったより早かったの」
なんの話をしているのか聞こうと思ったその時、廊下の方からドタドタと走る音が聞こえた。
扉はオレたちが入ってきた時から開けっ放しだから音が良く聞こえる。
「ミリアーナ様、ご無事ですか!?」
その足音の主は鎧に身を包んだ黒髪の少年だった。
ダースと同じくらいか少し高いぐらいの身長である。
「ザリ、騒々しいぞ。落ち着け」
「ミリアーナ様が怪しげな少女を連れ込んだと聞いて、落ち着いてなどいられますか!あれほど誰かと会う前には僕を通して欲しいと申し上げたでは……」
その時、ザリと呼ばれた少年と目があった。
ザリはこちらに鋭い視線を向けて腰の剣に手をかけた。
「君、ミリアーナ様から離れろ!」
「いや、離れるも何も……」
ミラの方からオレに手を伸ばして撫でてるんだけどなぁ、そう言おうとした瞬間、
「リースは怪しくないぞ。妾の妹のようなものじゃ」
そう言ってオレは抱き寄せられた。
妹って……オレの意思はそこに存在するんですかねぇ。
「なっ!?そんな得体の知れない少女に近づいてはなりません!」
ザリの視線の圧力がさらに増す。
なんで矛先がオレに向いてるんだよ……
「リースはあの『紅の戦姫』リーデル殿の娘御なのじゃぞ。得体が知れんことはないであろう」
「なっ戦姫の……!?……ですがミリアーナ様に万一の事があっては、護衛の僕が魔王陛下に顔向けできません!」
まぁミラは仮にも一国の姫だ。
だから大事にされるのは分かるし、そうあるべきなのだろうな。
ミラはため息をつく。
「お主も頭が硬いのう。そうじゃ丁度良い。アンナ、魔族の唯一の掟はなんじゃったかの?」
「はい。『力ある者に従え』でございます」
「うむ。そうじゃ」
オレはそこはかとなく嫌な予感がした。
だが逃げ出そうにも今はミラにぎゅっと抱かれており、身動きできなかった。
「リースの力も見ておきたい。リース、ザリ、お主ら決闘をしてみよ」
巷ではミラみたいな少女のことをロリババアと言うそうですね
筆者、そういうの好きです()




