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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第六章 魔法学園入学編
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強敵

「遅いですね、リースさん」

「いつもはもう来てる時間だけどね」

「Zzzzzzzz……」


 校門前でリースさんを待って1時間程が経ちました。

 いつもなら、リースさんと校門前で待ち合わせて寮に帰っている時間です。


 リースさんに限って何も連絡をくださらない事は考えられないですが……


「何かあったのでしょうか……」

「探しに行くかい?」

「Zzzzzzzz……」

「そうですね。私が行ってきますので、ニアさんをお願いできますか?」


 背中のニアさんをベンチに寝かせて、私は校内にリースさんを探しに行きました。



---------------------



「いつもなら図書館辺りにいるのですが……」


 しかし図書館でそれらしき人は見つかりませんでした。

 図書館以外にリースさんが他に行く所なんてあったでしょうか……


「ジーナ……?ジーナじゃないか!」

「ん……お兄様!!」


 声をかけられて振り向いてみれば、そこにいたのはお兄様でした。

 3年ぶりに会ったお兄様はかなり身長が伸び、顔つきも大人っぽくなってきていました。

 段々とお父様に似てきましたね。


「お兄様、お久しぶりです」

「久しぶり、ジーナ。すまない、生徒会の仕事が忙しくて中々会いに行けなかった」

「お気になさらないで下さい」


 お兄様は制服の左腕に巻かれた腕章を指差します。

 ミリアーナ様も同じものをしてらっしゃいました。

 生徒会の腕章なのでしょう。

 お兄様もミリアーナ様のお付きとして生徒会に所属してらっしゃるとお手紙に書いてありましたから。


「話をしたいのは山々だが、また今度にしよう。今、校舎裏で不良達が喧嘩しているという通報があって、仲裁に向かうところなんだ」

「不良……ですか?」


 その時、私の頭にある1つの可能性が浮かび上がりました。

 まさか……


「ジーナ、乱暴な奴らもいるから早く帰……」

「お兄様、私もついていってよろしいですか!?」

「っ!?な、何言ってるんだジーナ!?危ないだろ!?」

「お願いします!」

「う………分かった。何だか分からないが、ついてきなさい。何かあったら兄さんが守るから」

「ありがとうございます!」


 私はお兄様と校舎裏に向かいました。

 そしてそこで目にしたのは……


「リースさん!」

「リ、リーシア!?」


 地に倒れ伏すリースさんでした。

 私は思わず駆け寄っていこうとしますが……


「ま、待った!」

「っ!?あなたはリースさんと同室の……ラズさん?」


 茶髪で眼鏡をかけた女子生徒に止められてしまいました。

 この方はリースさんのルームメイトのラズさん。

 とある事がきっかけでリースさんを『姐さん』と慕う、リースさんの妹分的な存在……らしいです。


「今、姐さんはタイマン勝負の真っ最中なんだ!」

「タ……タイマン?」


 その時初めて気付きました。

 リースさんのすぐ近くには金髪の男の人が倒れているのです。

 それに2人の周りの地面や校舎の壁はボコボコに変形しています。

 何か焦げ臭い臭いも……


「げっ……アレは……!」

「生徒会のロールクレインだ!」


 それに周りには他にも怖そうな男の人がたくさんいました。


「な、何だか分からないが生徒会として喧嘩を見逃すわけにはいかない!」

「頼む!あと少し待ってくれ!3時間にも及ぶ死闘にもう少しでケリがつきそうなんだ!」

「さ、3時間!?」


 3時間も喧嘩をしているのですか!?

 長さもそうですが、リースさんがそんなに手こずる方がいる事にも驚きです……


「いや、時間は関係な……」

「見ろ!ライリーさんと1年が立ち上がったぞ!」


 その声に全員の視線がボロボロの2人に集まります。

 リースさんは立つのもやっとです。

 制服はあちこちが焦げています。

 対する男の人も鼻血を出し左手をダラリと下げています。

 2人とも満身創痍でした。


「お前、やるじゃねぇか……」

「お前もな……ガキだと思ってたが……」

「これで……決めるぞ……!」

「望む……ところだ……!」


 そして2人は同時に、ゆっくりと右腕を振りかぶります。

 いつもなら簡単に避けれそうな拳でしたが、2人にそんな体力は残っていないようでした。


 お互いの拳が頬にめり込み……同時に倒れました。


「リースさん!」

「姐さん!」

「ライリーさん!」


 私達は我慢出来ずに2人に駆け寄りました。

 酷い傷です。

 早く医務室に連れて行かないと……


「ん……ジーナ……?何で……ここに……?」

「今はそんなことどうでもいいです!早く医務室にお運びします!」

「アタシも手伝うぞ!」

「いや……ちょっと……待ってく……れ……」

「リースさん……?」


 リースさんは私の肩を借りて上半身を起こしました。

 その視線の先には同様にお仲間の方に介抱される、喧嘩の相手の人がいました。


「お前……案外やるな……魔法が……使えないとはいえ……こんなに追い……詰められたのは……久々だ……」

「………お前も……な」


 不思議な事に、2人は笑っていました。

 先ほどまで殴り合っていた2人がです。


「………ライリーだ」

「……ん……?」

「ライリー……俺の名前だ。お前は……?」

「リーシア……リースって呼んでくれ……」

「リース……か………確かに覚えたぜ……」


 そしてライリーと名乗ったその人は他の不良の人達に担がれて行ってしまいました。


「はぁ……リーシア、君は何をしているんだ?」

「ん……お前、もしかしてザリか……?随分立派になったなぁ……」

「君は何というか……あんまり変わってない気がするな」

「はは……まあな……」


 お兄様はヤレヤレと頭を振りました。


「ジーナ、僕が彼女を医務室まで運ぼう」

「えっ……お兄様がですか……?」

「な、何だその顔は?」

「そ、その……リースさんの変な所触ったりとか……」

「し、しないに決まってるだろ!な、何を言ってるんだ!」

「2人とも!そんなのはいいから、早く姐さんを運ぼうぜ!」

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