入学
私が前世に通っていた王立の貴族学校は正直言うと碌な所ではなかった。
大した実力もない有力貴族の子弟がふんぞりかえり、派閥を作る。
教師までもが彼らのご機嫌をとる。
私のような木っ端貴族の息子など学校内での地位は低かった。
剣術の授業でとある貴族の跡取り息子をボコボコにしたら、後日デカい大人10人くらいに囲まれ今度は私がボコボコにされた事すらあった。
とにかくヒドい所だった。
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「えー。それでは次に学園長より歓迎の挨拶です」
魔法学園らしく、魔法で拡声された声が会場に響く。
今は魔法学園の入学式の最中だ。
周囲を見渡すと1000人にのぼろうかという数の入学生が椅子に座っている。
全員が真新しい学園の制服に身を包んでいる。
私も例外ではない。
入学が決定した後に身体測定があり、サイズの合う制服を支給された。
襟にSSサイズと書いてあるのが気になるが……
まぁジーナですらMサイズらしいからな。
私もジーナも、これからもっと身長が伸びるだろう。
きっと……
壇上に上がったのは、身体の大きな老人だった。
白い髪と髭は積み上げた歳を感じさせるが、その覇気は老人のそれではない。
背筋もピンと伸び、堂々としたものだ。
魔法学園の学園長だからもっと魔術師らしいのを予想してたが……
「……儂から言うことは1つである」
低い、威厳のある声が会場に響く。
拡声魔法は使っていない。
しかしその声ははっきりと聞こえる。
入学生全員が思わず耳を傾けてしまう何かがあった。
「……学び、極めよ!以上である」
そして学園長は壇上から降りた。
右横を見ると隣にいるジーナと目が合った。
「何だか凄そうなおじいさんでしたね……」
「ああ……そうだな」
因みにツルギは近くにはいない。
入学生は男女で分けられているためだ。
「こういう学校の一番偉い人ってのはもっと長い話をすると思ったしな」
これは前世での経験である。
貴族学校の校長はいつも、やれ家柄だやれ誇りだとか無駄に長い話をしていた。
だがセリーア魔法学園の学園長はそのタイプではないようだ。
司会の男性も平然とその後の進行をしている事から、いつもの事なのだと伺える。
「どうしてそう思うんですか?」
「うーん……それはだな……」
「そこの女生徒2人、静かにしたまえ」
その時左から注意を受けた。
私の席は入学生の中でも一番左。
少し声が大きすぎたようだ。
「ああ。すまん。気をつける」
そう言って左を見るとそこにいたのは学園の男子生徒だった。
左腕に『風紀委員』と書かれた腕章をしている。
「むっ……!お前は……!」
その男子生徒は私の顔を見るなり、血相を変えてそう言った。
ん?
何処かで会ったか?
「どうした?」
「っ!……ゴホン!何でもない。気をつけるように!」
そう言って風紀委員は足早に立ち去っていった。
変な奴。
「ご、ごめんなさい、リースさん……」
「あんぐらい気にすんな」
その後も式は滞りなく進んだ。
次に各教室に分かれ、授業のオリエンテーリングがあった。
私とジーナとツルギは特待生なので同じ部屋だった。
ツルギの制服姿は普通に似合っていた。
普通は入学したてだったら制服が大きかったり、着慣れていなかったりして滑稽に見えるものなのになぁ。
ジーナもツルギも身長が高いし美形だからなぁ。
私?
SSサイズでも裾を折ってます。
オリエンテーリングは特に面白いこともなく終わった。
私達は特待生だから、必要単位が他より少ないらしい。
特に初級魔法の授業なんかは全く行かなくてもいいらしい。
まぁ面倒なだけだしな。
1時間ほどでオリエンテーリングは終わった。
今日の予定も残すところあと1つ。
入寮式だけだ。




