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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第六章 魔法学園入学編
117/327

不良

「ねぇねぇジーニスタさん、ここの理論がよく分からないんだけど……」

「魔法の相性って何?」

「ちょっと!今私がジーニスタさんに聞いてるのよ!」

「皆さん、喧嘩しないでください……」

「ジーナ……5分後に起こして……Zzzzzz」

「ニアさん!ご飯の時間には早いですし、食べながら寝ると服にこぼしますよ!」



-------------------



「ふぅ……」


 学園の授業が始まって2週間ほど。

 私はなんとかクラスに馴染むことが出来たのか、さっきみたいにクラスの皆さんから質問されることが増えてきました。

 あまりこういう事は経験が無いので戸惑ってしまいます。


「大変だね。ジーナ」

「あ、ツルギさん」


 質問に来る人の波が途切れた頃を見計らって、ツルギさんが話しかけてきました。


「ツルギさんには誰も?」

「同じ特待生でも僕は魔法はからきしだしね。あ、でも体術系の実技の授業だと聞かれる事もよくあるよ」

「私だけじゃないんですね……」

「随分と疲れてるみたいだね」

「はい……でも新鮮な気もします」


 私は今まで冒険者として過ごしてきたせいか同年代の人とこんなに沢山話す事なんて滅多にありませんでした。

 本当に学園に入学したんだなぁって思います。


「それにしてもリースは全く授業に出ないね」

「………はい」

「やっぱり気になるよね」


 ツルギさんの言う通り、リースさんは殆ど授業に出ません。

 特待生なので卒業には全く問題は無いのですが……


「リース、また上級生の男子生徒と喧嘩したって聞いたけど?」

「はい……リースさんに聞いてみたところ、向こうから吹っかけてきたから殴った、と……」

「まぁ売られた喧嘩は買うからね、彼女は」


 リースさんがこうして喧嘩をしたという話はよく聞きます。

 リースさんはあんな見た目ですし、授業の時間に外を歩いていたら嫌でも目立ちます。

 だから絡まれてしまう事も多いのでしょう。


「男子の間でも言われてるよ。リースは不良だって」

「……女子もです」


 でもそれによって、1年生の中では彼女は不良だと思われてしまっています。

 元々冒険者だったというのも、気性が荒いイメージをつけている。


「リースさんは悪い人じゃないのに……」

「まぁいいじゃないか。僕達が彼女の事を理解してればそれで」

「でも……!」

「自分が凄いと思ってる人が正しく評価されてない事が嫌なのは分かるよ。大丈夫。人の評価なんて案外簡単に変わるよ。闘技大会でのリースに対する観客の反応は見たでしょ?」


 確かに、闘技大会が始まる前は誰にも見向きもされなかったリースさんですが、決勝では多くの人が彼女に歓声を送っていました。

 それを見て私は少し誇らしく思いました。


「そう……ですね」

「気長に待とうよ……っと、もうこんな時間だ。次の授業は第54演習室だったね。行こうか」

「はい。……ニアさん!起きて下さい!」

「うーん………あと3時間……」

「だから長いですってば!」



--------------------



「はぁ……何でこうも絡まれるんだろうなぁ……」


 私は校舎裏のベンチに座り込んだ。

 ラズも横に腰を下ろす。


「姐さんは強いから、目をつけられてるんだろうね。そのうちああいう輩もいなくなるよ!」

「だといいんだが……」


 初日にラズを助けた時以来、しょっちゅう2年生の不良に絡まれるようになった。

 多分同じグループの人間なんだろうけど、こうも頻繁に来られると面倒だ。


 ていうか悪評がヤバい。

 1年生は私が近づくと、道の端に寄ってヒソヒソと話し始めるし……

 入学早々不良扱いだ。


 これでは休み時間とかにジーナやツルギに近づきにくい。

 2人にまで変な迷惑かけられないし。


「どうしたもんかな……」

「襲ってくるのは2年生の不良グループなんだよな?じゃあそのボスを倒して止めさせよう!」

「そう上手くいくかな……」


 2年生を倒したら次は3年生に目をつけられるだけだと思うんだが……

 泥沼だ。

 抜け出せない。


「舐められるのは癪だけど逃げるしかないかなぁ」

「ええ!?逃げちゃダメだよ姐さん!」

「とはいってもなぁ……」

「おい!てめぇら!」


 ほら、噂をすればだよ。

 角材を肩に担いだ見るからに不良の男子生徒がこちらに近づいてきていた。


「おいラズ、逃げるぞ」

「ちょっ!?姐さん!」

「相手にしてらんねぇよ!……っ!?」


 逃げ道を探して辺りを見回すと、囲まれていることに気づいた。

 よくもまぁこんなにガラの悪い奴らが集まったもんだ……


「ちっ……」

「姐さん……」

「おめぇが最近俺の仲間に手ェ出してる1年生だな?」


 その時、不良達の中から一際身長の高い、リーダー格らしき1人の男子生徒が現れた。

 金髪をオールバックにし、眉は細く剃っている。

 目つきも悪い。

 着崩した制服が風に揺れる。


「俺だってこんだけ舐められちゃ黙ってるわけにはいかねぇんだよ」

「ライリーさん、皆でやっちまいましょうぜ!」

「馬鹿野郎!てめぇら、んな事して恥ずかしくねぇのか!」


 ライリーと呼ばれたそいつは私の目の前まで歩いてくると、顔を近づけてきてガンを飛ばしてきた。


「タイマンで格の違いってもんを見せつけてやるよ。もちろん断らねぇよな、1年?」

「……面白い」

「姐さん……?」


 本当ならもうこんな奴ら相手にしないところだが……


「私に1対1を持ちかけてきたその勇気に免じて、受けてやるよ」

「泣きべそかくんじゃねぇぞガキ」

「ハッ!言ってろ、ノッポ!」

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